10月に東京バレエ団が上演するモーリス・ベジャールの『ザ・カブキ』は今年で初演30周年。東京バレエ団の佐々木忠次代表との縁でベジャールのアドバイザーとして創作に参加した花柳壽應(当時、花柳芳次郎)さんに、創作時の稽古やベジャールさんとの思い出をうかがいました。
──ベジャールさんとその作品については、当時どのような印象を持たれていたのですか。
「実は、ベジャールさんのバレエが大好きで、日本公演にはいつも行っていました。『春の祭典』や『ロミオとジュリエット』などを観て、これは今までのバレエとは全く違うものだと感じていたのです。そのベジャールさんの仕事を手伝うことができるなんて考えてもいなかったから、すぐにOKしましたよ。私もそんなに暇ではなかったけれど、何もかも振り捨てて(笑)」
──ベジャールさんからは、具体的にどのような要望が?
「それが、その時点では佐々木さんも何もわからない、とにかく来てくれと(笑)。実際に稽古場に行くと、ベジャールさんは頭の中にやることができあがっているのだけれど、その時その時によっていろいろと思いつくわけなんです。たとえば、"ここは日本舞踊ではどう表現するんだ"、と。私がその場でそれをやって形にします。そうすると、ベジャールさんはそれをそのまま使うのではなく、 "ベジャール流"に翻案していくのです」
──ベジャールさんは、歌舞伎、日本舞踊のこともよくご存知だったそうですね。
「たとえば『娘道成寺』という有名な古典の舞踊がありますが、"その中の、このパートの、ここのところを踊ってみてくれ"と、わりと具体的におっしゃる。それが、ご自分の頭の中に全部入っている。私が踊ってみせると、ベジャールさんはベジャール流になおして振付けるのです。
おかるの振りもそうでした。『娘道成寺』の中の踊りを、ベジャールさんは、おかるにやらせる。その発想が、面白いですね。
『娘道成寺』には毬唄の場面がありますが、それは『ザ・カブキ』の第五場の侍女たちの踊りに取り入れられてもいます」
取材・文 加藤智子(ライター)
※花柳壽應氏のインタビューは「ザ・カブキ」の公演プログラムに詳しい内容を掲載します。また、花柳氏は10月13日<メモリアル・ガラ>のトークショーにもご出演いただきます。
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