ブログ

ブログ Blog一覧に戻る

新着情報2016/10/03

「ザ・カブキ」初演キャストの夏山周久さん、藤堂眞子さんインタビュー

 開幕間近となった『ザ・カブキ』の稽古場に、東京バレエ団特別団員の夏山周久さん、藤堂眞子さんが来訪、リハーサル見学の合間に、短時間ながら団員たちにアドバイスを伝える場面も実現した。初演のおかる役として、また初代由良之助ダンサーとして本作上演史に名を刻む二人に、モーリス・ベジャールの創作や当時の思い出を聞いた。 IMG_4239 HP.jpg ──お二人は『ザ・カブキ』以前からベジャール作品を踊られていましたね。 夏山 『ザ・カブキ』の3年前、〈ベジャールの夕〉という公演で僕は『さすらう若者の歌』を踊っているのですが、それが認められて、その後藤堂さんと二人でブリュッセルに呼んでいただき、『詩人の恋』という作品を踊っています。ベジャールさんの振りは難しいですし、短い作品でも、一挙手一投足にちゃんと、"ベジャール・イズム"のようなものがある。簡単にできるところもあるけれど、その簡単なところを簡単にやってしまってはいけないということを、教えてくださる方でした。 藤堂 今日のリハーサルでも、そう感じられるところがありましたね。実は一昨日に誕生日を迎えたのですが、30年経って、この新しい一年が『ザ・カブキ』からスタートすると思うと、感慨深いものがあります。リハーサルに触れて、一瞬ですが、またベジャールさんの創られた世界に入ってしまった感覚になりました。 私が踊ったおかるは、私のわがままなこの性格が合っている役なんだろうなと、勝手に思ったりしていました(笑)。 IMG_4198  HP.jpg 夏山 僕は初演の時にすでに30歳を超えていましたから、こうしてピークを過ぎていくんだなと思っていた時に、もう一度チャンスを与えてもらったという感覚がありました。当初は、日本人として由良之助を演じよう、演じようと、その男気を前面に出していたのですが、振付どおり、音楽どおり、形どおりできるようになるまでは、決して先走って出してはいけないと、きつく怒られました。当時は反発心もありましたが(笑)、今思うとありがたいお言葉でした。 ──一力茶屋の場面に登場するおかるの艶やかさが印象的ですが、どのように役作りをされたのでしょうか。 藤堂 あそこは苦労しました......。手ぬぐいを持って芝居をする場面があり、玉三郎さんが『娘道成寺』でやっていらっしゃるのですが、これが難しくてできなくて。結局、初演の前に何度か、花柳流の女性の先生のところに習いに行ったのです。 ところが、日舞を習われていないベジャールさんが、そのままやっただけでさまになるのです。日舞だけでなくインド舞踊も、ギリシャも、ベジャールさんのなかにジャンルの壁というものはないのですね。すごいことだなと思いました。 夏山 終盤の「涅槃交響曲」などは、同じようなメロディがずっと繋がっている曲なのに、ベジャールさんからは次々とパが出てくる。もちろん下準備はされているでしょうが、これには驚きました。もう次は困る頃だろうと思っても、またスッと出てくるのですから。 藤堂 心根といいますか、ベジャールさんご自身に、日本のものを海外にもっていく時に中途半端なものは創れない、日本の伝統を崩すようなことはしたくない、という思いがおありだったかと思いますよね。 ──夏山さんが初めて由良之助を踊った時の手応えはいかがでしたか。 夏山 あの時の、幕がおりた瞬間を思い出します。バレエをやっていて良かったと思ったものです。  日本の作品ですから、"『忠臣蔵』は僕たちで創る"という生意気な気持ちがありました。1日目の主演は(ゲストの)エリック・ヴ=アンさんだから良くて当たり前、2日は夏山だから悪くて当たり前、とは思われたくなかったのです。緊張して、最後まで踊りきれるだろうかと思っていたその日──、プロローグで黒子役から刀を渡してもらう場面がありますが、刀を摑もうとしたら、そこに「頑張って」と書いてあった......。バレエ団の皆が応援してくれていた。それが力になった。『ザ・カブキ』は、僕を強くしてくれた作品と言えます。 IMG_4203  HP.jpg 藤堂 今でも時々、夢の中に出てくるんですよ。メイクの白塗りがとても難しくて、なかなかできなくて間に合わないのに、もう幕は開いてしまう(笑)。 夏山 僕も時々見ますね。振りなんて忘れているのに、開幕直前に今から舞台で踊れと言われて冷や汗を流す(笑)。 藤堂 私はおかると人生をともにした、という思いがありますね。他の作品もいろいろ踊ってきましたが、あれほど、役柄の人生に巻き込まれたものは他にありません。そこまで、ベジャールさんの作品の世界に入り込んでしまった。今でもおかるは、分身のように懐かしいし、出会わせてくださったベジャールさん、佐々木(忠次)さんに感謝したいですね。  二人は『ザ・カブキ』公演初日の10月13に日に開催される〈メモリアル・ガラ〉トークショー「『ザ・カブキ』と佐々木忠次」に出演する予定となっている。

 ●取材・文 加藤智子

カテゴリー

最近の記事

ブルメイステル版「白鳥の湖」プロモーション映像完成!

 ブルメイステル版「白鳥の湖」。今回は6月16日(土)の鎌倉...

ブルメイステル版『白鳥の湖』再演、 東京バレエ団オリジナルの新衣裳がついに完成へ!

 公演まであと3週間。ブルメイステル版『白鳥の湖』の今回の再...

アンソニー・ダウエル(「真夏の夜の夢」振付指導) 特別インタビュー 

 まもなく初日をむかえる東京バレエ団「真夏の夜の夢」のリハー...

公演レポート~THE TOKYO BALLET Studio Performance(スタジオ・パフォーマンス)

 去る2月13日、目黒の東京バレエ団スタジオにてTHE TO...

東京バレエ団ダンサーからの年賀状2018

 新年明けましておめでとうございます!!  昨年、東京バレエ...

イベントレポート~クリスマス・パーティー2018~

去る12月17日(日)、2017年最後の公演となったベジャー...

ベジャールの「くるみ割り人形」上演に寄せて~小林十市さんからのメッセージ~

ベジャールの「くるみ割り人形」の初日まであと2日とせまってま...

ベジャールの「くるみ割り人形」~ビム役&M...役へのプチ・インタビュー

ベジャールの「くるみ割り人形」、前回に続きビム役をつとめる岡...

ベジャールの「くるみ割り人形」~母役へのプチ・インタビュー~

今週末に上演するベジャールの「くるみ割り人形」。今回の舞台で...

東京バレエ団「春の祭典」ダンサーインタビュー Vol.5 奈良春夏

東京バレエ団「春の祭典」ダンサーインタビュー、最終回は奈良春...