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ロングインタビュー2015/02/06

【ダンサー・ロングインタビュー】 第2回-岸本秀雄

取材/文:新藤弘子(舞踊評論家) kishimoto01.jpg---バレエとの出会いについて教えてください。  姉のバレエ教室についていって、まねをしてたらしいんです。母がそれを見て、やらせてみようと。まわりは女の子だらけだったけど、まだ5歳だったので気にせず暴れてました(笑)。ちょっと肩身が狭くなってきたのが小学校4年生くらい。5年生のとき東京バレエ学校に入学して、男の子が僕だけじゃない! と思ったのを覚えています。 ---バレエ学校時代、印象に残っているのは?  スクール・パフォーマンスで少年科の踊りを観て、かっこいいなと思いました。入団2年前のスクール・パフォーマンスでデジレ王子を踊った時は、パ・ド・ドゥのアダージオで、どうしようもないくらい頭がこんがらがってしまいましたが、先生方に教えていただけて、すごく助かりました。 ---東京バレエ団に入ろうと決めた理由は? 入団して苦労したことはありますか?  団員のかたの後ろ姿にずっと憧れていたので、卒業したらここに入ろうと決めていました。入団後はリハーサルの量が格段に増えましたね。特に海外ツアーで『春の祭典』や『タムタム』を踊った去年の夏! 頭も体も追いつくのに必死でした。踊りでは、アダージオと演技。僕は『スプリング・アンド・フォール』のようなさわやか系の踊り、『タムタム』の力強い動きとかは得意なんですが、『春の祭典』の生贄では「弱者というものをどう演じるか」で悩みました。今度のデジレもまだ課題が残っているので、マラーホフさんの王子像をしっかり理解して自分のものにしたいと思います。 kishimoto03.jpg ---心に残る出会いや憧れのダンサーについて教えてください。  憧れる人はたくさんいますが、一番はルグリさん! 足さばきや回転のきれいさ、ラインの美しさや身体のしなやかさ、自分が求めるものをすべて持っていると感じます。同期では松野くん。バレエ学校で一緒にレッスンしてきましたが、改めて話してみると頑張り屋で、リハーサルにも集中して取り組む。努力の結晶という感じで、応援したいと思える存在です。(柄本)弾さんは、僕とそんなに年齢も変わらないのに技術のレベルが高い。『バレエ・インペリアル』をリハーサルで踊られているのを見た時、この色気やオーラはどうやって発してるんだろうと思いました(笑)。 ---ターニング・ポイントはありましたか?  2013年に『カルメン』と『ロミオとジュリエット』のトライアウトがあり、頑張って目立とうとレッスンしたんです。そのとき先輩に「秀雄はいつもあのくらい動けばいいのに」と言われ、あっ、そういうことか、と。自分に足りないものをひとつ見つけたと思いました。それからバレエに対する姿勢も身体も変わりました。筋肉が増えてケガもしにくくなった。この1年くらいは怒濤のようにあっという間! ノイマイヤーさんやルグリさんの指導も受けられて充実しています。 kishimoto02.jpg ---今後どんなダンサーになりたいですか? 踊ってみたい作品や好きな作品は?  幼い頃から、何でも踊れるダンサーになりたいと思っていました。王子も悪役もキャラクター的な役も踊りたいし、物語のない作品もドラマティックな作品も。振付家ではベジャールさんが好きです。憧れは『ザ・カブキ』の由良之助や、『ボレロ』『ギリシャの踊り』『火の鳥』...。コジョカルさんの公演で観たクルグの『レディオとジュリエット』も踊ってみたいです。 kishimoto04.jpg---バレエ以外で好きなことを教えてください。  音楽はクラシック、特にバッハが好きでよく聞いていました。あとは食べること!(笑) 卵料理が好きで、よく自分でも作りますよ。ゴーヤチャンプルーとかオムライスとか。    入団して4年目だが、正確なポジション、はつらつとした動きの美しさは、すでに多くの人の知るところ。ノイマイヤー版『ロミオとジュリエット』では若き僧ロレンスをみずみずしく演じ、新たなファンを獲得した。リハーサルでは跳躍などをのびのびとこなす一方、マラーホフの演技指導にけんめいに応える。デジレ役は、選ばれた特別な存在であることを、何気ないしぐさを通して観客に示さねばならない。妖精の声を聞くように耳元に手をやる動きはまだ初々しいが、若く魅力的な王子の誕生を予感させる。  「突き詰めるタイプで、よく頭が迷宮入りするんです」と笑い、「考えに考えて一番自分がやりやすい方法を見つける」と語る。ていねいな言葉の端から、自信がきらっとこぼれ出るようで頼もしい。デジレ役でもきっと、大きな成長を見せてくれるに違いない。 撮影:細野晋司

ロングインタビュー2015/02/05

新連載 【ダンサー・ロングインタビュー】 第1回ー川島麻実子

取材/文:新藤弘子(舞踊評論家) _DBF0420.jpg---バレエとはどうやって出会いましたか?  子どもの頃、実家の向かいがバレエ教室で、姿勢やお行儀もよくなるだろうと母が連れて行ってくれました。もともと動くのが大好きで、家でも歌ったり踊ったりするような子だったので、楽しかったですね。大学進学のために上京してから東京バレエ学校に入学しました。入団は20歳の時です。 ---バレエと大学の両立はたいへんだったのでは?  両親から「大学に行かなければバレエを続けてはだめ」と言われていたこともあって、頑張りました。もう一度やれと言われたら辛いけれど、2つのことがあったからこそ必死になれたし、自信にもつながりました。いまは両親に感謝しています。 ---入団して苦労したことは?  東京バレエ団といえばきれいなコール・ド・バレエ! 列の揃え方、首の角度など、バレエ団の形を細かく身体に入れるのが大変で、最初は苦戦しました。バレエは楽しく踊るものだったのに、仕事になったとたん、大好きなものを取り上げられたように感じてしまって。リハーサルと大学を往復しながら、なんでこんなに辛くなってしまったんだろうと思ったときもありますが、舞台に立つと、やっぱり好きだからやめられない。私は同期の人たちに恵まれていて、いまでも退団した方を含めて月に1回くらい集まってバレエの話をしていますし、先輩方もいろんなアドバイスをくださるので、人間関係の面では恵まれていますね。 kawashima02.jpg ---印象に残る出会いはありますか?  マラーホフさん、ルグリさん、ギエムさんなど、小さい頃から東京バレエ団の公演で観ていた人たちと同じ舞台に立てるのは、とても光栄です。初めて観た東京バレエ団の全幕が吉岡美佳さんとマラーホフさんの『眠れる森の美女』でしたし、初めてソロを踊ったのもマラーホフ版『眠れる森の美女』の妖精だったので、全幕初主演もこの作品で迎えられるのが嬉しいです。デジレ役の(岸本)秀雄くんは後輩で、緊張しているのか「すみません!」が口ぐせで。最近は1回百円罰金ね、と言ってるんですけど(笑)。私はつい恥ずかしがったり考え過ぎたりしてしまうんですが、秀雄くんはとても素直。感情豊かで基礎も大切にしていて、マラーホフさんのお手本をそのままやってみようとする。ダンサーとしても人としても魅力的で、見習いたいなあと思います。 kawashima03.jpg ---難しかった役や作品は?  以前はオディールやカラボスのような強い役が多かったので、『ドン・キホーテ』のドリアードの女王は自分に足りない部分を求められる踊りだと思いました。「コミカルではっきりした踊りができるのはわかっているから、曲に合わせてゆっくり伸びやかに踊ることを意識しなさい」といわれて。『エチュード』ではギエムさんがフェッテのしかたや踊りのめりはりのつけ方を教えてくださったり、(吉岡)美佳さんが「自分が信じられないなら私を信じて」と言ってくださったりして、勇気がわきました。今回のオーロラは、マラーホフさんや美佳さんが実際に筋肉に触れ、手のポーズひとつから直してくださるので、とてもわかりやすい。あと3週間、少しでも吸収して役に近づきたいです。 kawashima04.jpg---どんなダンサーになりたいですか?  いまは次々に新しい役があって息つく暇もなく、1年後にどうなっているか想像もつかないのですが、このオーロラ姫を踊りきることで、ひとつステップを上がりたいと思っています。私はベジャールさんには指導していただく機会がなかったのですが、いまマラーホフさんにご自身の振付を教えていただけるのがとても嬉しくて、キリアンさん、エックさん、ノイマイヤーさんの作品も、ご本人の指導でぜひ踊ってみたいんです。そういうチャンスがあれば飛びつきたいです(笑)。  きりっとした顔立ちと美しいラインで、新しい役に挑むたびに鮮やかな印象を刻んできた川島麻実子。創立50周年祝祭ガラの『ペトルーシュカ』バレリーナでも、その愛らしさは際立っていた。リハーサルではマラーホフの指示に敏感に反応しながら、いきいきと踊る。バレエについて真摯に語る表情が魅力的だが、話が友人や家族のことに触れると、花が咲いたように明るい笑顔がはじけた。大好きな人たちとお茶をしたり、お菓子を作ったりするのは貴重な時間。本や海外ドラマも大好き。レッスン着の色も役柄に合わせるという繊細な感受性が、オーロラ役で大きく開花するのが待ち遠しい。 撮影:細野晋司

 

公演情報2015/01/09

ウラジーミル・マラーホフ「眠れる森の美女」カラボス ハイライトMovie

マラーホフ版「眠れる森の美女」の初日まで1か月を切りました。
ウラジーミル・マラーホフがアーティスティック・アドバイザーに就任して2作目となる「眠れる森の美女」。マラーホフは休む暇なく稽古場を移動しながら、リハーサル指導にあたっています。
マラーホフ自身も定評のあるカラボス役で出演する公演に先駆け、少しだけですがマラーホフのカラボスの映像をご紹介します。妖しくも美しいマラーホフのカラボスは必見です!


●「眠れる森の美女」公式サイト>>>

新着情報2015/01/01

東京バレエ団ダンサーからの年賀状2015

新年あけましておめでとうございます!

2014年は東京バレエ団創立50周年という節目の年を迎え、これまで以上に大勢のお客様が公演に足を運んでくださいました。すべてのお客様にダンサー、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。

2015年が皆様にとってよりよい年になりますように・・・と願いをこめ、今年も恒例の東京バレエ団ダンサーからの年賀状をご紹介いたします!

東京バレエ団友の会「クラブ・アッサンブレ」にご入会いただいている会員様には、ダンサーからの新年のご挨拶といたしまして毎年直筆サイン入り年賀状をお届けしております。下記にてサインをさせていただいた全ダンサーの年賀状をご紹介いたします。今年はどのダンサーからの年賀状が届くかどうぞお楽しみに!

【プリンシパル】

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【ソリスト】

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【アーティスト】

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東京バレエ団の2015年最初の公演は2月に上演する『眠れる森の美女』。

アーティスティック・アドバイサーに就任したウラジーミル・マラーホフ氏の振付・演出・指導のもと、バラが咲き誇るロマンティックな世界を皆様にお届けいたします。その後も魅力的なラインナップを続々と展開してまいります。2015年も東京バレエ団にどうぞご期待ください!

東京バレエ団2015年公演ラインナップはコチラ>>>

「クラブ・アッサンブレ」のご入会はこちら>>>

新着情報2014/12/25

【イベントレポート】第41回クラブ・アッサンブレ特別イベント<2014年クリスマス会>

12月21日(日)の『くるみ割り人形』終演後、東京文化会館大ホールのロビーにて東京バレエ団友の会「クラブ・アッサンブレ」会員様限定の<2014年クリスマス会>を開催いたしました。本ブログにて、イベントの模様を少しだけご紹介いたします!

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当日は約120名の方がご参加くださり、イベント開始の17時になると、会場後方の扉から芸術監督の飯田を始め、総勢50名の団員が揃って登場しました。正装した団員達が列をなして会場入りする姿は何とも圧巻。あちらこちらから、たくさんの歓声が上がりました!

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一同が階段上に整列したところで、本年司会をつとめる奈良春夏と森川茉央が登場。
入団一年目の団員紹介から始まり、高岸直樹の乾杯でクリスマス会スタートです。

まずは会員の皆様に、ドリンク・軽食を召し上がっていただきながら、団員とのご歓談を 楽しんでいただきました。東京バレエ団をご支援くださっている会員の方々と直接お話をさせていただくのは、団員にとってとても貴重な時間です。
そして途中からはなんと、東京バレエ団のアーティスティック・アドバイザーであるウラジーミル・マラーホフ、『くるみ割り人形』で指揮をつとめたワレリー・オブジャニコフ、そして主演のエフゲーニャ・オブラスツォーワ、マライン・ラドメーカーの4名がサプライズで飛び入り参加!より一層会場が盛り上がりました。

ご歓談後は、来年2月に上演する『眠れる森の美女』で主演する上野水香・柄本弾・川島麻実子・岸本秀雄、3月に上演する『ジゼル』で主演する渡辺理恵の5名から、作品への意気込みが語られました。

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次の作品へと会場全体の気持ちが高まったところで、恒例のプレゼント抽選会。
『眠れる森の美女』『ジゼル』に主演する5名、そしてプリンシパルとの写真撮影権や、プリンシパル、ソリスト全員のサインが入った舞台写真パネルを当選者の方々に プレゼントいたしました。
最後は、芸術監督の飯田から皆様にご挨拶をさせていただき、たくさんの笑顔に溢れた
<2014年クリスマス会>は終了いたしました。

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こちらは当日ご参加くださった皆様全員にお配りした、東京バレエ団からのクリスマスプレゼント。東京バレエ団のロゴ入り「ひざ掛け」とオリジナルチョコ (プリンシパルのメッセージカードがランダム封入されています!)です。

東京バレエ団友の会「クラブ・アッサンブレ」では、今後も会員の皆様に楽しんでいただけるイベントを企画してまいります。ご興味がある方は是非ご入会いただき、このようなイベントにも是非々ご参加ください!お待ちしております。

「クラブ・アッサンブレ」のご入会はこちら>>>

稽古場より2014/12/17

「くるみ割り人形」リハーサル映像~12月16日~

「くるみ割り人形」の開幕まで2日。

主演のエフゲーニャ・オブラスツォーワ、マライン・ラドメーカーも来日。月曜日から東京バレエ団に合流し、熱気溢れたリハーサルが行われています。開幕直前のリハーサルの模様をお届けします。




「くるみ割り人形」公式サイト>>>



公演情報2014/11/29

プロジェクション・マッピングの魔法で、驚きのおもしろさ! 50周年版「くるみ割り人形」制作快調!

ただいま東京バレエ団では、12月の「くるみ割り人形」のリハーサルと並行して、今回初めて導入されるプロジェクション・マッピングの制作が着々と進んでいます。11月25日には横須賀芸術劇場でテスト投影が行われました。その模様をリハーサル映像を交えてお届けします。クリスマスの不思議な夢体験ができるのも、もうすぐです。

◆プロジェクション・マッピングの魔法で、驚きのおもしろさ!

50周年版「くるみ割り人形」制作快調!

「くるみ割り人形」公式サイト>>>

海外ツアーレポート2014/11/20

「第九交響曲」上海公演レポート

東京バレエ団創立50周年記念シリーズの秋のハイライトとして11月8日、9日に東京で上演されたモーリス・ベジャール振付「第九交響曲」は、11月16日には上海に場所を移して再び上演されました。

モーリス・ベジャール・バレエ団は東京公演を終えたその足で上海へ向かい、東京バレエ団は東京でのリハーサルを経て上海へ。

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二つのバレエ団は11月13日に上海バレエ団のスタジオで再び合流し、合同リハーサルを開始。東京公演を成功裏に終えたとはいえ、新たな指揮者、オーケストラ、そして会場ということもあり、入念なリハーサルが繰り返されました。

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会場となった上海文化広場(劇場)は、2011年にオープンしたばかりの美しい地下劇場。公演前日に行われたゲネプロは地元のマスコミや学生に向けて公開され、開演前にはロビーで作品解説も行われました。

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この公演は10月中旬から約1カ月に渡って行われた第16回上海中国国際アーツ・フェスティバルのクロージング・セレモニーとして行われたもので、30分間のセレモニーに引き続いて、「第九交響曲」が上演されました。指揮は当初の予定より変更となり、中国出身のムハイ・タン Muhai Tangが務め、上海歌劇院管弦楽団と同合唱団との共演で開幕。

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第一楽章を力強く踊る上野水香、柄本弾をはじめとする東京バレエ団のダンサーたち。

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第二楽章は急きょ上海バレエ団のダンサーに代わって、モーリス・ベジャール・バレエ団のキャサリーン・ティエルヘルムと上海出身のスン・ジャ・ユンがソリストを踊りました。14-11Shanghai7.JPG

第三楽章はエリザベット・ロスと腰の故障のため降板したジュリアン・ファヴローに代わって、ファヴリス・ガララーギュがソリストを務め、ガララーギュに代わって東京バレエ団の岸本秀雄が出演を果たしました。

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モーリス・ベジャールが創作した音楽と舞踊の壮大な祭典は、中国の観客からも熱狂的な拍手で称えられました。本公演をもって、東京バレエ団の海外公演は30カ国153都市739回公演と記録を更新しています。

東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団による「第九交響曲」プロジェクトは、2015年6月にヨーロッパでも開催予定です。ツアーの詳細は決まり次第、本ホームページでお知らせいたします。

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また、東京で上演された本公演の模様はNHKとドイツのユーロアーツが共同で収録し、世界数カ国で放送の予定です。日本での放送は下記の日時です。

NHK BSプレミアム 「プレミアムシアター」

◆放送予定日:12月22日(月)午前0時~(日曜深夜)

※最新の番組情報はNHKのホームページにてご確認ください。

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◆「第九交響曲」Movie 〜2014.11.8・9  NHKホール〜>>>

公演情報2014/11/18

「くるみ割り人形」マライン・ラドメーカー インタビュー[後編]

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---シュットガルト・バレエ団では、今シーズン冒頭の演目『レオンスとレーナ』全幕のファーストキャストとして主役を務める等、充実した日々を送られているようです。ラドメーカーさんの近況を教えてください。

「念願だった『オネーギン』の標題役を、バンコク公演(10月末)で初めて踊る予定です。この作品の男性ダンサーの全パートを踊ることになるんですよ」

---ロマンティックな容姿ゆえ、屈折した役柄に配役される機会が少ないと、以前、おっしゃっていましたね。

「シュツットガルトは多彩なレパートリーを持っていますが、やはりクランコのドラマチックな作品を演じることは、団員の誇りです。私達はクランコ作品に鍛錬された、演技のできるダンサー集団なのですから。タチヤーナ役のエリザ・バデネスと、試行錯誤をしながら役作りをしています。彼女と踊っていると感情が自然に溢れ出し、言葉で説明する必要がないほどです。振付に駆り立てられるように疾走しています」

---『くるみ割り人形』公演に向けて、メッセージをお願いします。

「東京バレエ団の芸術監督と、アーティスティック・アドバイザーのウラジーミル・マラーホフさんと共に舞台を作り上げていくのが楽しみでなりません。観客の皆さんにクリスマスにふさわしい、幸せに満ちた時間を楽しんでいただけるよう、ベストを尽くします。劇場でお会いしましょう」

 なお、本インタビューの数日後、ラドメーカーがオランダ国立バレエ団に移籍することが公式に発表された。本人の公式ホームページには、シュツットガルトでの15年にわたる経験を糧に母国に戻り、オランダ国立バレエ団の多彩なレパートリーに挑戦し、ダンサーとして歩み続けたい、とのコメントが寄せられている。来年1月に上演されるバランシン振付『ジュエルズ』が、オランダ国立バレエ団プリンシパルとしてのデビューの舞台になる模様だ。

 オランダで新生面を開く選択をしたラドメーカーの前途に注目したい。

●「くるみ割り人形」公式サイト>>>

インタビュー&文:上野房子(ダンス評論家)

photo : Stuttgart Ballet

公演情報2014/11/17

「第九交響曲」Movie 〜2014.11.8・9  NHKホール〜

2014年11月8日〜9日、東京バレエ団創立50周年記念シリーズ第7弾として、モーリス・ベジャール振付 ベートーヴェン「第九交響曲」がNHKホールにて開幕し、成功裡に終わりました。

東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団のダンサー、指揮者ズービン・メータとイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団に加えて、独唱歌手と合唱団の総勢350名が繰り広げる大スペクタルとなりました。
ダンサーたちの肉体美と汗、圧倒的な演奏、そして歌手たちの歌声が観客を魅了し、拍手が鳴り止まぬカーテンコールとなりました。

その魅力がこの映像からも感じていただけることと思います。



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