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ロングインタビュー2021/03/31

奈良春夏、岸本夏未、ロングインタビューの一部をご紹介します
本日(2021年3月31日)をもって奈良春夏、岸本夏未が東京バレエ団を退団いたします。奈良は20年、岸本は18年という長きにわたり、多くの舞台で主要な役を演じ、舞台に貢献してまいりました。これだけの期間二人が踊り続けてこられたのも、応援してくださったお客様のおかげと一同心より感謝申し上げます。

東京バレエ団友の会クラブ・アッサンブレの会員限定サイトでは二人のロングインタビューを掲載しておりますが、ここではその一部をご紹介します。ぜひご一読ください。

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奈良春夏

──まずは20年間、お疲れさまでした。いまのお気持ちは?

奈良春夏 今は満ち足りた気持ちでいっぱいです。私には身にあまるような大役もたくさん踊らせていただき、思い残すことは何もありません。

──入団したのは溝下司朗芸術監督の時代でした。

奈良 もともと司朗先生の下で学びたいという思いがあって、東京バレエ団を目指していました。もちろん、多彩なレパートリーや海外ツアーでの活躍も知っていました。さらに、東京バレエ学校で指導していただいていた友田弘子先生(当時の東京バレエ団バレエ・ミストレス)、友田優子先生(同じく東京バレエ学校教師)に背中を押され、オーディションを受けました。
入団当初、司朗先生の下では飯田宗孝先生がバレエ・マスターとして活躍されていて、最初はとても怖い印象でした。が、2004年に芸術監督になられてからは、まるでお父さんのような存在に。普段はとても優しくて、私はそれに甘えていたかもしれません。もちろんバレエに関してはとても厳しかったですし、いつも的確なアドバイスをしてくださいました。
今振り返ると、想像にしていなかった大役を次々といただいたのは、まさに飯田先生が芸術監督の時代。たとえば、『ドン・キホーテ』のメルセデスやジプシーの若い娘、『眠れる森の美女』のカラボスなどは、もともとやりたいと思っていました。が、自分にはできないだろうなと思っていた役──たとえば『エチュード』のエトワール、べジャールさんの『舞楽』のソリスト、それからマラーホフ版『眠れる森の美女』のリラの精なんて、まさか私が!?と思っていたのだから。でも実は、カラボスのようなアクの強い役を学ぶことで、正反対のリラの精にも活かせる、こうした貴重な経験をさせていただき、本当にありがたく思っています。

──では、もっとも印象に残る作品、役柄は?

奈良 多すぎて、選ぶのは難しい! でも、まずはバレエ団初演(2009年)に携わったマカロワ版『ラ・バヤデール』のガムザッティと、"影の王国"の第2ヴァリエーションですね。初演ならではの苦労もありましたが、勉強になりました。
とくにガムザッティは、私がマカロワ版のことを大好きになった理由の一つ。その人物像は、王様の娘だから傲慢で、ちょっと意地悪な女性......というイメージではなく、一人の女性としてソロルを愛し、ニキヤとの三角関係に苦しむ女性でした。たとえば第3幕のヴァリエーションでは、そのことがはっきりと表現されます。テクニック面も体力的にも厳しい役柄でしたが、そういった表現で高めていけるストーリーがあります。
マカロワさんのリハーサルは、すごく集中して役柄に向き合うことができました。この経験で、演技面で大きく成長できたのではないかと思います。マカロワさんにいただいたメッセージ・カードは一生の宝物です。



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岸本夏未

──まずは18年間、お疲れさまでした!

岸本夏未 寂しい気持ちでいっぱいですが、長い間、大きな怪我も病気もなくつとめあげることができ、ほっとしています。最後の舞台は『ジゼル』。なじみ深い作品でしめくくることができて嬉しく思います。入団2年目から参加している作品ですので、思い入れがありました。子どもの頃、東京バレエ団の『ジゼル』のビデオを擦り切れるほど見ていたんですよ。(佐野)志織先生のドゥ・ウィリには本当に憧れました。

──『ジゼル』のコール・ド・バレエ初参加の思い出は?

岸本 先輩に注意され続けた記憶しかありません。前の先輩からも後ろの先輩からもチクチク注意されていました(笑)。最近はコール・ドの指導のお手伝いをさせてもらうようになりましたが、ここまで成長できたのは当時の先輩たちのおかげ。感謝しかありません。だから後輩たちには、「私もコール・ドで大変な思いをしてきたの!」って伝えたいです。
当時は注意を受けてばかりで、もう気分はどん底でしたが、憧れのバレエ団に入れたのだから、辞めたいとは思いませんでした。どうしても東京バレエ団で活躍したかった。絶対にソリストになりたい、あんな役、こんな役を演じたい!という思いで頑張りました。

──これまで取り組んだ中でもっとも印象に残る役柄、作品は?

岸本 一番に思い浮かぶのは、キリアンの『ドリーム・タイム』。当初、第3キャストでしたので東京の舞台では踊っていませんが、地方公演と海外公演の舞台で踊ることができました。身体の遣い方がクラシックとは全然違ううえに、ストーリーがない分、気持ちの持っていき方がとても難しい。そこを自分なりにストーリーを思い浮かべて取り組みました。あの素敵な衣裳、素晴らしい装置に照明──その空間に自分が立てるなんて、と本当に嬉しくなりました。その後、2019年の海外公演ではシングル・キャストに選んでもらい、ミラノ・スカラ座の舞台で踊ることができました。



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