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2024/07/17

ブノワ舞踊賞2024 ガラ・コンサートに秋山瑛、柄本弾、宮川新大が出演

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ボリショイ劇場の前で。柄本弾、秋山瑛、宮川新大



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審査員を務めた、芸術監督の斎藤友佳理と。


バレエ界で世界的に権威ある賞のひとつ、ブノワ舞踊賞Prix Benois de la Danse2024に、既報の通り、振付家部門で「かぐや姫」の振付家、金森穣氏が、また女性ダンサー部門でプリンシパルの秋山瑛がノミネートされ、その発表が6月25日モスクワのボリショイ劇場で行われました。

秋山瑛は、受賞は逃したものの、同日授賞式に続いて開催されたガラ・コンサートでノミネートの対象となった「かぐや姫」のパ・ド・ドゥを柄本弾とともに審査員や観客の前で披露し、満場の喝采を浴びました。またガラ・コンサートは翌日にも開催され、この日は秋山と宮川新大が「タリスマン」パ・ド・ドゥを踊りました。

授賞式と公演に参加した3人の感想をお伝えします。



秋山瑛

ボリショイ劇場の舞台で踊れる日がくるとは思っていなかったので、すべてが夢のような出来事でした。舞台の広さ、そこで働く方々の人数、すべての規模が大きい。たとえば本番中に舞台の奥に走っていくとき、奥行きがあっておまけに斜舞台なので、坂を登っていくようなしんどさがあったり。ただ、本番のことは正直あまり記憶になくて......(笑)。モスクワに到着した翌日がもうゲネプロで、続けて本番が2回だったので、無我夢中でした。

踊ったあとの客席の反応は素晴らしかった。踊り終わって一度舞台袖に引っ込んだあとも、手拍子で呼び戻してくださって。楽屋口で待っていた方々も、「『かぐや姫』、よかった」「『タリスマン』、よかったよ」と声をかけてくださった。みなさんとても温かかったですね。

また、今回ノミネートされた方々、受賞者、出演者の方々の、踊りやレッスン、楽屋での様子を拝見したり、お話しできたことがとても嬉しかったです。みなさんとても親切で、ダンサー同士でリスペクトし合っている。その中には、私が7歳のときに初めて観た「白鳥の湖」でオデットを踊っていた、ミハイロフスキー・バレエのイリーナ・ペレンさんもいらっしゃったんです。私がバレエを始めるきっかけになった方です。そのことを彼女に伝えることができたのが、とても嬉しくて。それから「タリスマン」のオーケストラ演奏の指揮者が、4月の東京バレエ団の「白鳥の湖」で指揮をされたアントン・グリシャニンさんで、「久しぶり」と声をかけてくださった。場所が変わっても互いに繋がっていると感じられて、芸術っていいなと心から思いました。



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イリーナ・ペレンと。



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柄本弾

僕自身がブノワ賞にノミネートされたわけではありませんが、この賞を通して世界のバレエ界で「かぐや姫」が注目されて、その作品で(秋山)瑛が女性ダンサー部門でノミネートされた、その二つのことに関われたことが、まずとても光栄なことだと感じています。それから、いままでヨーロッパの大きな劇場──パリ・オペラ座やミラノ・スカラ座で踊りましたが、まさかロシアのボリショイ劇場でも踊れる日が来るとは思ってもいなかったので、印象深いですね。僕が入団してから東京バレエ団がロシアに行くことはなかったので、とてもいい経験になりました。瑛も僕も(宮川)新大も、ボリショイはみんな初めてだった。

舞台で踊っていたので他の出演者との比較はできないけれど、踊った後の客席の反応は悪くはなかったと感じました。本番後のレセプションでも大使館の方とか外国の方からも「『かぐや姫』がとてもよかった、ぜひ全編を観たい」とけっこう多く声をかけられたので、評価されているなと思いました。

ボリショイ劇場はとにかく舞台が広くて奥行きが深いので、(斎藤)友佳理さんから事前に空間の使い方、ポジショニングのことを言われていました。それと何か表現するにも大きく、オーバーなくらいでと。『かぐや姫』はクラシックと違って細かい動作が多いのですが、それも少しずつ大きくやるようにと。そこは瑛と話し合ってどういうふうにやるかは何回も話しました。



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宮川新大

今回ブノワ賞のガラ・コンサートに出演して、あのボリショイ劇場に立てたことが、個人的にはもっとも嬉しく感無量でした。また、舞台に関わっている方々がダンサーのことをすごくサポートしてくれて、バレエや僕たちダンサーへのリスペクトが強く感じられ、ロシアにいることを改めて強く感じました。以前にモスクワ音楽劇場バレエで踊っていたときも感じていましたが、ここはダンサー・ファーストの国なんです。一般の人たちがバレエに親しみ、バレエを愛していて、映画を見るようにバレエを観るというお国柄だからこそですよね。

初日の(柄本)弾さんと(秋山)瑛の「かぐや姫」のパ・ド・ドゥを客席で観ていましたが、観客の興奮ぶり、熱量はすごいものがありました。「かぐや姫」はとても受け入れられていて、客席で観ていた僕は、2人が踊っているのを観て感動で泣いてしまったほどです。僕自身は二日目のガラで、「タリスマン」のパ・ド・ドゥを瑛と踊りました。ふだんはボリショイ・バレエを観ている観客の前で、ロシアの演目を踊るのは少しだけ不安もありましたが、僕らもとても大きな拍手と歓声をいただいた。誰よりもロシアバレエを知っている友佳理さんにこの作品を選んでいただいて、心から良かったと思います。ロシアの国営テレビで流れたブノワ賞のニュースでも、僕たちの「タリスマン」が抜粋されて放送されたんですよ。すごく光栄なことです。



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●ブノワ舞踊賞2024の受賞者、審査員、ガラ・コンサートの演目等につきましては下記をご覧ください。

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