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新着情報2025/11/04

舞台を支える人気キャラクター座談会ーサンチョ・パンサ【『ドン・キホーテ』公演プログラム番外編】

 陽光降り注ぐスペインの港町を舞台に大騒動が巻き起こる『ドン・キホーテ』。
東京バレエ団が2001年に初演したウラジーミル・ワシーリエフ版は、主役のキトリとバジルを中心に、舞台に登場する一人ひとりが生き生きと描かれています。
そのなかでも個性光るのはドン・キホーテのおともであるサンチョ・パンサ、結婚を大反対するキトリの父親ロレンツォ、キトリに言い寄るお金持ちの貴族ガマーシュ。
このたびのプログラムでは舞台を支える人気キャラクター座談会を実施しました。
ここでは、本誌に書ききれなかった貴重なこぼれ話を一部ご紹介します。



■サンチョ・パンサ座談会:岡崎隼也×海田一成×後藤健太朗

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左から岡崎隼也、海田一成、後藤健太朗。
photo: Shoko Matsuhashi



――みなさんの"サンチョ・パンサ歴"を教えてください。

岡崎 サンチョ・パンサは子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(以下『子ドンキ』)の初演(2014年)以来だから、もう10年ほど踊ってきています。
海田 僕は確か、6~7年前が初めてですね。
『子ドンキ』のサンチョ・パンサは台詞があるので、ヨーロッパ・ツアーの最中に必死に台詞を練習していた記憶があります。
後藤 僕も『子ドンキ』では何度かやらせていただいているのですが、全幕では初めてです。
今回はサンチョ・パンサもガマーシュも全幕では初挑戦になります。
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海田一成が演じるサンチョ・パンサ。
photo: Shoko Matsuhashi

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子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』でサンチョ・パンサを演じる後藤健太朗。このたびの公演で全幕デビューを飾る。
photo: Koujiro Yoshikawa

――人気者のサンチョ・パンサですが、どんなキャラクターとして演じていますか?

岡崎 ワシーリエフ版のサンチョ・パンサはユーモアにあふれていて、みんなに好かれるキャラクター。
初演キャストだった飯田(宗孝)先生そのままだと思います。
実際、ワシーリエフさんは飯田先生のふとした瞬間を振付に取り入れていたそうなんです。
海田 かなりシャイな方でしたよね。
飯田先生がサンチョを踊っている映像がDVDに残っているんですが、すごくかわいい(笑)。
岡崎 ワシーリエフさんが指導にいらしても「サンチョは彼のキャラクターだから」とおっしゃって、僕たちはほとんど飯田先生から教わりました。
海田 ただ、飯田先生はよく「自由でいいよ」と言うので、
先生が踊った映像以外に、ABTや英国ロイヤル・バレエ団など別のカンパニーの映像も観て研究しました。
「この人はかわいらしいな」とか、「これだとおじさんっぽいな」とか見比べながら、ほどよいところを探っていきましたね。
後藤 僕も『子ドンキ』でサンチョを踊ったときに飯田先生に教えていただきました。
そのときは、お客さまに今なにが起きているのかがわかるように、もっと芝居を大きく、マイムもゆっくり丁寧に、と。サンチョは無邪気に、がむしゃらに、いっぱいいっぱい演じるというイメージですね。

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故飯田宗孝が演じるサンチョ・パンサ。愛らしい飯田のサンチョは彼の当たり役の一つであった。
photo: Kiyonori Hasegawa

――演技のパートが非常に多いですが、どのくらいがアドリブなのでしょうか?

岡崎 演技の部分は9割9分、アドリブですね。
踊る人によって演技が変わるのはもちろん、主役や絡む相手次第でも変わってくるので同じサンチョはいないんです。
あと、僕は『子ドンキ』も含めると、ありがたいことに何十回もやらせていただいているので、新鮮な気分で演じないとお客さまにマンネリ感が伝わってしまう。
だからなるべく毎回、いい意味で違うことをするように心がけています。
後藤 僕は『子ドンキ』での経験ですけど、1幕の広場のシーンについて(斎藤)友佳理先生や(佐野)志織先生が「人生に同じ日は一日もない。それと同じことが舞台上で起こっているようにしたい」とおっしゃっていた通り、毎公演違うことが舞台上で起きている。昨日はあちらにいた人が、今日はこっちで別の人と話していたり......舞台に出ながらビックリすることもありますね。
海田 僕の場合はドン・キホーテ役が変わると、サンチョもけっこう変わるかも。
人によって「呼ぶの早いな!」と思うこともあれば、逆になかなか呼ばれないこともあったり、タイミングが違うと反応が変わってくる。
岡崎 確かに会話が変わるよね。僕はどちらかというと、ガマーシュ次第で変わるかもしれない。
ガマーシュだけは、サンチョがいじっていいらしいんです(笑)。
ガマーシュも毎回違う演技をするから、今日はどうやっていじってやろうかなって悪だくみしてますね。

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愛されキャラのサンチョは街の人々の笑顔の中心に。
photo: Shoko Matsuhashi

――サンチョ・パンサといえば、布の上での大きな跳躍が見せ場ですね!

岡崎 布の上でサンチョが跳ぶシーンは、20人以上のダンサーが一気に布を引っ張ることで浮かび上がるので、
動きとしてはまさにトランポリン。
布をピンと張ってくれていないと、落ちたときに床に背中がついてしまうこともあるから、降りるときは確かに怖い。
でも、布を持ってくれている人たちも必死でつかんでいるから、擦れて手の皮がめくれている人もいる......
地味なつらさのあるシーンです。
後藤 『子ドンキ』の場合は布が小さいから、みんなの力が伝わりやすいので割とイージーなんですけど、全幕版だと布も大きいから......。
海田 大きい布を大勢で持つと楕円形になりやすくて、均等に力がかからないからさらに難しいんだよね。
岡崎 うまく上がれたときは本当に気持ちいいんですけどね。
どんなふうにジタバタしたら面白く見えるかなって考えているんですけど、上がってみないとわからない。
リアルにジタバタせざるを得ない状況になることもあります(笑)。

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上の写真は『ドン・キホーテ』全幕、下の写真は『ドン・キホーテの夢』(サンチョを演じるのは岡崎隼也)のトランポリン。跳んだサンチョの表情や仕草も見どころの一つ。
photos: Kiyonori Hasegawa, Koujiro Yoshikawa

――最後に、ワシーリエフ版のお好きなところを教えてください。

岡崎 僕はロマのシーンかな。ほかのどのバージョンより、このシーンはかっこいいと思います。
男性ダンサーなら踊りたくなると思う。
後藤 僕はやっぱり1幕の広場のシーンですね。
広場のなかでそれぞれが日常を生きているので、公演ごとに違うから見比べる楽しさもあります。
リハーサル中、静かになると「(動きが)止まってるよ!」って注意されるんですよ(笑)。
もちろん、真ん中で踊っているダンサーがいるときはトーンを下げますが。
海田 踊りでいうと、闘牛士たちが登場するシーンが好きです。
自分がセギディーリャを踊ったとき、そのあとに闘牛士たちが一斉にやってくるから「来たー!」って盛り上がる。
剣がちゃんと刺さるかなってハラハラするところも含めて楽しい場面だと思います。

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photo:  Shoko Matsuhashi



取材・文=富永明子(編集・ライター)













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