Repertory

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モーリス・ベジャール

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

 装飾的な要素をいっさい排除し、赤い円卓の上の"メロディ"と周囲をとりかこむ"リズム"とがラヴェルの音楽を大胆に象徴するこの作品は、その簡潔さゆえに、踊り手によって作品自体が形を変える。あるときは美の女神とその媚態に惑わされる男たちの繰り広げる"欲望の物語"、あるときは異教の神の司る"儀式"......。聖と俗の間を自在に往き来し、踊り手の本質をさらけだすこの作品は、初演以来四十数年の間に、多様な姿を見せてきた。

 「このあまりにもよく知られた曲がいつも新鮮に聞こえるのは、その単純さゆえである。スペインというよりむしろ東洋にその源をもつメロディは、メロディそのものの上にさらに渦を巻いてゆく。しなやかで女性的、かつ情熱的なものを象徴する。このメロディは、必然的に単調なものとなっている。男性的なリズムは、つねに一定のものを保ちつつ、その量と勢いを増すことによって、音の空間をむさぼり、ついにはメロディをも飲み込んでしまうのである。」

(モーリス・ベジャール)