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2015/03/10

高岸直樹 退団のご挨拶

 挨拶用 m01 高岸直樹 Naoki Takagishi (c) Nobuhiko Hikiji.jpgこのたび、東京バレエ団を退団することとなりました。  いま、あらためて振り返れば、29年前の入団の日がつい先日のことのように思えます。地元京都のバレエ教室では、男性は自分一人。いずれ東京に出て踊りたいと考えていた丁度その頃、モーリス・ベジャール振付『ザ・カブキ』のリハーサルの模様をテレビで偶然見たのです。自分も多くの男性ダンサーが活躍するなかで踊りたいと思い、オーディションを受けました。  入団の翌月、1986年4月に『ザ・カブキ』は世界初演を迎え、初めてお目にかかったベジャールさんの存在感、芸術家としての大きさに衝撃を受けました。1年後の再演で主役の由良之助を演じることになり、日本公演で踊った後、パリのパレ・ド・コングレ公演の際に初めて、直接ベジャールさんに由良之助役を指導していただきました。鷹のような鋭い目が印象的なベジャールさんでしたが、とても優しく、様々なヒントを与えてくださり、自分のなかで役柄を膨らませることができました。その後、『火の鳥』、『ボレロ』、『M』なども踊っていますが、どれも思い出深い作品ばかりです。  また、ジョン・ノイマイヤーさんとはオリジナル作品『月に寄せる七つの俳句』と『時節(とき)の色』を一緒に創っていくことができ、これらは私にとってかけがえのない作品となりました。ノイマイヤーさんはつねに、ダンサーたちに「強く、強く」と求められていました。私もより積極的にリハーサルにのぞみ、ノイマイヤーさんがそれをとても喜んでくださったことが強く印象に残っています。 THE KABUKI 11_Naoki Takagishi_0745_photo K.Hasega.jpg ウラジーミル・ワシーリエフさんには『ドン・キホーテ』を振付けていただきましたが、憧れの大スターだっただけに、同じ空間にいるだけで幸せでした。いつも胸を打つ言葉で指導してくださったことを覚えています。  人生の半分以上を過ごし、ともに歩んできた東京バレエ団。素晴らしい振付家たちとの出会い、世界的なアーティストたちとの共演、ヨーロッパのオペラハウスでの公演と、数々の貴重な体験をさせてもらったことを、心から感謝しています。  団員の皆には、東京バレエ団はダンサーを成長させてくれる、素晴らしい環境がととのっているのですから、自分の可能性を信じ、いつか花開くことを信じて続けてもらいたいと願っています。私も陰ながら応援していきたいですし、恩返しのつもりで、これまで得たことを指導の場で発揮したいと考えています。機会があれば東京バレエ団へも指導にまいりますので、これからも、お互い、ともに伸びていけたらと思っております。 長い間、応援していただいた観客の皆様には、ぜひ、今後の東京バレエ団を温かい目で見守っていただけますようお願い申し上げます。29年間、「東京バレエ団の高岸直樹」を応援いただき、本当にありがとうございました。 photo:Kiyonori Hasegawa,Nobuhiko Hikiji