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2014/09/17

「ドン・キホーテ」公開リハーサル&ワシーリエフ記者懇親会レポート

 創立50周年シリーズ第6弾、『ドン・キホーテ』のリハーサルが進行中の東京バレエ団。指導のために12年振りに来日した振付家、ウラジーミル・ワシーリエフによるリハーサルがついにスタート、9月12日、ワシーリエフを囲んでの記者懇親会が開催されました。20世紀を代表する英雄的ダンサーであり、その『ドン・キホーテ』の伝説的名演で知られるワシーリエフ。「私が最も愛するクラシック作品」と、『ドン・キホーテ』への並々ならぬ思いを熱く語りました。

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「この作品を演出したいと思った時、既に過去の優れたダンサーたちが、その時々に自らの美点を加え、作品は変化を遂げていました。その中で私がどうしても残しておきたいと思ったのは、約60年前に私が最初に観た『ドン・キホーテ』の、その雰囲気です」と話すワシーリエフ。「当時も、『ドン・キホーテ』の作者としてプティパの名が掲げられていましたが、実際は1900年にゴールスキーが全く新しい生命を与えたものです。舞台にいる男女それぞれが全員、自分の人生を生き、共通のお祭りの雰囲気を皆が感じている──。それが、ゴールスキーの求めたもので、子どものときに見た舞台は、テクニックよりも"生の喜び"が溢れていたのです」。さらに、1962年に初めてバジル役を踊ったときの、教師アレクセイ・エルモラーエフとの役づくり、ミザンセーヌ=演技の重要性、その変革に対して受けた賞賛と批判など、話題は尽きません。「エルモラーエフ先生とともにバジルを創り、私はそこにたくさんの新しい動きを入れました。後に続く世代のダンサーたちは、それを発展させていったのです」。1964年の第1回ヴァルナ国際バレエコンクールでは、その改訂版のバジルのヴァリエーションを踊ってグランプリを受賞。「面白いことに、第2回のコンクールでは、私のバジルをそのまま踊る人が出てきた! それでも、その振付家はプティパだ、というんです(笑)。でも、そんなことは気にしません」。現在では、ワシーリエフが踊ったバジルの改訂版が、世界中のダンサーによって踊られている。

 そして2001年、東京バレエ団のために手がけた『ドン・キホーテ』──。「13年前のことをそのまま繰り返すことはできません。私たちは日々変化しますし、技術も発達している。より改良されたものをお見せしたい」。

 同席した斎藤友佳理は、アシスタントとしてワシーリエフ来日までの指導を一任されていましたが、「彼のようにエネルギッシュに指導する人はロシアでも少なくなっている」と、その指導がいかに貴重なものであるかを指摘。「ダンサーたちも出演する子どもたちも、彼のリハーサルに参加すると、とたんに目が輝き出すのです」。

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 懇親会に先立って公開されたリハーサルでは、上野水香、柄本弾の主役カップルを中心にエネルギッシュかつ緻密な指導を繰り広げたワシーリエフ。稽古の後半では、今後が期待される若手の踊りも記者たちに見てほしいと、岩国公演に主演する沖香菜子、梅澤紘貴に主役を任せました。「東京バレエ団は非常に高いプロフェッショナリズムを持っている。皆とても素晴らしく、愛しい存在です!」。ついには立ち上がり、大きな身振りで演技について熱弁をふるうワシーリエフ。「好きなことだと永遠に話し続けられるものだね(笑)」と、満面の笑顔で締めくくっていました。

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●「ドン・キホーテ」公式サイト>>>

文:加藤智子(フリーライター)

リハーサル撮影:細野晋司