ジョン・ノイマイヤーが、アントニン・ドヴォルザークの哀調を帯びた流麗な名曲「弦楽セレナーデ」にのせて創作した作品。7人の女性ダンサーと10人の男性ダンサーによって、甘美な抒情やみずみずしい躍動美の世界が織りなされる。
『スプリング・アンド・フォール』という題名は、もともとイギリスの叙情詩人ジェラード・ホプキンズの詩作から借用された。詩人が言葉の語感やリズムによって文字通り以上の深い世界を表現するように、ノイマイヤーは題名の意味を、ダンスによって多義的でメタフィジカルな世界へと展開している。
「英語のこの題名には、"春と夏"という季節のほかに、"跳躍と落下"という意味もある。すなわち、モダンダンスのテクニックの原理である。人生の鏡としての季節は必ずしもこの作品のテーマではなく、ダンスそのものが人生の表現、作品のテーマなのだ」(ノイマイヤー)
舞台で繰り広げられるダンスの、めくるめく躍動の魅惑に身をまかせながら、人はそこに、生の喜びや甘美な感情、哀愁と行ったさまざまな意味を感じとっていくのだ。