レパートリー

「時節(とき)の色」

振付・舞台コンセプト:ジョン・ノイマイヤー
音楽:クロード・ドビュッシー、クロード・.ドビュッシー/富田勲、フランツ・シューベルト/ハンス・ゼンダー、アントニオ・ヴィヴァルディ、フェリックス・メンデルスゾーン、三木稔、ジョゼッペ・ヴェルディ、湯浅譲二
装置・衣裳・照明:ジョン・ノイマイヤー

 現代バレエの巨匠の一人であるジョン・ノイマイヤーが、『月に寄せる七つの俳句』に続いて東京バレエ団のために創作したドラマティックな舞踊詩。日本をたびたび訪れる機会のあったノイマイヤーは、季節の移り変わりを繊細に掬い取る生活習慣や文化に感銘を受け、"心の四季"を創作の主題として、これを「時節(とき)の色」(原題直訳:季節――時の色)と名づけた。

 表題にある季節の色は、中国の季節に関する詩にちなんで、冬(北)は黒、春(東)は青、夏(南)は赤、秋(西)は白が使われている。音楽は、日本と西欧の季節を描いたあらゆる音楽の中から選択され、コラージュされている。なかでも前後の断片を繋いでいくドビュッシーの「雪の上の足あと」の静寂な音色が、全編のライトモティーフとして効果的に使われている。

 ノイマイヤーは、11年前の前作でともに作品を作り上げた高岸直樹、斎藤友佳理、木村和夫を再び作品の中心に据え、新しい人材も起用して、スタジオでダンサーたちと1ヶ月にわたって密度の濃いリハーサルを重ねた。また、装置・衣裳・照明に至るすべてがノイマイヤーによる指示のもとに作り上げられた。

 「中心人物は、いわば四季の移り変わりを旅する旅人だ。そこには問いかけがある。これは自然の外見的な季節なのか、現在、過去あるいは未来の季節なのか、それとも、彼自身の存在と運命の内なる季節なのか。彼が経験する季節は、ときに彼の気分や行動に反映し、ときに反発する。旅の道すがら、男は様々な道連れやまわりを取り巻く人々に出会う。あるいは、彼が実際に感じているのは自分の人生のほかの季節かも知れない。しかし、どの人生もそうであるように、彼もまた、前へと急き立てる「時」と、やさしく過去へと誘う「想い出」の恵みを道連れにしているのだ。」(ジョン・ノイマイヤー)