オペラで有名なこの作品に、主役のドン・ジョヴァンニそのものは登場しない。あくまでも女たちのまわりに存在するものとして扱われている。あるときは照明により、あるときは椅子を置くことによってその存在が知らされる。
女たちは架空の男、想像上のプレイ・ボーイ、ドン・ジョヴァンニのためにその愛と情熱とエネルギーを注ぐ。しかし、彼女たちは舞台に突然あらわれた劇場の裏方さんを見て現実にひきもどされてしまう。
「若いバレリーナたちが、ステージでリハーサルが始まるのを待っている。声・・・夢・・・伝説!
ドン・ジョヴァンニ(ドン・ファン)!
この想像上のプレイ・ボーイのために、女たちは愛と情熱の限りを尽くす。驚異的なテクニックが駆使されているこの曲は、ショパンがわずか17歳の時に作曲した。モーツァルトとショパンという2人の天才の絶妙な"結婚"から生まれた傑作である」
(モーリス・ベジャール)