レパートリー

「ラ・バヤデール」

振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
音楽:ルドヴィク・ミンクス
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント

 『ラ・バヤデール』はフジャコーフの台本によってミンクスが音楽を書いた4幕7場のバレエで、1877年マリインスキー劇場で、プティパの振付・演出によりはじめて上演された。ロシアでの題は『バヤデルカ』。バヤデールとはインドの寺院に仕える舞姫のこと。異国情緒豊かな古代インドを舞台に、主人公ニキヤと恋人の戦士ソロル、そしてニキヤの恋敵である王女ガムザッティとの三角関係を軸に、愛憎渦巻く宮殿の陰謀に巻き込まれる悲恋を描く、古典の名作である。

 東京バレエ団では1971年以来、「影の王国」の場面のみを上演していたが、2009年の創立45周年を期に全幕上演を実現した。同作には様々なヴァージョンがあるが、東京バレエ団では名版の誉れ高いナタリア・マカロワの演出版を採用した。ニキヤが陰謀により毒殺されたあと、逡巡しながら結婚式に臨むソロルと王女ガムザッティに、亡霊となったニキヤがからむドラマティックな踊り、そして終幕の寺院の崩壊の場面などはマカロワ版ならではの見どころとして広く知られている。

 初演の際には振付家のマカロワ本人が来日し、指導にあたった。以来、国内外で上演を重ね、21世紀の東京バレエ団を代表する古典のレパートリーの1つとなっている。