詩人バイロンの物語詩に想を得た壮大なグランド・バレエ「海賊」は、古典作品の中では珍しく、男性ダンサーの活躍の場が多い力強い魅力に溢れた作品。
舞台はオスマン帝国が支配する地中海世界。多様な文化が混ざり合うバザール(市場)、海賊たちの根城である島、パーシャ(太守)のハーレムを舞台に、海賊の首領コンラッドと美女メドーラ、そしてコンラッドに仕える奴隷のアリや奴隷商人のランケデムなど、様々な登場人物の思惑がからんだ中で愛と冒険の物語が展開する。
バレエコンサートでも頻繁に上演される有名なパ・ド・トロワや、コンラッドとメドーラによる情感あふれる「寝室のパ・ド・ドゥ」、華やかな群舞が見どころの"花園"の場面など、見どころには事欠かない。
2019年、東京バレエ団はロシアのセルゲイエフ版を基にしたアンナ=マリー・ホームズ版を、ホームズ自らの指導のもと、ミラノ・スカラ座製の豪華な装置・衣裳で初演し、成功をおさめた。