レパートリー

「結婚」

振付:ブロニスラワ・ニジンスカ
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

 ディアギレフがストラヴィンスキーに音楽を委嘱し、ブロニスラワ・ニジンスカ(ワツラフ・ニジンスキーの妹)振付によってバレエ・リュスで初演された。古代の中央ロシアの農家における結婚の儀式を描いた、「花嫁の祝福」「花婿の祝福」「花嫁の生家からからの出発と結婚式」「結婚の宴」の四場からなる全一幕の作品。祝祭的な雰囲気はいっさいなく、無表情な花嫁と花婿はあたかも結婚という社会のしきたりの犠牲者のようである。アンサンブルの、こぶしを握り上体を屈めた鋭角的な動きや、飛翔するというより大地を踏みつけるような跳躍は、ニジンスキーの「春の祭典」を想起させる革新的なもの。花嫁の長いお下げ髪を手にした友人たちがつま先立って整列したり、顔を重ね合って積み重なったりする、印象的な場面が随所にある。

 本作は1966年にロンドンで40年ぶりにリバイバルされて以来、バレエ・リュスが生んだ傑作の一つとして世界各地で上演されている。東京バレエ団は1998年、"ディアギレフ:バレエ・リュスの20世紀"と題された、<東京の夏>音楽祭への参加公演《バレエ・リュスの輝き》で、これを日本初演した。