舞台を支える人気キャラクター座談会ーガマーシュ【『ドン・キホーテ』公演プログラム番外編】
陽光降り注ぐスペインの港町を舞台に大騒動が巻き起こる『ドン・キホーテ』。
東京バレエ団が2001年に初演したウラジーミル・ワシーリエフ版は、主役のキトリとバジルを中心に、舞台に登場する一人ひとりが生き生きと描かれています。
そのなかでも個性光るのはドン・キホーテのおともであるサンチョ・パンサ、結婚を大反対するキトリの父親ロレンツォ、キトリに言い寄るお金持ちの貴族ガマーシュ。
このたびのプログラムでは舞台を支える人気キャラクター座談会を実施しました。
ここでは、本誌に書ききれなかった貴重なこぼれ話を一部ご紹介します。
■ガマーシュ座談会:鳥海 創×樋口祐輝×後藤健太朗

photo: Shoko Matsuhashi
――愛されるキャラクターのガマーシュですが、演じるときに工夫している点は?
樋口 ガマーシュはおっちょこちょいでナルシストで、ちょっとお馬鹿な貴族。
貴族なので、どんなにふざけても下品になりすぎないように気をつけていますね。何もないときの立ち姿とか。
鳥海 難しいのが”貴族感”ですね(笑)。人から「普段のままだったよ」と言われるので、貴族感を出すのが難しいなと。
後藤 僕は初役なんです。コミカルな役を演じるのが好きだし、日ごろから人を笑わせるのが好きなんです。
おふたりが相当面白いので負けないようにやりたいんですが、僕は面白いほうに走りすぎてしまう傾向も……。貴族感は抜かないように気をつけたいですね。

photos: Koujiro Yoshikawa
――アドリブでの演技もかなり多いですよね?
樋口 サンチョ・パンサとはよくアドリブで絡むけど、あえて前もって決めずに本番で自由に動くこともありますね。
鳥海 みんな、真ん中で踊っている人を観てるだろうからあんまり観られていないだろうと思いきや、コアなお客様はけっこう観てくれていて(笑)。
SNSとかで「今日はこんなことをしていましたね」って書かれるときもあるから、気が抜けない。
樋口 結婚式のシーンで、ロレンツォと一緒に座っているときもアドリブでいろいろやっているんですが、お客さまから「面白かった」と言っていただくこともあって、それを楽しみに来てくださっている方もいるんだなって。
後藤 おふたりは面白い動きのボキャブラリーをたくさん持っているので、リハーサルを通して少しずつ盗んでいけたらなと(笑)。


photos: Koujiro Yoshikawa, Hidemi Seto
――『ドン・キホーテ』で、演じてみたい役柄はありますか?
鳥海 僕は「ガマーシュの召使」!
樋口 え?(笑)
鳥海 ガマーシュにはお付きの召使がいるんですけど、それがやってみたいんです。すでにガマーシュのやることは把握できているから、今ならお付きとしてうまいフォローができるんじゃないかなと。ふたり(樋口&後藤)のサポートもしてみたいですね、純粋に。
樋口 鳥海がお付きでいたら、こっちが負けると思うんだけど(笑)。鳥海しか目立たなそう。
鳥海 あと、2幕の酒場のシーンでバジルがマントを投げるんですけど、マントって思うように飛ばないんですよね。だから、そのマントをうまくキャッチする役もやりたい(笑)。
樋口・後藤 (爆笑)
樋口 僕はエスパーダに憧れがありますね。身長が高くてすらっとしたダンサーがやることが多いので、きれいだし、かっこいい。
後藤 ワシーリエフ版は男性のかっこいい踊りが多いですよね。そのなかでもやっぱりエスパーダは憧れます。男の子でバレエやってる子はみんな、憧れるんじゃないかな。

photo: Shoko Matsuhashi
――最後に、みなさんが思うワシーリエフ版の”見どころ”を教えてください。
後藤 ワシーリエフ版は音も展開もスピーディですが、初めて観る方にもわかりやすい作品だと思います。キャラクター同士の関係性がはっきり描かれていて、会話も伝わってくるので。
樋口 個人的には、居酒屋のシーンが好きです。それぞれが、それぞれの役を生きていて、踊りというより芝居を観ている感覚になります。
鳥海 僕は1幕の広場のシーン。ダンサー全員が、お客さまに楽しんでもらうために演技している。子どもの相手をしている人もいれば、屋台から物を盗んでいる人もいたり、細かい演技が面白い。一回ではなかなか見切れないので、できれば何度か観にきていただくのがおすすめですね。



取材・文=富永明子(編集・ライター)
