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インタビュー

団長の斉藤友佳理が語る、「はじめてのバレエ『白鳥の湖』~母のなみだ~」新制作初演への想い

斎藤友佳理(東京バレエ団団長)


この夏、東京バレエ団が新制作を行う「はじめてのバレエ『白鳥の湖』~母のなみだ~」の初日まで1週間となりました。初日を前に、本作の陣頭指揮をとる斎藤友佳理(東京バレエ団団長)が作品、そして舞台にかける想いを語りました。ぜひご一読ください。

―はじめてのバレエ『白鳥の湖』を新制作する理由をお聞かせください。

(斎藤)子どものためのバレエ『眠れる森の美女』(2012年初演)、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(2015年初演)は、ナレーション付で上演時間も短く親しみやすいので全国公演が続いています。そうした中、各地の劇場の方々からそれ以外の新作もぜひとお願いされていました。また、東京文化会館が2026年5月から大規模改修にともない休館するなど、首都圏のバレエに適した劇場が限られてきます。全国各地で上演できる新たなレパートリーとして求められている一面もあります。

―「子どものためのバレエ」とコンセプトは基本的に同じですか?

バレエをご覧になったことのない方たちに親しんでいただけるオーソドックスな舞台をという方向性は変わりません。休憩時間を含め約90分に収めなければいけないのと、出演者人数が40~45人という制限を基本としています。ただ、『眠れる森の美女』の場合、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』にふれた先にご覧いただきたい本格的な古典全幕を2023年に私の新演出・振付で制作しましたが、今度の『白鳥の湖』は順番が逆です。

2016年、私が芸術監督になった翌年にブルメイステル版『白鳥の湖』を新制作しましたが、今回は新たな版です。以前のゴールスキー版を短くするわけでもありません。ある意味完成されたクラシック・バレエの代名詞を私自身の手でダイジェストにするのは想像以上に難しい作業でした。頭と心にブルメイステル版が焼き付いて、なかなか脱却することができないのが辛かったですね。

―道化のダンサーが語り役となり、オデット姫と王子の物語を進めるそうですね。

道化は4人登場し、その内のひとりが語りを担い、話の流れを補うようにナレーションが入ります。ちなみに道化の4人には、それぞれの性格に特徴を持たせました。『白鳥の湖』は男性が活躍できる箇所が多くないので、今回は踊る場所をたくさん設けます。ナポリの踊りは女性と同じ男性4名。スペインの踊りは女性2名に対して男性4名となりました。

稽古場で衣裳をあわせる金子仁美(オデット役 8/23[土]15:30出演)

―そのほか演出・振付でこだわったのはどういった点ですか?

「振付に絶対に手を付けてはいけない」場面と、「ここは今の時代の視点から見ておかしくないように変えてもいい」という線引きは難しかったですね。大学(ロシア国立舞踊大学院バレエマスターおよび教師科を首席で卒業)で学んだ歴史舞踊、キャラクターダンス、音楽理論、伝承学、劇場史などが判断の拠り所になりました。

1幕ではパ・ド・トロワに代わってワルツの中でジークフート王子の友人たちを踊らせるなど工夫しました。王子のソロを入れたことで、彼の感情や背負う苦しみが伝わると思います。2幕はイワーノフの原振付に手を付けてはいけないので、どうやって物語を壊さずにカットして全体の時間制限内におさめるか? 大きなチャレンジでした。3幕は幕が開いてすぐにナポリの踊りで、道化も出ます。スペインの踊り、オディールと王子のグラン・パ・ド・ドゥもお見せし、休憩を入れず4幕に進むことで物語に集中したまま最後まで観ることができます。

―副題に「母のなみだ」とあります。「悲しみにくれたオデットの母の涙でできたといわれる湖」のエピソードに関わるのですよね?

「母のなみだ」というコンセプトから自分の想いをつなぐと形になるのではないかと考えました。幕開けにオデットの母が出てきて、彼女の回想録のように舞台が始まります。オデットはロットバルトに捕まり、白鳥の姿に変えられてしまう。それを母親が嘆き悲しみ、その涙で湖ができるという言い伝えにまつわり物語がはじまるのです。結末はぜひ舞台をご覧になってお確かめいただければ幸いです。これは母娘の物語でもあるのです。

―ブルメイステル版『白鳥の湖』では踊っていない大役を初めて踊る方も多いですね。

若手を主要な役でご覧いただけるのも、このシリーズの特徴と言えるのかもしれません。長谷川琴音をオディールに抜擢しましたが成長を期待しています。中島映理子はオデット。大怪我から1年少し、今回本格復帰します。また、金子仁美はオデット、伝田陽美はオディールを踊ります。
そして、秋山瑛が初めてオデット/オディールに挑みます。今回は初演ということでプリンシパルの秋山のみ、両役を踊ってもらいます。
ジークフリート王子は3人。プリンシパルの池本祥真が秋山とともに初日を飾ります。生方隆之介は役柄を広げていく時期。南江祐生もいい資質を持っています。

写真左より、オディールの衣裳をあわせる長谷川琴音(8/23[土]15:30出演)、秋山瑛(8/22[金]15:00, 8/24[日]11:30出演)

――公演に向けて意気込みをお願いします。

ツアーで全国各地を回る度に、バレエを初めてご覧になる方にとって、台詞があったり、コンパクトに作品をまとめたりすることが鑑賞される際の第一歩につながると身をもって感じています。原点を崩さず、皆様に愛される作品になればと願っています。

稽古場で衣裳を確認する斎藤友佳理(写真左端)


取材・文:高橋森彦(舞台評論家)


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