2017/06/26
東京バレエ団「ラ・バヤデール」、東京公演の開幕まであと5日!
4月のシュツットガルト公演で現地を熱狂させた舞台がいよいよ東京に凱旋します!
開幕に先駆け、過日行われた公開リハーサル&記者懇親会のレポートを
ライターの加藤智子さんに寄せていただきました。
あわせて、先日アムステルダムで行われた上野水香(ニキヤ役)とダニエル・カマルゴ(ソロル役)の
リハーサル写真もご紹介いたします。
フレッシュなゲストと、シュツットガルトでの大きな経験を経てのぞむ「ラ・バヤデール」。どうぞご期待ください。
6月末の『ラ・バヤデール』公演を控え、ゲストのオランダ国立バレエ団プリンシパル、ダニエル・カマルゴがリハーサルのために来日。稽古最終日となった4月21日、カマルゴと斎藤友佳理芸術監督、上野水香、川島麻実子らの出席のもと、記者懇親会が開催されました。
当日公開されたリハーサルでは、芸術監督、斎藤友佳理の指導による、ニキヤ役上野水香らとの密度の濃い稽古を披露したカマルゴ。ソロル役最大の見せ場の一つ、ヴァリエーションを踊ってギャラリーのため息を誘ったり、ガムザッティ役の川島、領主ラジャ役木村和夫も加わっての緊密なパ・ド・カトルを展開したりと、その美しい姿を記者たちに強く印象づけていました。
懇親会に場を移すと、斎藤は「2009年の東京バレエ団初演では私もニキヤ役を踊っていますが、公演直前にはマカロワさんに直接指導をいただき、オリガ・エヴレイノフさんが全て細かく振付指導をされました。エヴレイノフさんはその後も上演のたびに指導に来てくださる。その彼女の厳しい目があるからこそ、こうしていい状態で保っていける。とても感謝しています」とコメント。
マカロワ、エヴレイノフの推薦を受け上野水香のパートナーとして招かれたカマルゴは、「日本に呼んでくださってありがとうございます」と穏やかな雰囲気で挨拶。「昨年、初めてマカロワ版『ラ・バヤデール』のソロル役を踊りました。マカロワさんと一緒にスタジオに入ることができて、光栄でした。とてもスペシフィックに指導をなさる方。それぞれのキャラクターが強く、踊りもとても美しい作品ですから、正しく踊れるようにしたい。彼女から学ぶことができてよかったと思います」。
ニキヤを踊る上野は、「初演の時から、上演のたびに違うパートナーと踊っていますが、相手によって視線の合わせ方、ニュアンス、タイミングが全然違う。それを全く同じ踊りの中で体験することは、自分の役柄の成長にも繋がっていくように思います。新たなパートナーを得て、さらに違ったニキヤ、違った自分を見せられるのではないか。カマルゴさんはアーティストとしてまっすぐな情熱を持った方ですので、そこを大切にして、いい舞台にしたいですね」。
川島麻実子は、先のシュツットガルト公演で、秋元康臣を相手に初めてニキヤ役を踊ったが、日本でのニキヤ役は今回が初めて。また最終日の上野、カマルゴのペアが主演する舞台では、ガムザッティを踊る。初演以来、コール・ド・バレエからソリスト役、ガムザッティを演じ、さらに今回のニキヤを含めると、ほぼ全ての役柄を踊ることに!「これまでの経験を活かしていきたい。ニキヤ役は素晴らしいけれど、大きすぎて最初は抵抗があり、シュツットガルトでは緊張していまいました。東京ではもっと深めていきたいです」。
4月上旬に第32次海外公演として実施されたシュツットガルト州立劇場での『ラ・バヤデール』の大成功。今回の公演は、それを受けての凱旋公演の意味合いもあります。
「シュツットガルト・バレエ団では、1973年に芸術監督のジョン・クランコさんが亡くなり、その後すぐに日本公演があり、同じ年に東京バレエ団がシュツットガルトで公演をして──。そういった歴史があっての今回なのに、ゲネプロではダンサー、衣裳、照明、オケ......全部の歯車があわなくなる瞬間があり、その晩は眠れませんでした。が、私にできることはダンサーたちを、携わってくださる方たちを信じることだけ。口も開けないくらい緊張していた私に、上野が『大丈夫、私が何とかしますから』と言ってくれた時は、本当に心強かったです」とダンサーたちに強い信頼を寄せる斎藤。
初の客演となるカマルゴを迎えた稽古場も、実に良い雰囲気。実は彼、東京バレエ団の宮川新大とジョン・クランコ・バレエ学校で同級生だったそう。二人でよく校長先生に呼び出されて叱られたとの情報に、「子どもっぽいことをいろいろやっていたんだと思います(笑)」とカマルゴ。お茶目な一面をちらりとのぞかせていました。
(取材・文 : 加藤智子)
上野水香、ダニエル・カマルゴ、アムステルダムでのリハーサルより
★リハーサル動画も特別に公開しております。ぜひご覧ください!