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レポート2020/03/20

東京バレエ団〈スタジオ・パフォーマンス〉 公演レポート

去る1月25、26日に開催された東京バレエ団〈スタジオ・パフォーマンス〉。スタジオ内に舞台と客席を設ける、座席数が限られた公演のため、今回もチケットをご購入いただけなかった方が多いのではないでしょうか?

そこで、本番の様子を長く東京バレエ団の公演を取材していただいている加藤智子さん(フリーライター)のレポートでご紹介します。ぜひご一読ください! また、このたびはレポートの掲載が予定よりも大幅に遅れましたこと、お客様には心よりお詫び申し上げます。



Choreographic Project(コレオグラフィック・プロジェクト)2020〉スタジオ・パフォーマンスが、125日、26日の2回公演で開催された。

東京バレエ団のスタジオに一般の観客を迎え、団員たちの作品を上演するスタジオ・パフォーマンスは今年で3回目の開催。団員たちが会場設営の作業に参加したり、当日の案内係を務めたりと、手作り感にあふれた、温かみある公演が実現した。

今回、振付作品を出品したのは5人の団員たち。年末年始を挟んでリハーサルを重ね、本番の約2週間前には指導者、スタッフたちを前にしての試演会にのぞんだ。その後、斎藤友佳理芸術監督が出品者全員との面談を実施、ブラッシュアップのためのさまざまな助言を与えたという。振付を手掛けたダンサーたちは、残された短い期間の中で、構成に変更を加えたり、ニュアンスを変えたりと工夫を重ね、本番を迎えた。

当日、開演前に挨拶をした斎藤芸術監督は、これまでの〈Choreographic Project〉でさまざまな作品が生まれてきたことに触れながら、今回も「それぞれがその持ち味を生かした、素晴らしい作品を披露してくれると信じています」と皆を激励した。


今回、上演された5人の振付者による6作品。そのうち3作品は、初エントリーの団員によるものだ。

トップバッターで登場した作品、『Jump UP』を振付けた山下湧吾も初エントリーの一人。中沢恵理子、工桃子、後藤健太朗とともに、若さ弾ける、みずみずしい感性で、踊る楽しさをぎゅっと凝縮させた。上演後のトークで、「ジャズダンスを習っていたときの楽しさ、その気持ちを大事にして創った作品です」と話した山下。次回も挑戦したいと目を輝かせた。

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山下湧吾振付 『Jump UP』


次の作品はブラウリオ・アルバレス『いい湯だな』2年前に発表した『ドアが閉まります』に続くシリーズ第2弾、外国人が見た日本の日常の光景の面白さをダンスに創り上げた。柄本弾(外国人)、秋元康臣(酔っ払い)、池本祥真(オタク)、山田眞央(おじいちゃん)、岡﨑司(女子高生)がそれぞれのキャラクターの可笑しさを最大限にアピール、客席を大いに沸かせた。

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ブラウリオ・アルバレス振付 『いい湯だな』


3番目に登場の安井悠馬は、ソロ作品『朱赫〜Shukaku〜』を自身で踊った。黒い衣裳に、赤く塗られた木刀と左腕。赤色は、自身を象徴する色という安井。「いま、悩んでいる僕自身がテーマ。僕は周りに埋もれてしまうようなダンサーだけれど、自分自身の持って生まれた個性や力、自分の色で、未来を切り拓いていきたい。そんな思いを込めて踊りました」と話した。入団して9カ月。バレエ団の活動に、意欲的に取り組む姿勢が透けて見えるような、力強いパフォーマンスとなった。

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安井悠馬振付 『朱赫〜Shukaku〜』


紅一点の金子仁美の作品は、『Anleitung〜道しるべ〜』。彼女自身が、ダンサーとして思い悩み、葛藤する姿を描いた作品だ。バッハの音楽を用いて、ヒロイン役の長谷川琴音の表現力をしっかりと引き出しながら、彼女の内面に渦巻く"白"と"黒"のせめぎ合いを描き出した。共演は上田実歩、髙浦由美子、山田眞央、後藤健太朗。初の挑戦だけに「口から心臓が出そうなくらい緊張しました」と話す金子だが、「皆がこれほどまでに、作品に魂を吹き込もうと踊ってくれる姿に、涙が出てきました」とダンサーたちに感謝の気持ちを述べた。この短い期間にも、創り手としてのプレッシャー、感動を存分に味わったようだ。

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金子仁美振付 『Anleitung〜道しるべ〜』


岡崎隼也は、20分ほどの大作『運命』抜粋版を発表。伝田陽美、柄本弾、政本絵美、秋山瑛、秋元康臣、池本祥真らを核に、沖香菜子、金子仁美、加藤くるみ、樋口祐輝、鳥海創と11人ものダンサーを配し、ドラマティックに「カルメン」の世界を浮かび上がらせた。今回、制限時間の縛りをゆるめ、大作に挑戦してみたいという振付者の意志をできるだけ生かそうという方向性が打ち出され、岡崎は「いつか取り組みたいと思っていた」という『カルメン』に挑戦。若者たちが運命に翻弄されていく様子を迫力あるダンスで描き出し、今年の観客賞を受賞した。

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岡崎隼也振付 『運命』抜粋版


最後は、ブラウリオ・アルバレスによる2作目、『I remember』。これも15分ほどの大作で、言葉を介さず、手と手を触れることで思いを伝える人々のドラマを紡ぐ。仮面をつけ、表情を見せずに踊るダンサーたちが、登場人物たちの思いを十二分に伝え、力作と評判に。アルバレスは、「手を繋いで写っている曽祖母の写真を見て、この作品のアイデアが生まれました。もしかしたら近い未来、人は、表情ではなく、手と手を触れることで理解し合うようになるかもしれない」と話す。

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ブラウリオ・アルバレス振付 『I remember』


終演後は、観客とダンサーたちが直接交流できる懇親会の場も設けられ、ダンサーたちにとっては、パフォーマンスの感想を直接聞く貴重な機会に。今回は、2日間にわたる上演が初めて実現したが、1日目の終演後、振付に修正を加え、2日目の公演にのぞんだ振付者も。常に作品に手を加えながら、より完成度の高い上演を目指すチャンスがあるというわけだ。
大ホールでの公演ではなかなか観ることのできない、彼らの未知の一面に触れることができる貴重な機会との声もあり、ダンサーたちの学びの場として、今後の開催にも期待が寄せられている。


取材・文:加藤智子(フリーライター)

写真:松橋晶子

レポート2020/01/20

〈スタジオ・パフォーマンス〉試演会レポート

まもなく本番を迎える東京バレエ団〈スタジオ・パフォーマンス〉。去る1月14日に、本番を意識した試演会を行いました。その様子を加藤智子さん(フリーライター)のレポートでお贈りします。ぜひご一読ください!


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今年で4年目となる東京バレエ団の〈Choreographic Project(コレオグラフィック・プロジェクト)〉が動き始め、1月25日、26日にスタジオ・パフォーマンスが開催される。本番の約2週間前、バレエ団のスタジオでは、指導陣やスタッフたちが見守る中、全作品の試演会が行われた。

〈Choreographic Project〉は、団員たち自らが創作した作品を発表する場を設け、彼らの創造力、表現力を高めていきたいという斎藤友佳理芸術監督の発案により2017年にスタート。東京バレエ団でのスタジオ・パフォーマンスを行い、東京バレエ団友の会アッサンブレ会員をはじめとする一般の観客にも公開している。ここで誕生したいくつかの作品が、〈上野の森バレエホリデイ〉や〈めぐろバレエ祭り〉のステージで上演されてきたが、より多くの観客に向けて上演を行うことで、ダンサーたちは作品をブラッシュアップさせながら、創作活動におけるより確かな経験を重ねている。
成果は、いろいろな場面であらわれている。たとえば、2019年12月に新制作された『くるみ割り人形』では、岡崎隼也とブラウリオ・アルバレスが振付の一部を担当。また二人は、昨年末の〈東急ジルベスターコンサート〉で、東京バレエ団のダンサーたちが踊る作品の振付も手がけた。
彼らの振付家としての活躍は、より若い世代のモチベーションにもつながるだろう。今回は、〈Choreographic Project〉始まって以来初めて女性団員がエントリーし、入団1年目、2年目の若手も創作にチャレンジ。これまで以上に、個性あふれる多彩な作品が並ぶスタジオ・パフォーマンスとなりそうだ。


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金子仁美の振付作品より

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安井悠馬の振付作品より


試演会のトップバッターを務めたのは、振付家としては紅一点の金子仁美。ダンサーとしての喜びや苦しみ、心の奥に秘めた葛藤を、長谷川琴音演じるバレリーナに託し、一つの作品にまとめ上げた。
自作のソロを踊った安井悠馬は入団1年目。十代の頃からたびたび振付に取り組んできたという彼は、赤く塗られた木刀というシンボリックな小道具を用いて、エネルギッシュなダンスを見せた。
ブラウリオ・アルバレスは2作品を出品。男性5人による作品は、外国人の目に映る日本の銭湯でのひとコマをコミカルにデフォルメして表現、皆を笑顔に。もう1作品は、未来を思わせる社会に暮らす人々のコミュニケーションを描いた力作。言葉を介さず、手を触れることで意思疎通をする登場人物たちの姿は独創的だ。


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いずれもブラウリオ・アルバレスの振付作品より


研究生からアーティストとなって1年目の山下湧吾は、若手の男女2組で元気いっぱいの楽しいダンスを展開。
岡崎隼也が今回取り組んだのは、「カルメン」。『運命』というタイトルのもと、11人ものダンサーを効果的に配し、ドラマを組み立てる。


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山下湧吾の振付作品より

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岡崎隼也の振付作品より


振付を手がけた団員たちは皆、「まだまだ手を加えなければ」と意欲的。不安や緊張の入り混じった表情で、舞台スタッフに相談を持ちかける者も。本番までの2週間で、振付・構成の精査、小道具や衣裳の調整、タイトルの再考と、追い込みをかける。出品・出演のないダンサーたちにも「全員、積極的に参加してほしい」と話す斎藤芸術監督。彼らが一丸となって「手作り」の公演を行うことで、一つでも多くのことを学んでもらいたい、と願っているようだ。


取材・文:加藤智子(フリーライター)

新着情報2020/01/01

東京バレエ団ダンサーからの年賀状2020

新年あけましておめでとうございます!

 昨年も東京バレエ団にあたたかいご声援をいただき、誠にありがとうございました。2019年は創立55周年という節目の年。「海賊」、「雲のなごり」、「くるみ割り人形」と新制作が続きましたが、無事に全ての舞台を終えることができました。劇場にお越しくださった全てのお客様にダンサー、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。

 2020年の年明けに、ダンサーたちから新年のご挨拶を申し上げます。毎年「クラブ・アッサンブレ」の会員様には、ダンサーの直筆サイン入りの年賀状をお送りしております。下記にて全ダンサーのサインを一挙公開いたしますので、どのダンサーからの年賀状か、楽しみにご覧ください。

 2020年は〈スタジオ・パフォーマンス〉を皮切りに、「ラ・シルフィード」、「バレエ・インペリアル」、〈上野の森バレエホリデイ2020〉、「第九交響曲」、第35次海外公演(ローザンヌ 他)、「ドン・キホーテ」、第8回〈めぐろバレエ祭り〉、東京バレエ学校との合同公演、「M」、「くるみ割り人形」の再演と、盛りだくさんのナインナップをお贈りいたします。

 本年も東京バレエ団に変わらぬご声援を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

プリンシパル

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ファーストソリスト

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ソリスト

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セカンドソリスト

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スタッフ

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レポート2019/12/24

東京バレエ団 クリスマスパーティー スペシャルレポート

東京バレエ団友の会クラブ・アッサンブレでは、毎年、全ダンサーが会員の皆さまをお迎えするクリスマス・パーティーを開催しています。今年の開催は1215日。新制作『くるみ割り人形』東京公演最終日の終演後に華やかに、賑やかに催されたパーティーの模様をお届けします。

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『くるみ割り人形』終演後間もなくの開宴、舞台を無事につとめあげたばかりのダンサーたちが準備をととのえている間、東京バレエ団を運営するNBS(公益財団法人日本舞台芸術振興会)専務理事の高橋典夫からご挨拶です。今年一年の活動を振り返るとともに、すでにwebなどでも紹介されていますが、クラブ・アッサンブレのマスコット・キャラクターが、この場で初めてのお披露目となりました。

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クラブ・アッサンブレのマスコット・キャラクターを発表するNBS専務理事の髙橋

その後、『「バレエ大国」日本の夜明け』(文藝春秋刊)を上梓したばかりの斎藤慶子さんが登場。この本は、東京バレエ団の前身である「チャイコフスキー記念東京バレエ学校」の設立から閉校に至るまでを、膨大な資料と関係者への取材に基づいてまとめ上げたノンフィクションです。刊行にあたり、関係者への感謝の思いを伝えるとともに、「東京バレエ学校が社会にどれだけの影響を与えたか、幅広い視点から書きました。わかりやすい本ですから、ぜひ、皆さんにも読んでいただきたいと思います」と明かしました。

ELpJMujU8AEyXng.jpgその後、準備をととのえたダンサーたちが次々と会場に到着。全員が揃ったところで、団長の飯田宗孝の音頭で乾杯、皆さんとダンサーたちとの歓談タイムのスタートです。ダンサーにとっても、お客さまと直接お話しできる貴重な機会、会場は楽しそうなトークと笑顔にあふれていました。

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ダンサーたちと間近でお話できる歓談タイム

歓談タイムの合間には、恒例のプレゼント抽選会!

今回は創立55周年を記念し、例年にもましてゴージャスなプレゼントが! 東京バレエ団特製タンブラー、ミラノ・スカラ座『ザ・カブキ』公演の額入りキャスト表(ダンサーのサイン付き)、サイン入りTシャツなど、オリジナルの豪華賞品が続々と登場しました。

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豪華賞品をご紹介するのはフレッシュな研究生たち!

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恒例の抽選箱運び(?)は池本祥真。「華麗に」、登場しました。

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抽選会の司会は、ファンミーティングでも名司会ぶりを発揮した、岸本夏未&森川茉央。

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抽選中の柄本弾、伝田陽美。

賑やかなパーティーも終盤、団員を代表して、ファースト・ソリスト、プリンシパルたちが挨拶をさせていただきました。

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「『海賊』のアリをはじめ、新作に関わることもできていい経験をさせていただきました。来年は、初めて経験する作品にも挑戦、楽しみです。しっかり頑張っていきたいです」(ファースト・ソリスト 池本祥真)。

「今年は、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』でキトリ・デビューをさせていただきました。成功することができたのは皆さんの応援のおかげです。来年も、応援をどうぞよろしくお願いいたします」(ファースト・ソリスト 伝田陽美)。

「今年は新作が多く、飛躍の年となりました。67月には長い海外ツアーもあり、とても充実した1年に。来年もしっかり頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします」(ファースト・ソリスト 奈良春夏)。

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奈良春夏、宮川新大

「あっという間に1年が過ぎました。来年、僕はまず『ラ・シルフィード』ですが、これは初めて東京バレエ団で主役をさせていただいた作品です。自分へのリベンジ、新しい挑戦ができたらと思います。今後ともよろしくお願いいたします!」(プリンシパル 宮川新大)。

「今年はちょうどバレエ団に入団して10年目の年でしたが、新作に挑戦する機会が続き、そのたびに自分の足りないところを実感したことも──。(ぐっと言葉に詰まる沖に、周りから拍手)そのたびに皆さんに温かい拍手をいただいて、本当に救われました。来年も自分の課題を見つめつつ、よりよい舞台をお届けできるよう頑張ります」(プリンシパル 沖香菜子)。

「成長を実感することができた1年でした。初演に関わることができるのはとても幸せなことに感謝していますし、東京バレエ団の底力を実感しています。『くるみ割り人形』で、お子さんから大人の方、そして未来を担っていくお子さんにも、夢を与えられたら、それができていたら、と思っています。来年は『ラ・シルフィード』の主役に初挑戦。皆と力を合わせて頑張りますので、どうぞよろしくお願いいます」(プリンシパル 川島麻実子)。

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「今年はバレエ団にとって新しい挑戦がたくさんあり、こうして皆と力を合わせることで、バレエ団がどんどん成長していっていることを実感しますし、皆と一緒に仕事をして、楽しんで踊ることができたなと思える1年でした。来年も『第九』はじめ、一つひとつ大切に踊ってきたいと思っています。来年もどうぞよろしくお願いいたします」(プリンシパル 上野水香)

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上野水香

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秋元康臣、柄本弾

「自分が辛いときもあるのですが、そんな時に、皆さんがかけてくださる言葉だったり、笑顔だったりがやる気に繋がりました。心から感謝しています。また来年もどうぞよろしくお願いいたします!」(プリンシパル 秋元康臣)。

「創立55周年、充実の年でした。ダンサーたちもすごく成長できた年だと思います。今日の『くるみ割り人形』は、時間のない中でダンサーと先生たちで集中して作り上げてきた舞台です。始まるまで緊張してましたが、とても温かい拍手をいただき、ダンサーたちも途中でうるっとしていました。来年もぜひよろしくお願いいたします」(プリンシパル 柄本弾)。

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斎藤友佳理、飯田宗孝

しめくくりは、芸術監督・斎藤友佳理からのご挨拶。ともにバレエ団の指導にあたった団長の飯田宗孝、バレエ・ミストレスの佐野志織、バレエ・スタッフの木村和夫らに感謝の思いを伝えるとともに、来年への抱負を語りました。

お開きとなった会場では、研究生たちが一人ひとりのお客さまにささやかなお土産をお渡ししてお見送り。皆さん、笑顔で帰路につかれていました。

2020年の東京バレエ団の活動は、1月の〈コレオグラフィック・プロジェクト〉からスタート。創立55周年記念シリーズは3月の『ラ・シルフィード』でファイナルとなります。
来年も、東京バレエ団をどうぞよろしくお願いいたします!

レポート2019/12/10

新制作「くるみ割り人形」 主演キャストインタビューvol.3 ~秋山瑛&宮川新大

シリーズでお贈りする東京バレエ団新制作「くるみ割り人形」主演キャストインタビュー。最後に登場するのは今回の主演3組の中で一番の若手、秋山瑛&宮川新大(12月15日主演)の2人!

フレッシュな2人の勢いある!?インタビューです。ぜひご一読ください。


──今回、『くるみ割り人形』の3日目に主演する二人ですが、以前にもこの組み合わせは?

秋山瑛 『イン・ザ・ナイト』(ロビンズ振付)と、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』でオーロラ姫と王子、でしたね。気心知れたパートナー、と言えるでしょうか(笑)?

宮川新大 すごく平和にやっていますよね(笑)

秋山 私はそもそも全幕の主役は今回が初めてで、責任も感じるし不安もあるし、新制作でもあるので、とにかく必死です。

宮川 皆、それぞれ自分のことで必死なんですね。


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──新制作の『くるみ割り人形』は、どんな舞台になるのでしょうか。

秋山 クリスマスツリーの存在をとても大事にしている演出なんです。

宮川 まさにマーシャの夢の中の出来事、です。

秋山 夢のクライマックスで、マーシャは自分の理想のお姫さまになって王子とグラン・パ・ド・ドゥを踊ります。その前にディヴェルティスマンのさまざまな踊りが展開されますが、これはマーシャと王子を歓迎する踊りなので、二人はずっと舞台上でこれを観せてもらうんです。そこから、花のワルツの間に早替えをしてグラン・パ・ド・ドゥに入るので、ここでの気持ちの切り替えがとても大切に。

宮川 そこは今回の新しい演出なんですが......どうしよう! 早替えが間に合わないかもしれない(笑)。僕が早替えが苦手というのはバレエ団の中でも有名で、『ザ・カブキ』の勘平の早替えではいつもヒヤヒヤ──、衣裳さんによく注意されています(笑)

秋山 とにかくリハーサルの時間はいくらあっても足りません。

宮川 でも瑛とはタイミングや呼吸が無理なく合うので、とても組みやすく、余計な気を遣うことなく踊ることができます。

秋山 新大くんは、足がきれいで技術があるのはみんな知っていることだけれど、一緒に踊ると、ちゃんと相手のことを見てくれる。お客さまには、テクニックだけでなくて、王子としての内面的な表現にも、注目していただきたいですよね。

宮川 王子役はあまり得意ではなかったけれど、これまでにいくつか全幕の王子を踊らせてもらってきて、着実に得られたものはあると思うんです。

秋山 私も、ただ踊るだけでは足りなくて、踊りの中で物語を伝えようとつとめないと。これは、踊りを見せるための物語ではなくて、物語を伝えるための踊りだから──、だからいま、しっかり練習を重ねているところです!

宮川 二人の踊りはもちろんですが、バレエ『くるみ割り人形』を、存分に楽しんでいただけたらと思います。まあ、実は僕らもまだ、どんな雰囲気の装置が出来上がっているのかわかっていないのですが(笑)。


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──斎藤友佳理芸術監督が自ら改定演出・振付を手がけます。

秋山 マーシャの気持ちとか、王子との関係とか、それをどうお客さまに伝えるのか、いろいろとお手本を見せてくださいます。

宮川 今回は日替わりで3組が主演しますが、みんなそれぞれに違った舞台になるはずです。

秋山 友佳理さんからは「他の人を真似しようと思わないで」と言われているんです。

宮川 演技についても、「そこは二人でよく話し合って」と。そういう場面も、お互いが気持ちよくできるやり方で自然に取り組むことができるのは大きいですね。若手代表のペアとして、ぜひ、楽しんでいただける舞台をめざしたいと思います。


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取材・文:加藤智子(フリーライター)


レポート2019/12/07

新制作「くるみ割り人形」 舞台装置&美術、日本に到着!

東京バレエ団が37年ぶりにリニューアルする「くるみ割り人形」の初日まで1週間をきりました。今回の新制作にあたり、衣裳と装置はロシアの一級の職人たちに製作を依頼。芸術監督の斎藤友佳理の人脈を駆使し、モスクワとサンクトペテルブルク、計6か所の工房をフル稼働させ、急ピッチで作業がすすめられてきました。


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ロシアの工房での衣裳製作の様子。目に見えない細かいところもすべて手作業でつくられます


作業は順調に進み、衣裳は10月末から順番に日本に到着。バレエ団の衣裳スタッフによる細かいフィッティングがはじまりました。

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フィッティング中に笑顔をみせる沖香菜子(マーシャ役、12/14、12/24主演)


「このまま良い形で本番を迎えられそう」とスタッフが思っていた矢先、思わぬトラブルが! サンクトペテルブルクで製作していた装置と衣裳は予定どおり完成し、列車でウラジオストックまで運ぶというまさにその時、なんとシベリア鉄道が悪天候でとまってしまい、列車が立ち往生してしまったのです! 天候にはどうにも逆らえませんが、今回の衣裳・装置のコンセプトを担当したニコライ・フョードロフ氏が尽力し、遅れた分を挽回すべく大奮闘。フョードロフ氏のスケジュール調整のおかげで、予定よりは大幅に遅れたものの、無事に装置と衣裳はロシアを出発し、11月末に横浜に到着しました。

斎藤が「夫(フョードロフ氏)とは"最悪の場合、新しい衣裳と古い舞台装置で上演することも覚悟しなくては"と話していました」と語るほど切羽詰まった状況でしたが、天も東京バレエ団に味方をしてくれたようです。

12月4日には本番と同じ東京文化会館を借り、「道具調べ」と呼ばれる装置や衣裳の点検と確認が丸一日がかりで行われました。背景幕がつるされると、その場に立ち会わせたスタッフからは自然と歓声があがりました。

それもそのはず、ロシアの熟練の職人たちが、その技術の限りを尽くしてすべて手作業で描き上げた背景幕は細部まで美しく彩られ、遠近法を巧みにもちい、非常に立体的な姿をみせたのです。それは長年東京バレエ団の舞台を支えているスタッフの方々にとっても新鮮な驚きと感動をもたらしたようです。

舞台装置と美術は照明を伴ってはじめて完成するものですから、ここでその全貌をおみせすることはできませんが、下記の動画ではその「道具調べ」の様子を少しだけご覧いただけます。

東京バレエ団が総力をあげてお贈りする真冬のファンタジー、開幕はもうすぐです!


撮影協力:Sergei Fedorov, Alexey Semenov, Boris Karpov


衣裳の製作を追ったメイキング映像はこちら>>>


舞台装置のメイキング映像はこちら>>>

レポート2019/12/05

新制作「くるみ割り人形」 衣裳パレードにスタッフ潜入!

12月に入り、新制作『くるみ割り人形』開幕まであと10日あまりとなった東京バレエ団のスタジオでは、新しく作った全衣裳をダンサーたちに着用してもらってチェックをする「衣裳パレード」が行われました。
新しい衣裳は、すべてロシアの工房で製作されたもの。10月の末にバレエ団に到着し、その後衣裳合わせ、調整を繰り返してきました。衣裳パレードは完成した衣裳の全体像を確認するだけでなく、実際にダンサーが舞台に立ち、動いた時にどんなことが起こりうるか、さまざまな視点から課題を洗い出し、最終的な調整に入ります。
新品の衣裳をまとったダンサーたちが次々と登場するスタジオは、いつになく賑やかな雰囲気。この日の模様を、写真とともに振り返ります。

まずは第1幕の登場人物たちから──。

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スタジオの隅には、ねずみたちのマスクがスタンバイ。リアルです。

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マーシャの家族たち。左からマーシャの母(政本絵美)、加藤くるみ(弟のフリッツ)、マーシャの父(永田雄大)。母のドレスは、19世紀前半のデザインを取り入れた、ウエストの位置が少し高めのスタイル。

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ドロッセルマイヤーは黄色のコートが印象的。右から柄本弾、森川茉央、ブラウリオ・アルバレス。

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くるみ割り王子は赤の上着が鮮やか! 右から柄本弾、秋元康臣、宮川新大。

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カラフルな人形たち。写真左はピエロの鳥海創とコロンビーヌの金子仁美、写真右はムーア人の二人。左から岡崎隼也、海田一成。

06_ネズミ.jpgねずみの王様は杉山優一と永田雄大(と、思われます)。こうして、一つひとつの衣裳をスタッフたちが確認してきます。ねずみたちもずらりと勢揃いです。

第2幕も個性的なキャラクターが次々と登場。その一部をご紹介します。

07_アラビア.jpegアラビアはグリーンのエキゾチックな衣裳。政本絵美とブラウリオ・アルバレス。コール・ド・バレエの女性たちも登場します。

08_中国ロシア_.jpg写真左は中国の岡崎隼也と岸本夏未。中央はロシアの加藤くるみ。頭飾りは微妙な調整が必要です。写真右はロシアの男性たち。左から池本祥真、鳥海創、昂師吏功。

09_フランス.jpegフランスの中川美雪と樋口祐輝。淡い色合いがなんとも可愛い!

10_グランのチュチュ.jpegチュチュを着ているのは左から沖香菜子、川島麻実子、秋山瑛。斎藤友佳理と、コーディネーターのフョードロフ氏が、細かな部分にいたるまで入念にチェック。

新制作の衣裳は、12月13日の初日の舞台で初披露となります。どうぞお楽しみに!


レポート2019/12/04

新制作「くるみ割り人形」公開リハーサル&記者懇親会レポート

創立55周年記念シリーズのハイライトとなる、新制作『くるみ割り人形』の開幕まであとわずか! 初日まであと2週間となった11月29日、記者や評論家を対象とした公開リハーサルおよび記者懇親会を開催しました。


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12/13(金)に主演する川島麻実子(マーシャ役)、柄本弾(くるみ割り王子役)


この日公開したのは第2幕。主人公の少女、マーシャ役の川島麻実子、王子役の柄本弾を中心に、最後の戦いにのぞむねずみたちや、スペイン、アラビア、中国、フランスなど個性さまざまな各国の踊り手に、華やかな花のワルツ──と、多彩な踊りを展開、皆生き生きとした表情で新しい『くるみ』の世界をかいま見せてくれました。
記者懇親会の冒頭、「東京バレエ団にとって大切な作品である『くるみ割り人形』の、いいところを残しながら、根本の部分を変えずにアレンジしました」と語った芸術監督・斎藤友佳理。東京バレエ団らしいオリジナリティを前面に出すために、大いに悩んだこと、ロシアの自宅でクリスマスツリーの中の空間を覗いてみたときの感動、そこから、マーシャと王子がツリーの中を旅するという発想に行き着いたことなどを振り返りました。


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12/15(日)主演の秋山瑛、宮川新大は別の公演日にはスペインでも登場。本番では宮川は伝田陽美と、秋山は池本祥真とペアを組みます


「公開リハーサルで見ていただいたディヴェルティスマンの場面は、クリスマスツリーの頂点の少し手前。最終的にはツリーのいただきまで登りきり、そこでマーシャと王子は花のワルツの人々に迎えられるんです」とクライマックスの構想を明かした斎藤。「今日、ロシアで製作した装置がようやく日本に到着したんです。東京文化会館の舞台につるしたら、また思い通りにいかなくなるところが出てくるかもしれません。でも、いまの東京バレエ団の皆だったら、どんな変更があっても対応できると私は信じています」と、本番への思いを熱く語りました。


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下から上にひらひらと舞う女性ダンサーたちの美しい手の動きは"花のワルツ"の見所の1つ


また、初日にマーシャを演じる川島麻実子は、「皆とコミュニケーションをとりながら創っていますが、こうした機会はなかなかないもの。リハーサルの時間は短く、不安もありますが、楽しい」と発言。王子役の柄本弾も「『くるみ割り人形』の王子というのは、ストーリー性を見出しにくい役柄。でも、今回、友佳理さんと一緒に『くるみ』を創っていくなかで、王子もマーシャと一緒に成長していくということに気づきました。やりがいがあります」と抱負を述べました。


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記者懇親会に登場した(左から)柄本弾、川島麻実子、斎藤友佳理


開幕まであとわずか──。斎藤は「直前までいろいろと変えるかもしれないけれど、でも、何があっても覚悟のうえです!」と力強くコメント。独創的なアイデアと見どころたっぷりの新しい『くるみ割り人形』、どうぞお楽しみに!


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ロングインタビュー2019/11/30

新制作「くるみ割り人形」 主演キャストインタビューvol.2 ~沖香菜子&秋元康臣

シリーズでお贈りする東京バレエ団新制作「くるみ割り人形」主演キャストインタビュー。第二弾には沖香菜子&秋元康臣(12月14日、24日主演)のペアが登場!

前回の上演時には別々のパートナーと組んだ2人が、本作で初めて共演をはたします。リハーサルについてたっぷりと語ったヴォリュームあるインタビューです。ぜひご一読ください!


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──いよいよ『くるみ割り人形』の季節ですね。

沖香菜子 私が東京バレエ団の『くるみ割り人形』で初めて主役を踊ったのは、(ウラジーミル・)マラーホフさんがアーティスティック・アドバイザーでいらしていた時(2014年)でした。マラーホフさんが見せてくださるアダージオといったら、女性よりずっと女性らしい動きで、「ああ、こうなのか!」と実に明確に示してくださる。リハーサル期間はとても短かったのですが、収穫の多い公演でした。

秋元康臣 僕が踊ったのは入団した翌年だったかと思います。とてもシンプルな舞台という印象でしたが、その分、ダンサーは自分の力で踊りを見せなければならないので、取り組みがいがありました。


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──今回の『くるみ割り人形』は斎藤友佳理芸術監督による新演出です。

 稽古を重ねるごとに「こうしたい」という気持ちが強くなってきたり、動き自体がどんどん変化していったり──。これからもまだまだ変化していきそうです。

秋元 新制作となると、本番までにいくらでも変わる可能性があるわけです。

 マーシャと王子の踊りの部分、たとえば第1幕の"雪"のアダージオや第2幕のグラン・パ・ド・ドゥなどは、これまでのヴァージョンとほぼ同じですが──。

秋元 ディヴェルティスマンの踊りはだいぶ違ったものになりますね。セットも衣裳も新しくなりますが、ロシアの製作現場の映像を観たら、これはすごいな、と!

 立体感のある舞台になりそうです。今回は、クリスマスツリーの中の世界を、マーシャと王子が上へ上へと旅していくという設定なんです。

秋元 こう、絵本のページを次々とめくっていくようなイメージですよね。


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──今回の『くるみ』で、お互いにどんなマーシャ、王子になるのでしょう。

 私が演じるとどうしても"やんちゃ"になりがちなのですが......。

秋元 おてんばなマーシャ、でしょうか。元気いっぱい。でもそれはそのまんまで沖さん(沖香菜子)の魅力だと思いますし、そこを無理におしとやかにふるまうこともないですよね(笑)。

 (笑)。グラン・パ・ド・ドゥでは、マーシャが想像する、大人の女性像を体現できたら。

秋元 沖さんは雰囲気を作るのがとても上手で、すぐにまわりの空気を変えることができるダンサーですから、それに僕も力をもらいながら踊ることができるんです。

 おみさん(秋元康臣)は、このままで王子、です。目を覚まして歩きだした瞬間から王子、という印象を誰もが持つようなダンサーですね。動きが精確で、大きい。吹っ切れているときは特に、ですね。

秋元 自由奔放が爆発しないように気をつけないと(笑)。

 今回は、これまでのヴァージョンのいいところは大切にしつつも、全くの東京バレエ団オリジナルの『くるみ割り人形』になるので、ぜひそのつもりで、期待して観に来ていただけたら嬉しいですね。

秋元 クリスマスツリーの中を登っていく旅という発想は、ほかでは見たことがないオリジナル。日々どんどん変化を重ねながらリハーサルをしてるので、それはもう、期待していただけると思います。ぜひ楽しみにしていらしてください。


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取材・文:加藤智子(フリーライター)


ロングインタビュー2019/11/26

新制作「くるみ割り人形」 主演キャストインタビューvol.1 ~川島麻実子&柄本弾

東京バレエ団が新制作する「くるみ割り人形」の初日まであと20日をきりました。本日から、新しい"くるみ"の主演キャスト3組のインタビューをシリーズでお贈りします。リハーサル秘話も満載!? 加藤智子さん(フリーライター)の取材による充実のインタビューです。

トップバッターは記念すべき初演の初日を飾る川島麻実子&柄本弾の2人。ぜひご一読ください!


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──新制作の「くるみ割り人形」、リハーサルは順調ですか。

川島麻実子 いまは各場面をひとつずつ、創っているところです。「少しやってみて」「今度はこうしてみて」「じゃあ、こちらのほうを取り入れましょう」というように、先生がたと相談しながら、一緒に創っています。これが完成したら、よりいっそう思い入れの強い作品になると思います。

柄本弾 今回は3組の主役カップルが日替わりで踊りますが、演技も振付も、組ごとに微妙に違います。改定振付を手がける(斎藤)友佳理さんも「麻実子にはこの振りがいいけれど、(沖)香菜子はこうしたほうが合う」と、ダンサーの個性を反映した振付をしているので、3キャストを見比べたら面白いのではないかと思います。
友佳理さんもコーリャ先生(振付指導のニコライ・フョードロフ氏)も、僕らには、お互いを思いやる空気感、その場を支配するような雰囲気を期待されているように感じています。「この振りはあなたたちでなければできないでしょ?」と言われることもありますが、パ・ド・ドゥの内容は、以前の『くるみ』より確実に難しくなっています。

川島 とくにリフトですね。男性はとてもハード。

柄本 リフトは1日に何十回も練習しています。

川島 難しいことをしていても、マーシャを大事にあつかっているように見せるにはどうすべきか、ということを追求しています。ただ女性を上げればいいのではなく、そのクオリティ、パートナリングの質も見てくださっています。


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──新たな振付・演出での新制作、だからこそのプロセスですね。

川島 友佳理さんのイメージをどこまで実現できるか、稽古場で実際にやってみないとわからないものです。

柄本 「いや、それは無理です。できないです!」とうことも実際にありました(笑)。本番ではどうなるかわかりませんが、現時点では、リフトをはじめ、テクニックのうえでかなり難易度の高いことにも挑戦しています。安心して組むことができるパートナー同士、テクニック面でもより上をめざそうと思って取り組んでいます。練習ではヒヤッとすることもあるけれど、稽古の段階で成功してばかりいると、かえって本番でうまくいかない時もあるんですよ。

川島 新しい『くるみ』では、マーシャの感情を、よりすんなりと表現することができるようになったのではないかと思います。彼女は7歳の少女ですが、私自身も7歳の時代があったわけで、その頃の自分はどうだった?と振り返ってみると──、7歳って、実は、お姉さんに見られたい時期だったと思いますし、お客さんの前ではとても落ち着いた振る舞いをしてみせたり、でも突然騒ぎだしたり──(笑)。無理になりきろうとせず、自然にマーシャの成長をたどっていけたらいいですね。お子さんには、ただのファンタジーとしてでなく、これから自分の未来を明るく想像するきっかけにもなったらいいな、と思っています。

柄本 新しい衣裳で、新しい装置の中で踊ることができることも楽しみの一つ。ぜひ期待していただきたいです。


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──今回は柄本さんの故郷、京都での公演も予定されています。

柄本 バレエ団に入って初の京都公演です。バレエ団のメンバーで新大阪で降りずに京都で降りる、というのは新鮮(笑)。楽しんでいきたいですね。


取材・文:加藤智子氏(フリーライター)


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