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海外ツアーレポート2023/07/25

東京バレエ団第35次海外公演(オーストラリア、メルボルン)「ジゼル」公演評

7月22日最終公演のカーテンコール

オーストラリア、メルボルンのアーツ・センター州立劇場における東京バレエ団「ジゼル」全11回公演(7月14日~22日)は、既報の通り、初日から会場での喝采と現地メディアの絶賛評が続き、連日多くの観客が詰めかけましたが、最終日の7月22日昼・夜公演は完売の盛況。最後の夜公演では団員、スタッフ全員が舞台にあがってメルボルンのお客様に別れを告げ、大歓声のスタンディングオベーションを受けて幕を降ろしました。

そのオーストラリアのメディア評の抜粋をここにご紹介いたします。

マン・イン・チェア Man in Chair シモン・パリス 2023年7月15日

「精度と洗練はプレミアム級であった。東京バレエ団は、愛され続けるロマンティックの古典『ジゼル』で大歓迎のオーストラリア・デビューを飾った。

愛おしいほどに優しく、繊細なジゼルを演じた秋山瑛は、観る者をほれぼれさせる。愛されるキャラクターを巧みに表現しながら、超絶技巧の踊りを見せつけた。第1幕のヴァリエーションでの秋山のまばゆいばかりの演技は圧巻だ。表情豊かに踊る、非の打ちどころのない秋山の狂気のシーンは、可憐な乙女の悲劇の真に迫り、いっそう胸を引き裂かれる。(略)秋元はアルブレヒトのソロを最大限に活用し、彼の能力の深さをスリリングに披露する。キレのあるエレガントなアントルシャとパーカッシブなカブリオールが特徴的だ。秋山と秋元は、天にも昇るようなウィリに囲まれながら、繊細に調整された最後のパ・ド・ドゥで、愛の切なさと悲しみを引き出す。ソロも素晴らしいが、2人の共演は誠に素晴らしい。

東京バレエ団の初のオーストラリア公演は、地元のダンス愛好家にとって画期的な出来事だ。『ジゼル』のその豊かさに感嘆した後は、東京バレエ団が(そう遠くない将来に)再びオーストラリアを訪れることを願うばかりだ。」

https://simonparrismaninchair.com/2023/07/15/the-tokyo-ballet-giselle-review-melbourne/

 

クラシック・メルボルン CLASSIC MELBOURNE パリス・ウェイジズ 2023年7月15日

「オーストラリア初上陸の東京バレエ団が『ジゼル』を完璧に演じた。

傑出した主役たちもさることながら、『ジゼル』の真の主役は、第2幕の白い、長いチュチュに身を包んだ24人のダンサーで構成されるコール・ド・バレエだ。コール・ド・バレエはまるでアメーバのように動き、ダンサーたちは淀みない精確な演技でひとつの生命体として流れていく。 伝田陽美が完璧に踊るウィリの女王ミルタに導かれながら、コール・ド・バレエは一丸となり、生き、呼吸をする。彼女は巣を統率する女王蜂のように、完璧な統率力と精確さで動く。(略)その他、第1幕の農民のパ・ド・ユイットは圧巻。 特に男性ダンサーたちは、美しい技巧的な動きだけでなく、めったに観られないほどの素晴らしいユニゾンを披露する。 彼らとパートナーを組む4人の女性ダンサーも同様に絶妙で、息がぴたり合い、古典の型の絵画的な美しさというものを見せてくれた。

大げさなジェスチャーはさておき、『ジゼル』は、主役たちが完璧なダンスで描くロマンティックな愛を観るだけでも価値がある。 特に秋山のジゼルの表現は、バレエ団の揺るぎない緻密さと同様、並外れている。 このような水準の高い国際的なカンパニーを自国の劇場で鑑賞できる時代に感謝したい。国際的な芸術の交流は実に感動的だ。」

https://classicmelbourne.com.au/the-tokyo-ballet-giselle/


ディ・エイジ THE AGE アンドリュー・フルーマン 2023年7月15日

「悲嘆に暮れるジゼルの恋人を取り囲む、見事なユニゾンと軽やかな揺らぎを実現して、東京バレエ団の徹底した鍛錬の成果を発揮する。」

https://jaunbaba.com/romeo-and-juliet-by-bell-shakespeare-giselle-by-the-tokyo-ballet-away-at-theatre-works/?feed_id=25207&_unique_id=64b21a4da2e19


ザ・ブラーブ The Blurb アレックス・ファースト 2023年7月16日

「『ジゼル』の見どころは、何といってもコール・ド・バレエの精確さと技術だ。それを目撃できたことは、誠に幸運なことだ。東京バレエ団の細部へのこだわりは息をのむほどで、感情を揺さぶられる。」

https://theblurb.com.au/wp/giselle-the-tokyo-ballet-ballet-review/


ダンス・オーストラリア Dance Australia カレン・ヴァン・ウルゼン 2023年7月16日

「この夜、ジゼル役の秋山瑛は見事だった。表情豊かな顔立ち、軽やかなジャンプ、重力をものともしないハイ・エクステンション、安定した美しいパンシェ、亡霊のような腕。彼女は、第1幕では子供のように疑うことを知らず、第2幕では温かく寛容だった。

ボリショイで訓練された秋元康臣は、あらゆる点で彼女にふさわしかった。ダブル・カブリオール、アントルシャ・シスなど、技術的な要求を鮮やかに軽々とこなした。秋元のジャンプはとても軽くて柔らかく、時にはパートナーよりも宙に浮いているようにさえ見えた。パ・ド・ドゥのトレードマークである長いリフトのタイミングは完璧で、秋山はまさに上空に浮いているかのようだった。秋山が持ち上げられ、揺さぶられ、地上に降ろされるまでの間、彼女の重力も、お互いのストレスも一切感じられないのだ。二人の創り出す静寂に、観客全員が息をのんだ。

冷酷なウィリの女王役の伝田陽美は、百合の花を槍のように振り回しながら、まるで氷上を滑っているかように板を駆け抜け、その脚は、余りの速さにかすんで見えるほどだ。彼女の冷たさは、ジゼルの穏やかな性格と効果的なコントラストをなした。コール・ド・バレエは ― バレエの成功には絶対に欠かせない ― 完璧だった。無表情で容赦なく、ときに微動だにせぬ精確なラインを作り、ときに風に吹かれる霧のように渦を巻いてうねりながら、冷徹にヒラリオン(岡崎隼也)を死に追いやった。しかもその間ずっと、彼女たちのポワントは全く無音のままに。そしてこのバレエ特有の、肩と首の垂れたラインを完璧にとらえ、悲しみを背負ったようにわずかに前傾している。冷たい照明に逆光で照らされると、透けるような衣装の彼女たちは、透明に見えるほどだ。この物語が生まれた霧に包まれた世界は、夜の光は月だけで、鐘の音でしか時間を知ることができず、森の暗がりには恐ろしいものが隠れている、そんな世界が容易に想像できた。」

https://www.danceaustralia.com.au/reviews/review-tokyo-ballet-s-giselle


アーツ・ハブ ARTS hub サバンナ・インディゴ 2023年7月17日

https://www.artshub.com.au/news/reviews/ballet-review-giselle-arts-centre-melbourne-2648999/


オーストラリアン・ステージ AUSTRALIAN STAGE ステファニー・グリックマン 2023年7月19日

https://www.australianstage.com.au/2023/07/19/reviews/melbourne/giselle-%7C-the-tokyo-ballet.html


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7月22日最終公演のカーテンコール   photo: Ayano Tomozawa

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