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ロングインタビュー2023/08/14

ハンブルク・バレエ団 第48回〈ニジンスキー・ガラ〉に出演して ―伝田陽美&柄本弾
7月9日、ハンブルク・バレエ団による、第48回〈ニジンスキー・ガラ〉がハンブルク国立歌劇場で上演されました。同公演は、バレエ団が毎シーズン最後に開催している"ハンブルク・バレエ週間" (Ballet Tage)のダンス・フェスティバルのフィナーレを飾るイベント。今年は東京バレエ団が招待され、プリンシパルの柄本弾とファースト・ソリストの伝田陽美がモーリス・ベジャール振付の『バクチⅢ』を披露。大舞台に臨んだ二人が公演の様子を振り返ります。

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――ジョン・ノイマイヤーさんから柄本さんに出演のオファーがあったそうですね。
柄本弾 今年3月にノイマイヤーさんが公演で来日したときに、バレエ団に「出演してもらいたい」と言ってくださったそうです。みんな最初は社交辞令だと思っていたようですが(笑)、話は立ち消えることなく、4月末に出演が決まりました。伝田さんが聞いたのはその1カ月あとぐらい?

伝田陽美 そうですね。私は『ジゼル』が終わった頃に言われました。7月のオーストラリア公演に向けて海外に荷物を発送した後で、必要なものをすべて送ってしまったかもしれない! と焦ったのでよく覚えています(笑)。

柄本 (斎藤)友佳理さんと作品を選んだあと、伝田さんとペアを組むことが決まったんですよね。誰が何を踊るのか、そもそも誰がゲストなのかもわからない状態で、作品選びが難航しまして......。素晴らしい舞台で踊らせていただくからには、個性を出せて、なおかつ長めの作品がいいのではないかという話になり、友佳理さんが伝田さんの『バクチⅢ』を高く評価されていたこともあって、『バクチⅢ』に決まりました。

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――『バクチⅢ』では初共演ですね。
伝田 昨年7月に宮川(新大)さんと一度踊らせていただき、弾さんと踊るのは今回が初めてで。合わせ始めた頃は若干違うところもあったんですけど、とても上手にサポートしてくださったのですぐに慣れました。

柄本 僕も『バクチⅢ』は昨年初めて踊りました。パートナーの(上野)水香さんが過去に何回も踊られていたので、僕が水香さんの世界に入っていく感じで作っていったのですが、伝田さんと新大は互いに初めてで、イチから作るという過程を経ていた。同じ振付であっても、作り込んでいく工程が異なったり、ニュアンスが微妙に違ったりしたので、そのあたりを踏まえてすり合わせていきました。

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ハンブルク・バレエ団第48回〈ニジンスキーガラ〉 「バクチⅢ」より
photo: Kiran West


――ハンブルクの舞台で踊られていかがでしたか。
伝田 実はゲネプロが終わったあと不安しか残らなくて......。日本では、場当たりをして、位置を確認して、照明チェックして、という工程があるのに対し、向こうはほぼ確認なしでいきなり「はい、どうぞ!」って。『バクチⅢ』の冒頭、舞台中央でペアで踊ったあと互いに左右に移動し、再び中央に戻ってくるという部分があるんですけど、東京バレエ団とはリノリウムの引き方が違ったり目印となるライトがなかったので、戻りながら「真ん中ってどこだっけ?」と位置がわからなくなって......(笑)。

柄本 そうそう(笑)。ほかにも戸惑うところがあり、ゲネプロはボロボロでした。本番当日も舞台上で確認する時間もなく、「とりあえずやるしかないよね」ってふたりで腹をくくって。でも、ゲネプロで失敗したぶん修正できたので、本番はそこまで悪い出来ではなかったと思います。もっといい踊りをお見せしたかったという思いはありますけど、お客さまが盛り上がってくださったのでよかったです。海外はノリがいいと言いますか、とにかく騒いでくれる(笑)。

伝田 「フォ~ッ!」っていう叫び声が飛び交う感じで、もはやブラボーなどの言葉ではなかったです(笑)。

柄本 以前、先輩方から「海外は観る文化が育っているからこそ、盛り上がるときはいいけど、ダメなときは拍手すらもらえないほどシビアに評価される」と聞いていたので、不安もあったのですが、喜びもひとしおでしたね。

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ハンブルク・バレエ団第48回〈ニジンスキーガラ〉 「バクチⅢ」カーテンコールより
photo: Kiran West


――滞在中、特に印象深かったことは?
柄本 ゲネプロのあとにノイマイヤーさんが僕たちを『ゴースト・ライト』の公演と、コレクションハウスに招待してくださったことは忘れられない思い出です。膨大な数のコレクションを見せていただいたのですが、その中に佐々木(忠次)さんとのツーショットの写真が飾ってあって、とても感慨深いものがありました。

伝田 壁一面に日本関連の書籍などの資料や写真などが置かれていて、日本のことを本当によく研究されていらっしゃると思いました。

柄本 東京バレエ団の年史や桜沢エリカさんが描かれた佐々木さんの漫画など、東京バレエ団関連のものがたくさん置かれていて、それだけノイマイヤーさんと東京バレエ団の関係が深いということ、昔からの繋がりを大切にしてくださっていることを改めて実感することができました。

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伝田 もうひとつ印象深かったことといえば、現地の人たちがとにかく親切だったことですね。私たち、英語を話せないので(笑)、いろいろ助けていただいて。ハンブルクの劇場内がものすごく広いうえにややこしいと聞いてはいたんですけど、想像以上にややこしくて。毎回近くにいる人にジェスチャーで「スタジオはどこですか?」と尋ねると、「カモン!」と言ってその場所まで連れて行ってくださったんです。しかも尋ねた人、全員が」。

柄本 ハンブルク・バレエ団の菅井円加さんや(加藤)あゆみちゃんも施設内を案内してくれたり、休み時間に観光案内までしてくれたりして、お世話になりっぱなしでした。バレエ関係者はもちろん、街の人も親切にしてくださり、みなさんの助けがなかったら僕らは何もすることができなかったですし、いいパフォーマンスにもつながらなかったので、ハンブルクのみなさんに心から感謝したいです。

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ハンブルク・バレエ団第48回〈ニジンスキーガラ〉 カーテンコールより
photo: Kiran West



取材・文:鈴木啓子(ライター)

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