めぐろバレエ祭り2023/08/31
第11回めぐろバレエ祭り 現地レポート
バレエ好きにとっての夏の風物詩。今年も8月21日(月)〜27日(日)に、めぐろパーシモンホールにて「めぐろバレエ祭り」が開催されました。
子どもから大人まで、延べ8,000人以上が集った7日間の模様をご紹介します。
21日から23日の3日間繰り広げられたのが、東京バレエ団附属東京バレエ学校のスクールパフォーマンス。未来のダンサーを目指す生徒たちの元気いっぱいのステージはフレッシュな魅力にあふれ、客席からは大きな拍手が湧き起こっていました。
東京バレエ団のダンサーたちと身近に触れ合うことができるのも、「めぐろバレエ祭り」ならではの大きな魅力です。上野水香による「ジゼル」レッスンや、沖香菜子と秋元康臣による「セギディリヤを踊ろう」では、憧れのプリンシパルによる直々の指導に、はじめは緊張気味だった参加者の皆さんもアドバイスに熱心に耳を傾け、どんどん練習に熱が入っていきます。プロによるレッスンを受けたことはそれぞれの今後のバレエ人生にとって大切な宝物となることでしょう。
上野水香のジゼル・レッスン! より
「東京バレエ団公開レッスン」では、大ホールの舞台上がレッスンスタジオに早替わり。この後「ドン・キホーテの夢」に登場するダンサーを中心に、まずはストレッチとバーレッスン。準備運動とはいえプロのダンサーたちの動きはしなやかで美しく、普段は目にすることのできない舞台裏での姿に子どもたちも目を輝かせて見入っていました。続いては、バレエ・スタッフ木村和夫の指導のもと、ピアノの旋律に乗せて基本の型を組み合わせたステップの練習。みっちり1時間のレッスンで体がほぐれ、より美しく仕上がっていく様子を目にすることで、舞台に立つダンサーたちの日々の鍛錬を感じることができる貴重な機会でした。
公開レッスンより photo: Koujiro Yoshikawa
「めぐろバレエ祭り」恒例の「スーパーバレエMIX BON踊り」も大賑わい。小ホール中央に設けられたやぐらに、振付指導担当の宮川新大とともに艶やかな浴衣姿の上野水香がサプライズで登場すると、ファンの方々から歓声が上がりました。会場には浴衣姿の参加者もいっぱい。小林十市(モーリス・ベジャール・バレエ団 バレエマスター)が手掛けた振付は「ボレロ」のようなステップや「ジゼル」のウィリを思わせるポーズもあり、涼しい室内でのちょっとエレガントなBON踊りを、誰もが笑顔で楽しんでいました。
スーパーバレエMIX BON踊りより photo: Koujiro Yoshikawa
大ホールでは26日、27日の2日間にわたって、子どものためのバレエ「ドン・キホーテの夢」が全4回上演されました。人気演目「ドン・キホーテ」をわかりやすくアレンジした作品は、まず舞台にサンチョ・パンサと馬のロシナンテがあらわれ、登場人物をわかりやすく紹介。客席の子どもたちに語りかける場面もあり、バレエ鑑賞は初めてという方にもわかりやすく、見応えたっぷりの舞台でした。
8/27(日)11:30「ドン・キホーテの夢」より photo: Koujiro Yoshikawa
主役のキトリ&バジルを演じたのは、秋山瑛&大塚卓、涌田美紀&池本祥真、中島映理子&生方隆之介。さらに27日の最終公演では、フィナーレに柄本弾、秋元康臣、池本祥真がバジルの衣裳をつけて飛び入り参加。さらに先ほどまで「スーパーバレエMIX BON踊り」の会場にいた浴衣姿の宮川新大や金子仁美なども登場し、「いつもありがとう これからもよろしく」と書かれた大きなメッセージボードとともに華やかな幕切れとなりました。
8/27(日)15:00 フィナーレよりphoto: Koujiro Yoshikawa
毎年、楽しみにしている方が多い体験型のワークショップも連日大盛況でした。「ミニトウシューズにデコレーションしよう!」「ティアラをつくろう」などは、たくさんの子どもたちや保護者の方で満員御礼。個性が光る作品は、夏休みの素敵な思い出の品となったことでしょう。
ミニトゥシューズにデコレーションしよう! より
最終日には小ホールのロビーで「バレエ縁日」も開催されました。「海賊の花輪投げ」や「サンチョ・パンサのボーリング」には子どもたちだけでなく大人も挑戦して熱くなる光景も。「光るバルーンを作ろう!」「バレエバックチャームを作ろう!」のワークショップでは、出来上がった完成品を嬉しそうに見せ合う子どもたちの姿も印象的でした。
バレエ縁日 ワークショップより
そして「めぐろバレエ祭り」のフィナーレを飾ったのは「ダンサーズ・トーク in めぐろ」。司会をつとめるのは、金子仁美。事前にアナウンスされていた沖香菜子、秋元康臣、池本祥真、中島映理子に加えて、「ドン・キホーテの夢」の舞台を終えたばかりの秋山瑛と大塚卓も登壇。 "「ドン・キホーテの夢」は全幕ヴァージョンよりも休憩時間が短いので主役は大変"といった裏話や、7月にメルボルンで行われたオーストラリア公演で地元の方々に暖かく迎えられたことの感激、この秋にいよいよ第三幕までの全幕上演される金森穣「かぐや姫」の初演ならではの役づくりの秘話、そして11月の新制作「眠れる森の美女」についてなど、話は尽きません。コロナ禍を経てふたたび、ファンの方々の前で舞台以外の形で再会できたことの喜びと感謝、そして今後も東京バレエ団の公演を応援してください! といったそれぞれのメッセージとともに、7日間にわたった「めぐろバレエ祭り」は無事に幕を閉じました。
ダンサーズ・トーク in めぐろより photo: Koujiro Yoshikawa
左から池本祥真、金子仁美、沖香菜子、秋山瑛、秋元康臣、大塚卓、中島映理子
バレエファンはもちろん、会場の近隣にお住まいの目黒区民の皆さまなど多くの方々に親しまれてきた「めぐろバレエ祭り」。この夏もたくさんのプログラムで、めぐろは熱く盛り上がりました。50年以上にわたって目黒を拠点に活動を続けてきた東京バレエ団のこの先の公演にも、どうぞご期待ください。
文/清水井朋子