昨日、「ラ・バヤデール」が無事開幕いたしました。
ご来場いただきました皆さま、本当にありがとうございました。
大震災後の混沌とした状況の中、開幕直前の急なキャスト変更もあり、関係者の誰もが心のどこかに不安をかかえていたと思います。
しかし、ダンサーたちはそんな状況下でも、初日の幕が開くのを信じてリハーサルに励んできました。
そんなダンサーたちにとって、「こんな状況だからこそ、私が行くべきだと思った」と急遽来日してくださった、振付指導のオルガ・エヴレイノフさんの存在は、どれほど心強かったことでしょう。
いつもどおり、エネルギッシュな彼女の声が稽古場に響くたびに、稽古場にもどんどん活気が漲っていったように感じました。
そして、急なオファーを受け、来日してくださったイーゴリ・ゼレンスキー、マシュー・ゴールディングも皆に力を与えてくれました。
これまで何度も日本で名演を見せてきたイーゴリ、初来日のマシュー。さまざまな面で対照的とも言える二人なのですが、あっという間に東京バレエ団に溶け込み、共に舞台を創り上げる「仲間」になってくださいました。
「こうした状況だからこそ、舞台を通じて皆さまに希望や力を与えることができたら」というひとつの想いのもと、開幕した「ラ・バヤデール」。
マシュー・ゴールディングは短期間のリハーサルにも関わらず、ニキヤ役の上野水香、ガムザッティ役の田中結子のサポートも万全。
端整な舞台姿、ダイナミックかつ音楽性に溢れた踊りで、見事に日本デビューを飾りました。
初演の舞台が絶賛された上野水香も丁寧な役作りで、ニキヤの悲しみを表現。
初共演とは思えない息の合った二人の舞台に、カーテンコールでは客席だけでなく、舞台袖にいたダンサーやスタッフからも大きな拍手が贈られていました。
振付指導のオルガ・エヴレイノフさんからは、ダメ出しではなくダンサーたちへの賛辞が。
「こんな状況の中で、これほど素晴らしい舞台を創り上げた皆さんを尊敬します。明日、ナターシャ(振付のナタリア・マカロワ)にも、この素晴らしい公演のことを伝えます」という言葉が贈られました。
日本デビューを果たしたマシュー・ゴールディングのコメントです。
「日本で初めて踊ることは、楽しみな反面、不安でもありました。
しかし、短い期間でしたが東京バレエ団とよく合わせることができ、無事初日を終えることができました。
日本の皆さんがこうした状況にも関わらず公演に足を運んでくださって、本当に嬉しいかったです。
日本の皆さんは困難な状況でも、困難な状況だからこそ、互いに助け合っているように感じます。
そんな今の日本で踊ることができて、僕自身とても楽しめましたし、とても興奮しています。
ありがとうございました!
第2幕「影の王国」の1シーン。ニキヤの上野水香とソロルのマシュー・ゴールディング
人生で初めて体験したという地震が続く中、マシューも不安でいっぱいだったことと思います。
それにもかかわらず、いつも笑顔で、オルガさん、ダンサー、スタッフたちに気配りを忘れないマシューに、改めて大きな拍手を贈りたいと思います。
東京バレエ団「ラ・バヤデール」は、残り3公演。
一人でも多くの皆さまに、たくさんの人々の想いが詰まった公演をご覧いただけたらと願っています。
※本日の「ラ・バヤデール」は18:30開演。
当日券は17時より、S券~D券を発売いたします。
photo:Kiyonori Hasegawa(カーテンコール、舞台写真)
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