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レポート2015/06/24

【速報!】第29次海外ツアー ローザンヌ公演レポート(前編)

スイス・ローザンヌの郊外、マレー・スケートリンクに設けられた5000人を収容する特設会場で6月17日に始まった東京バレエ団とベジャール・バレエ・ローザンヌ(BBL)共演によるモーリス・ベジャール振り付けの傑作、ベートーヴェン「第九交響曲」は全5公演が完売、連日とも大観衆の拍手と声援が鳴りやまないスタンディングオベーションの熱気の渦に包まれ21日、華やかに閉幕した。 ローザンヌ公演に来られなかったバレエファンのために、会場で販売されたプログラムから面白い数字を拾ってみよう。 50 ―― ベジャールが「第九」を発表したのは1964年。去年11月、東京バレエ団とBBLによる東京公演は、半世紀を経た50年目の節目にあたる。 3 ―― 共演の舞台が実現するまで3年の月日を要した。 15 ―― リハーサル期間は、海を隔てたヨーロッパと日本を行き来しながら15週間。 80 ―― 東京バレエ団とBBLのダンサーをあわせた人数。ルードラ・ベジャールの生徒もエキストラで加わった。 250 ―― 舞台上のダンサー、オーケストラ、合唱団をあわせると総勢250人。 289 ―― スケートリンクに設けられた特設舞台の総面積は289㎡。 25000 ―― 今回のローザンヌ公演を観た聴衆は2万5千人。  この数字からも、すべてに大、大、大がつく規模で行われたことがおわかりいただけると思う。それだけに関係者たちが最高のものを作り上げようとする気概は随所にみられた。その一端を、4日目の公演前に見学したリハーサルから紹介しよう。 15-06.24_00.jpg 本公演は午後8時半から。それにあわせて午後1時から東京バレエ団のバレエレッスンが約2時間にわたって行われた。レッスンしたのは、「第九」の振付指導にあたったピョートル・ナルデリ氏自身。「モット アクセント」「ワカリマスカ」―― 親日家で、東京での準備にも足を運んでいるから団員との距離は近い。日本語を交えて熱心な指導ぶりだ。「東京バレエ団の団員たちは私の言うことを理解し敏感に反応してくれる。レッスンしていて楽しい」と、ナルデリ氏は話した。  午後3時半からはBBLも参加しての合同リハーサル。会場に到着したジル・ロマンは柔らかい表情で団員たちと冗談を交わしていたが、いざリハーサルが始まると一変、表情が厳しくなった。躍動感にあふれる第二楽章では「リズムが甘い、音楽を無視している。ノン。ノン。ノン」。何度もダメだしが出て、同じ個所を、納得が行くまで繰り返し練習させる。吉岡美佳とジュリアン・ファヴローがデュエットを踊る第三楽章、二人が並列になって腕を交差させ横にステップを踏みながら円を描くシーンでは、二人がもっと一体化して滑らかな動きになるよう求めて、ジルも舞台に上がって直接指導していた。 15-06.24_01.jpg合同リハーサルの後、ジルに話を聞いた。 ベジャールの作品の中で、あなたは第九をどう位置づけますか? ―― 1968年のメキシコ五輪の開会式での上演を最後に、しばらくお蔵入りになった。というのも、上演するための準備にかなりの労力と時間が必要とされる重い作品だから、ベジャールは他の作品に専念するために、その決断をしたのだと思う。僕がベジャールのカンパニーに入ったのが69年だから、僕自身は踊る機会がなかった。でも、この作品は「踊るコンサート」。つまり、音楽が重要な役割を占めている。演奏家と同じで、あくまでも楽譜には忠実に、しかし現代の聴衆との距離を感じながら解釈し舞台をつくるのが僕たちの使命だと感じている。  東京公演から半年たってのローザンヌでの公演。何か変化が起きていると感じますか? ―― ダンサーたちは毎回の公演を通じて着実に進化していると痛感する。特に今回は、NHKホールとは違って正面だけでなく、両脇の客席を加えた3面に囲まれた舞台。脇からも背中からも聴衆の視線を浴び、反応を全身で感じられる。東京バレエ団にとっては、その初体験が大きいと思う。さらに東京バレエ団とモーリス・ベジャールとの付き合いは30年にも及ぶ。長い間に培われた信頼関係、友情があるからこそ、ダンサーたちは安心して自分を解き放ち、ベジャール作品を通じて、自由に表現できるようになってきている。   団員たちの様子も少々、お伝えしたい。東京では連日「ラ・バヤデール」の公演があって、すぐの渡欧。リハーサルが終わって本番までの休憩時間、和やかに談笑していた女性団員たちは「時差ボケもあって、疲れが残っているというのが本音です。でも、お客さんたちの熱い声援と温かい反応に支えられて元気が湧いてきます」。共演舞台の「第九」はローザンヌ公演の後、モナコでも上演される。全行程3週間に及ぶ長期遠征になるが、ローザンヌ・バレエコンクールでのスカラシップ賞受賞後にモナコのプリンセス・グレースケリー・クラシックバレエ・アカデミーバレエスクールに留学した経験を持つ上野水香は、「ローザンヌからモナコという、偶然にも私にとってはノスタルジック・ツアー。楽しんでいます」と笑顔で話してくれた。 取材/文・撮影:熊野舞(在仏ライター)

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