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新着情報2017/09/06

東京バレエ団「春の祭典」ダンサーインタビュー Vol.5 奈良春夏

東京バレエ団「春の祭典」ダンサーインタビュー、最終回は奈良春夏をおとどけします。

「春の祭典」のあの独特な振付にも、ひとつひとつ意味がある。奈良は今、それをきちんと理解して心から表現していくことの重要さを実感していると言います。ぜひご一読ください。


*2011年に初めて生贄の女を演じたときのお話を聞かせてください。

 このときにご指導いただいたのは、吉岡美佳さんです。吉岡さんは私が振付を身体に入れる段階から、ただ形を追うのではなくて「どのような気持ちがその形をつくっているのか」、振付けの意味とそれを十分に理解する必要があることを教えてくださいました。
 本番ではとにかく緊張しましたし、もちろん足りない部分もたくさんありましたが、いただいた指導に忠実に、自分のなかで消化しながら踊っていけたので、リハーサル終盤から本番にかけては徐々に役に入り込めている感覚がありました。


Haruka Nara.JPG

*振付と気持ちの繋がりが重要なのですね。踊っていて、特にそのことを実感した場面はありますか?

 例えば、生贄の女のヴァリエーション。役柄もあり、踊っているとひとり孤独に思えてしまうのですが、群舞全員のまっすぐな視線が自分ひとりに向けられているとき、私はみんなからパワーをもらっています。生贄の女の振付は男性並みに激しいので、踊りの終盤では身体も思うように動かせなくなり、呼吸をするのもやっとなくらい。そんなとき、周りのみんなが視線にのせて注いでくれるパワーが、ダメになりそうな自分を奮い立たせてくれるんです。実際に、コール・ド・バレエとして踊っていたときは、私自身も生贄に向かってパワーを送っていたのを覚えていますが、生贄役を演じたことで改めて、ひとり一人が振付に気持ちをのせて踊れば、それはダンサー個人を超えてすべてのダンサーに繋がっていくのだと感じることができました。この場面を踊っているときは特に、吉岡さんのおっしゃっていたことを実感しますね。


*奈良さんが考える生贄の女とは、どのような女性像でしょうか?

 もちろん、女性の生贄は強くて、男性の生贄は弱いというイメージはあります。ただ、振付やこれまでに習ってきたことを見つめ直したとき、私はそれだけではないと思いました。はじめから凛としてはいるけれども、それほど強くはない、繊細なイメージの女性です。男性とは違って「弱いからお前が生贄だ」ということではないので、あの約30分間の短い作品のなかで徐々に周りの女性たちを引っ張る存在になっていくんです。強さが最高潮に達するのは、女性たちが生贄の女の周りを円になって囲み、男性たちがさらにその周りに集まってくるところ。両手を広げて「男性を受け入れない」という姿勢をとるのですが、そこでやっと生贄になるんです。私のなかではそれまでは生贄にはなりきっていなくて、周囲の女性たちと同じように男性に怯えています。始めから自分が生贄になることを自覚しているわけではないのだろうなと演じていて感じます。


Haruka Nara2.png

「春の祭典」2014年6月ローマ・カラカラ野外劇場

 
*今年の7月末には、モーリス・ベジャール・バレエ団の芸術監督ジル・ロマンさんによるリハーサル指導がありましたね。

 ジルさんのリハーサルは、凄まじい熱気と緊張感に包まれていました。男性のリハーサルは特に、見ているだけでもパワーが伝わってきます。もちろん技術面の指導もありましたが、印象に残っているのはリハーサルの持っていき方です。ダンサーの精神面をどうつくっていくのか、そういう点に重きを置いているように感じました。
 例えば、それこそ本当に役のなかでの話ですが「あの相手に勝たなければ、自分が死ぬんだぞ」という緊迫した空気を本当につくりだしてしまう。だから、男性のあの力強いシーンから女性のシーンに変わったときの静けさが際立ち、それがまた女性らしさをつくりだす。そのおかげで私たち女性も入りやすいですし、後半のヴァリエーションになったとき、それまでに踊っていた男性のパワーをもらうことができる。やはりすべて繋がっているんですよね。ジルさんはそういう作品に流れる空気感を指導している印象でした。

 
*最後に公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします!

 「彼は、彼女は、どうなっていくんだろう......」という緊迫した空気とともに、男性と女性がそれぞれ生贄になっていく様を、群舞との関係性も含めて感じてもらえたら嬉しいです!

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