東京バレエ団はこの10月11日~13日の3日間、33回目の海外公演として、アラビア半島の東端にある国オマーンで日本のバレエ団として初めての公演を行いました。
現カブース国王により1971年に独立以来、近代化を遂げ発展したオマーン。その首都で「アラビアの宝石」とも呼ばれる美しい街マスカットに、音楽好きの国王の肝いりでロイヤルオペラハウスが開場したのは2011年。この湾岸諸国随一といえる白亜の美しい歌劇場は、イタリア人の総裁のもと、多くの外国人技術スタッフを含む人々によって運営されており、世界屈指のオペラ、バレエ団やアーティストが客演しています。
現地の有力紙「オマーン・オブザーバー」(Oman Observer)には、10月14日付の公演評で「"神殿の踊り子"の輝かしい演技」として次のような記事を掲載しました。その公演評の一部をここにご紹介いたします。
Oman Observer 2018年10月14日
「神殿の踊り子」の輝かしい演技 The glorious execution of the'Temple Dancer'
(木曜のソワレの)見事な演技は究極の完璧さで、目撃した観客すべてから喝采を浴びた。東京バレエ団のテクニック、振付、衣裳、舞台美術、オーケストラ、音楽のすべてが素晴らしく、全3幕の2時間のドラマはまるで一瞬のようだった。
物語は聖なる森の神殿で始まる。神殿の外で、虎狩りの後、六人の苦行僧たちが聖なる火の前で力強い土着の踊りを踊っている。苦行僧の長、マグダヴェーヤは、井福俊太郎がその精力的な運動能力と技術により、鮮やかに踊り、這いつくばった。柄本弾の踊るソロルは息を飲む正確さと力強さで、そしてニキヤの詩的な感情は、上野水香の驚くべきしなやかさをもって演じられた。東京バレエ団ですでに10年ソリストとして活躍している長野生まれの伝田陽美は、ガムザッティ役を気品高く美しく踊った。
さまざまな祝宴の場面で、東京バレエ団が十八番とするコール・ド・バレエのぴたりと揃ったアンサンブルが披露された。たとえば第一場の神殿の踊り子たちや、"宮殿内の一室"での婚約したカップルのための余興を踊る、ハーレムの衣裳をまとったコール・ド・バレエはひときわ素晴らしかった。第一幕の最後の場面──壮大な月明かりの山々の景色のもとで演じられる"宮殿の中庭"の場面のバレエ(パ・ダクシオン)は、この最たるものだった。一団から繰り出されるデュエットやトリオによって、完璧さをめざす精巧なクラシック・バレエの見せ場が続いた。ソロルの柄本の離れ業のような数々のソロシーンには、客席が熱狂した。
(第2幕で)コール・ド・バレエの催眠的な単純な動きが40回(*実際は39回)繰り返されるのは、冥界の永遠の時を暗示しているのだが、その完璧に揃った動きは、コール・ド・バレエがまるで一つの塊として動いているかのようだった。
東京バレエ団は1964年に設立され、現在のレパートリーは70作品を数える。設立からわずか2年後に実施されたロシアツアーでは、ソ連から「チャイコフスキー記念東京バレエ団」の名称を贈られた。この週末の見事な公演は、私たちオマーンも同様の栄誉を贈るに値するだろう。
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