ロマンティック・バレエの名作「ラ・シルフィード」の蘇演などで著名なフランスの振付家、ピエール・ラコット氏が4月10日に逝去しました。享年91歳。
東京バレエ団は「ラ・シルフィード」や「ドナウの娘」の上演を通してラコット氏と長年親交があり、とくに前者はバレエ団の欠くべからぬレパートリーとなっています。一同、ラコット氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
photo: Arnold Groeschel
ピエール・ラコット氏は1932年生まれ。パリ・オペラ座バレエ学校を経て同バレエ団に在籍し、のちにモンテカルロ・バレエ団、ナンシー・バレエ団他の芸術監督を務めました。彼の名前をことに高めたのは、舞踊史に名高い19世紀のフィリッポ・タリオーニ振付「ラ・シルフィード」の蘇演でした。ラコット氏はこれを膨大な資料を掘り起こして研究し、1972年テレビ映画として発表したのちパリ・オペラ座バレエ団で上演。同作はパリ・オペラ座にレパートリー入りしました。フランスの古典バレエに通暁していたラコット氏は、その後も「ドナウの娘」「マルコ・スパーダ」、プティパの「ファラオの娘」「パキータ」など19世紀の多くのバレエの蘇演を手掛けました。2021年、パリ・オペラ座バレエ団で初演した文豪スタンダール原作の「赤と黒」が最後の作品となりました。
東京バレエ団がラコット氏を招いて「ラ・シルフィード」をバレエ団初演したのは1984年のことで、蘇演に主演したギレーヌ・テスマーとミカエル・ドナールが客演しました。その後、1989年の第11次海外公演(ベルリン・ドイツ・オペラ、ウィーン国立歌劇場他)、1992年の第13次海外公演(ロシアのボリショイ劇場、マリインスキー劇場、現ウクライナのシェフチェンコ劇場)など海外ツアーでも披露し、現芸術監督の斎藤友佳理が「日本のマリー・タリオーニ」と絶賛を浴びる成功を収めて、本作は東京バレエ団にとって重要なレパートリーとなっていきました。東京バレエ団は2006年には、同じくタリオーニが娘マリーのために創作しラコット氏が蘇らせた「ドナウの娘」も上演しています。
また2011年、ラコット氏がモスクワ音楽劇場バレエで「ラ・シルフィード」を上演する際には、斎藤友佳理がアシスタントを務めてバレエ指導者としてのキャリアをスタートさせました。ラコット氏のそばでその指導に触れた斎藤は、そのときの経験をもとに自作の舞踊譜を作成して今も東京バレエ団での上演に活かしています。氏の遺してくれた伝統は東京バレエ団に受け継がれているのです。
「ラ・シルフィード」リハーサル 1984
「ドナウの娘」リハーサル 2005 photo: Kiyonori Hasegawa
「ドナウの娘」衣裳合わせ 2006
ピエール・ラコット氏と斎藤友佳理
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