東京バレエ団が珠玉の4作品を一挙に上演する〈20世紀の傑作バレエⅡ〉。いよいよ公演の初日まであと9日とせまってまいりました。
今回の上演作品は芸術監督の斎藤友佳理が厳選したいずれも振付家の個性あふれる名作ばかりですが、同時に注目されるのはその"音楽"です。ラヴェル、ドヴォルザーク、モーツァルト、ショパン、音楽史を語る上で欠かせない著名な作曲家たちがズラリと名を連ねています。そこで、"振付と音楽"という観点から、長年東京バレエ団に携わってきたあるスタッフが、プログラムの見どころについてご紹介いたします。ぜひご一読ください。
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ラヴェルの「ボレロ」には麻薬的な作用があります
世の中にはラヴェル作曲の「ボレロ」が好きな人がたくさんいるようです。ひたすら破滅に向かってクレッシェンドしながら突き進む音楽は、麻薬的な作用があります。その音楽に振付けられたモーリス・ベジャールの「ボレロ」は、聴覚に加え視覚をも刺激し、陶酔と興奮を何倍にも増幅させます。一度この恍惚感を味わったら、必ずもう一度体験せずにはいられなくなるでしょう。
NBSでは2017年2月にオレリー・デュポンを"メロディ"役に東京バレエ団とともに「ボレロ」を上演しました。さらに同年11月には、ベジャール・バレエ団でエリザベット・ロスとジュリアン・ファブローを芯に据えて「ボレロ」を上演しました。こんどの東京バレエ団により「20世紀の傑作バレエ」と題した公演では、上野水香と柄本弾が日替わりで「ボレロ」の真ん中を踊ります。もしかしたら、上野水香の「ボレロ」を観たことがある人は少なくないかもしれませんが、柄本弾の「ボレロ」はこれまで横浜のベイサイド・バレエと〈めぐろバレエ祭り〉でしか上演していませんので、ほとんど目にされていないに違いありません。ベジャール・バレエ団の芸術監督ジル・ロマンから太鼓判を押された柄本弾の「ボレロ」は一見の価値があります。
バレエの基は音楽です。バレエの傑作はすべて素晴らしい音楽に振付けられています。「ボレロ」とともに上演するのは、ドヴォルザークの弦楽セレナーデにノイマイヤーが振付けた「スプリング・アンド・フォール」、ショパンのノクターンにロビンズが振付けた「イン・ザ・ナイト」、モーツアルトのピアノ協奏曲23番と21番にキリアンが振付けた「小さな死」。
「ボレロ」が好きな人は、振付けの巨匠たちが創った他の3作品もきっと気に入っていただけるものと思います。このような豪華な4作品を一挙に上演し、1000席程度の比較的小さな劇場で、身近に観ていただける機会はめったにありません。どうぞ、この貴重な機会をお見逃しなく。新国立劇場の中劇場に足を運んでください。
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