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レポート2019/06/06

東京バレエ団創立55周年 記者会見レポート

今年創立55周年を迎える東京バレエ団は、いま、創立記念シリーズを展開中で、6月下旬には記念プロジェクトの一環として実施する第34次海外公演がスタート。出発を約2週間後に控えた6月4日、都内ホテルにて「東京バレエ団創立55周年記念シリーズ記者会見」を開催しました。この日は、東京バレエ団を運営する日本舞台芸術振興会専務理事の髙橋典夫と東京バレエ団芸術監督・斎藤友佳理のほか、上野水香、川島麻実子、沖香菜子、柄本弾、秋元康臣、宮川新大らプリンシパルたちも出席。華やいだ雰囲気の中で行われた会見の模様をレポートします。

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冒頭、「55周年記念シリーズ」の概要と主旨について語った髙橋は、そのテーマをずばり、「東京バレエ団のブランディング」と明言。あらためてそのラインナップを紹介しました。
すでに3月に『海賊』全幕のバレエ団初演、4月の〈上野の森バレエホリデイ〉でブルメイステル版『白鳥の湖』を上演した東京バレエ団ですが、現在はポーランド、オーストリア、イタリアをめぐる第34次海外公演のためのリハーサル中。帰国後は、8月の〈めぐろバレエ祭り〉での〈サマー・バレエ・コンサート〉と、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』、10月には勅使川原三郎作品の世界初演を控えています。まだ具体的な形にはなっていない勅使川原作品ですが、武満徹の音楽を使うことが決まっており、「東京バレエ団の海外戦略の、一つの武器になればと思います」と髙橋


記念シリーズは、さらに12月の『くるみ割り人形』新制作、2020年3月の『ラ・シルフィード』へと続きますが、公演以外にもいくつかの関連事業を展開しています。その一つが、東京バレエ団創設者の故・佐々木忠次の生涯を描いた、桜沢エリカ氏による漫画の英語版、『A Japanese Diaghilev』(新書館)の出版。バレエ史研究の斎藤慶子氏が、東京バレエ団の前身である東京バレエ学校について書いた『チャイコフスキー記念東京バレエ学校(仮題)』(文藝春秋)も12月に出版される予定で、「日本のバレエ史に一石を投じるものになるのではないか」(髙橋)と期待を寄せます。附属の東京バレエ学校は来年開校60周年を迎えますが、これに合わせてジョン・ノイマイヤー振付『ヨンダーリング』の上演も予定、「バレエ団とバレエ学校の連携をさらに強めていくべき」とも。


「これら一連の事業を通して、芸術的にも、組織的にも、東京バレエ団のブランド価値が上がることを願っている。これからは、挑戦を続けていかなければ生き残れないと思っています」と攻めの姿勢をアピールしました。

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続いて挨拶した芸術監督・斎藤。プティパ生誕200年記念の締めくくりとしてバレエ団初演した『海賊』や、8月の〈サマー・バレエ・コンサート〉で今年生誕140年を迎えるアグリッピーナ・ワガノワの『ディアナとアクテオン』をコール・ド・バレエ付きで取り上げることに触れ、「歴史を振りかえってもらいたいという気持ちがより増してきた」と、思いを明かします。
勅使川原三郎氏への委嘱作については、「勅使川原さんには、東京バレエ団にしかできない真珠のような作品を、また、海外でも日本でも受け入れられる、ツアーにも持っていきやすい、話題性のある、大成功する(笑)作品を、とお願いしています」(斎藤)。
12月の『くるみ割り人形』新制作についても、「20年以上、もっとも数多く踊ってきた愛着のある作品」とコメント。『くるみ割り人形』は前身の東京バレエ学校が開校2年目に上演し、ずっと踊り継がれてきた作品です。


「東京バレエ学校では当初、ワイノーネン振付によるヴァージョンそのものを上演していたそうですが、その後、演出振付を大きく変えたようなのです。東京バレエ団ではそれをずっとワイノーネン版として上演していたのですが、55周年を機に、このクレジットの問題についてなんとか改めなければと考えていました」。そこで、現在の東京バレエ団のヴァージョンを基本に、見直すべき振付に手を加え、装置・衣裳を新たにして上演することを決断。現在、斎藤の夫ニコライ・フョードロフ氏(バレエ・プロデューサー)の協力を得て、ロシアで装置・衣裳を製作していると話します。装置はマリインスキー劇場の舞台を手がけている美術家に依頼、衣裳はその点数の多さから、モスクワとサンクトペテルブルクの5カ所もの工房で同時進行で作っていると、新たな舞台への意欲を見せていました。

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会見の終盤には、プリンシパルたちから、直後に控えた海外公演への抱負が次々と飛び出します。
前日までロシアのフェスティバルに出演していた上野水香は、「各地のオペラハウス、素敵な場所にたくさん行ける。それぞれの場所のそれぞれの雰囲気、お客さまを感じながら、一つひとつ大切につとめたい」。川島麻実子も、「55周年という節目の年の海外ツアーに参加できることを誇りに思うとともに、身の引き締まる思い。つねに新しい気持ちで、丁寧に一つずつ踊りたい」。沖香菜子は「1カ月間もの海外ツアーは初めて。たくさんの振付家の作品を踊らせていただきますが、挑戦できるのは東京バレエ団だからこそ。そのありがたさを感じながら、頑張りたい」。
男性陣も、「前回のミラノ・スカラ座での『ザ・カブキ』ではコール・ドでの出演でしたが、今回は由良之助を踊らせていただきます。しっかり調整しつつ、楽しみながら演じたい」(柄本弾)、「『春の祭典』に初めて挑戦させていただきます。これほど長い期間ツアーに出るのは初めてですが、歴史ある劇場で踊れることは幸せ。東京バレエ団でしかできない貴重な経験だと思います」(秋元康臣)、「ヨーロッパで長く生活していたので、海外ツアーは一種の里帰りのような気持ち。自分の舞台もそうですが、各地の友達に会えるのが楽しみです」(宮川新大)と、期待に目を輝かせていました。
東京バレエ団は6月19日、第34次海外公演に出発。約1カ月の間に、3カ国5都市、計11回の公演を実施する予定です。

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写真左より、宮川新大、秋元康臣、柄本弾、斎藤友佳理、上野水香、川島麻実子、沖香菜子

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