東京バレエ団が新制作する「くるみ割り人形」の初日まであと20日をきりました。本日から、新しい"くるみ"の主演キャスト3組のインタビューをシリーズでお贈りします。リハーサル秘話も満載!? 加藤智子さん(フリーライター)の取材による充実のインタビューです。
トップバッターは記念すべき初演の初日を飾る川島麻実子&柄本弾の2人。ぜひご一読ください!
──新制作の「くるみ割り人形」、リハーサルは順調ですか。
川島麻実子 いまは各場面をひとつずつ、創っているところです。「少しやってみて」「今度はこうしてみて」「じゃあ、こちらのほうを取り入れましょう」というように、先生がたと相談しながら、一緒に創っています。これが完成したら、よりいっそう思い入れの強い作品になると思います。
柄本弾 今回は3組の主役カップルが日替わりで踊りますが、演技も振付も、組ごとに微妙に違います。改定振付を手がける(斎藤)友佳理さんも「麻実子にはこの振りがいいけれど、(沖)香菜子はこうしたほうが合う」と、ダンサーの個性を反映した振付をしているので、3キャストを見比べたら面白いのではないかと思います。
友佳理さんもコーリャ先生(振付指導のニコライ・フョードロフ氏)も、僕らには、お互いを思いやる空気感、その場を支配するような雰囲気を期待されているように感じています。「この振りはあなたたちでなければできないでしょ?」と言われることもありますが、パ・ド・ドゥの内容は、以前の『くるみ』より確実に難しくなっています。
川島 とくにリフトですね。男性はとてもハード。
柄本 リフトは1日に何十回も練習しています。
川島 難しいことをしていても、マーシャを大事にあつかっているように見せるにはどうすべきか、ということを追求しています。ただ女性を上げればいいのではなく、そのクオリティ、パートナリングの質も見てくださっています。
──新たな振付・演出での新制作、だからこそのプロセスですね。
川島 友佳理さんのイメージをどこまで実現できるか、稽古場で実際にやってみないとわからないものです。
柄本 「いや、それは無理です。できないです!」とうことも実際にありました(笑)。本番ではどうなるかわかりませんが、現時点では、リフトをはじめ、テクニックのうえでかなり難易度の高いことにも挑戦しています。安心して組むことができるパートナー同士、テクニック面でもより上をめざそうと思って取り組んでいます。練習ではヒヤッとすることもあるけれど、稽古の段階で成功してばかりいると、かえって本番でうまくいかない時もあるんですよ。
川島 新しい『くるみ』では、マーシャの感情を、よりすんなりと表現することができるようになったのではないかと思います。彼女は7歳の少女ですが、私自身も7歳の時代があったわけで、その頃の自分はどうだった?と振り返ってみると──、7歳って、実は、お姉さんに見られたい時期だったと思いますし、お客さんの前ではとても落ち着いた振る舞いをしてみせたり、でも突然騒ぎだしたり──(笑)。無理になりきろうとせず、自然にマーシャの成長をたどっていけたらいいですね。お子さんには、ただのファンタジーとしてでなく、これから自分の未来を明るく想像するきっかけにもなったらいいな、と思っています。
柄本 新しい衣裳で、新しい装置の中で踊ることができることも楽しみの一つ。ぜひ期待していただきたいです。
──今回は柄本さんの故郷、京都での公演も予定されています。
柄本 バレエ団に入って初の京都公演です。バレエ団のメンバーで新大阪で降りずに京都で降りる、というのは新鮮(笑)。楽しんでいきたいですね。
取材・文:加藤智子氏(フリーライター)
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