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レポート2019/12/10

新制作「くるみ割り人形」 主演キャストインタビューvol.3 ~秋山瑛&宮川新大

シリーズでお贈りする東京バレエ団新制作「くるみ割り人形」主演キャストインタビュー。最後に登場するのは今回の主演3組の中で一番の若手、秋山瑛&宮川新大(12月15日主演)の2人!

フレッシュな2人の勢いある!?インタビューです。ぜひご一読ください。


──今回、『くるみ割り人形』の3日目に主演する二人ですが、以前にもこの組み合わせは?

秋山瑛 『イン・ザ・ナイト』(ロビンズ振付)と、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』でオーロラ姫と王子、でしたね。気心知れたパートナー、と言えるでしょうか(笑)?

宮川新大 すごく平和にやっていますよね(笑)

秋山 私はそもそも全幕の主役は今回が初めてで、責任も感じるし不安もあるし、新制作でもあるので、とにかく必死です。

宮川 皆、それぞれ自分のことで必死なんですね。


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──新制作の『くるみ割り人形』は、どんな舞台になるのでしょうか。

秋山 クリスマスツリーの存在をとても大事にしている演出なんです。

宮川 まさにマーシャの夢の中の出来事、です。

秋山 夢のクライマックスで、マーシャは自分の理想のお姫さまになって王子とグラン・パ・ド・ドゥを踊ります。その前にディヴェルティスマンのさまざまな踊りが展開されますが、これはマーシャと王子を歓迎する踊りなので、二人はずっと舞台上でこれを観せてもらうんです。そこから、花のワルツの間に早替えをしてグラン・パ・ド・ドゥに入るので、ここでの気持ちの切り替えがとても大切に。

宮川 そこは今回の新しい演出なんですが......どうしよう! 早替えが間に合わないかもしれない(笑)。僕が早替えが苦手というのはバレエ団の中でも有名で、『ザ・カブキ』の勘平の早替えではいつもヒヤヒヤ──、衣裳さんによく注意されています(笑)

秋山 とにかくリハーサルの時間はいくらあっても足りません。

宮川 でも瑛とはタイミングや呼吸が無理なく合うので、とても組みやすく、余計な気を遣うことなく踊ることができます。

秋山 新大くんは、足がきれいで技術があるのはみんな知っていることだけれど、一緒に踊ると、ちゃんと相手のことを見てくれる。お客さまには、テクニックだけでなくて、王子としての内面的な表現にも、注目していただきたいですよね。

宮川 王子役はあまり得意ではなかったけれど、これまでにいくつか全幕の王子を踊らせてもらってきて、着実に得られたものはあると思うんです。

秋山 私も、ただ踊るだけでは足りなくて、踊りの中で物語を伝えようとつとめないと。これは、踊りを見せるための物語ではなくて、物語を伝えるための踊りだから──、だからいま、しっかり練習を重ねているところです!

宮川 二人の踊りはもちろんですが、バレエ『くるみ割り人形』を、存分に楽しんでいただけたらと思います。まあ、実は僕らもまだ、どんな雰囲気の装置が出来上がっているのかわかっていないのですが(笑)。


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──斎藤友佳理芸術監督が自ら改定演出・振付を手がけます。

秋山 マーシャの気持ちとか、王子との関係とか、それをどうお客さまに伝えるのか、いろいろとお手本を見せてくださいます。

宮川 今回は日替わりで3組が主演しますが、みんなそれぞれに違った舞台になるはずです。

秋山 友佳理さんからは「他の人を真似しようと思わないで」と言われているんです。

宮川 演技についても、「そこは二人でよく話し合って」と。そういう場面も、お互いが気持ちよくできるやり方で自然に取り組むことができるのは大きいですね。若手代表のペアとして、ぜひ、楽しんでいただける舞台をめざしたいと思います。


MAT1113_1015.jpg


取材・文:加藤智子(フリーライター)


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