──初演に引き続きメドーラ役を踊られます。前回のアンナ=マリー・ホームズさんのリハーサルで印象的だったことは?
沖香菜子 ジャンプの時やアクセントが欲しい時のアメイ(ホームズ女史のニックネーム)先生の掛け声がとても強く印象に残っていて、今でも踊っている時に頭の中に声が聞こえてきます。
──初演の舞台はいかがでしたか。
沖 スカラ座の衣裳を着て踊りましたが、本当にきれいで華やかで、フィット感も素晴らしく、でも実は、いつもの東京バレエ団のチュチュより大振りで、自分がそこに埋もれてしまわないように動かなければと実感もしました。
メドーラは場面によっていろんな衣裳を着るので、印象がその都度変わります。
最初に登場する場面では奴隷として売られる立場ではありますが、どこか芯のある、強さを感じさせる女性です。パ・ド・トロワでも同じくチュチュを纏って登場。それが2幕後半のパ・ド・ドゥではジョーゼットに。夜のシーンで、瞬く星のような照明のもとで踊るのは、またちょっと違う雰囲気。ですが、海賊たちが登場すれば、恐怖を感じながらも強い女性の雰囲気に。さらに花園の場面では、メドーラはパシャの夢に登場する麗しい女性。各場面で彼女のいろんな面、性格をお見せできたらと思っています。
第2幕、パ・ド・トロワの場面より。コンラッド役は秋元康臣
同じ第2幕でも、コンラッドとのパ・ド・ドゥでは衣裳を着替えて踊る。華やかな衣裳の数々も本作の見どころの1つ
──メドーラはどちらかというと強い女性なんですね。
沖 すごく自分に自信があるんだと思います。たぶん最初に登場した瞬間から「私は高貴な女性」と思っている。コンラッドに出会って、彼に好意を寄せるけれど、彼も自分のことをよく思っているという自信がある。その自信を出すために、私自身もちゃんと自信を持たなければ(笑)。
──コンラッド役は前回と同様、秋元康臣さんです。
沖 そしてアリ役は池本祥真くんと、前回と同じ顔ぶれです。ダンサーとして尊敬し、信頼して任せられる二人ですから、チームワークは確実です。ランケデム役については前回は宮川新大くんでしたが、今回は柄本弾さん。直接からむところはあまりないけれど、「ランケデムはお金のないコンラッドには冷たく、興味もなく、メドーラのことは売り物としてみてるヤなやつ!」という印象ですよね。前回の新大くんのランケデムも、実に"嫌みな奴"でした(笑)。
──ほかに演じてみたい役柄はありますか。
沖 ビルバントの恋人のアメイを演じてみたいなと思っているんです。キャラクター・ダンスの場面があっていいですよね。『海賊』に出てくるキャラクター・ダンスはどれも印象的ですが、メドーラにはキャラクター・ダンスの要素がないので。ビルバントもやはり重要な役どころだし、その見せ方次第で全体の印象が変わってくるだろうなと感じます。
第3幕、女性ダンサーの群舞が美しい通称「花園」の場面より(中央は上野水香)
──ではあらためて、バレエ『海賊』の魅力を教えてください。
沖 前回、正面から舞台を観ることができたのですが、複雑に入り組んでいないシンプルなストーリーに、テクニック満載の踊りの多いバレエなので、皆のいいところがすごくよく見えてくるんです。もちろん、コール・ド・バレエの美しさが際立つ花園の場面もお楽しみいただけます。音楽も耳に心地よく、スケールの大きいエンターテインメントとして存分に楽しめる舞台ですから、ご覧になって、明るい気分になって劇場をあとにしていただけたらと思っています。
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