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ロングインタビュー2021/10/28

今の自分にあった表現をー 「中国の不思議な役人」&「ドリーム・タイム」、2作品に出演する宮川新大

古典から現代作品まで幅広いレパートリーで活躍する宮川新大(東京バレエ団プリンシパル)。きたる11/6(土)、11/7(日)の公演では「中国の不思議な役人」、そして「ドリーム・タイム」と2作品に主要な役で出演する宮川に今回の舞台にかける想いを聞きました。ぜひご一読ください。


宮川さん1019-3401.jpg


Q 「中国の不思議な役人」の「第二の無頼漢―娘」というのは、ズバリどういう役でしょうか。

宮川新大 男性が女装し、男たちを誘惑しているという設定の役ですね。歌舞伎の女形のように美しい女性を演じるというものではなく、男性である面はしっかり表現しないといけない。舞台も売春宿というか、闇につつまれたアンダーグラウンドな世界ですから、ちょっとグロテスクな雰囲気を出していくことも重要な役です。他のベジャールさんの作品と比べても、かなり異質な存在なんじゃないかなと思います。

 

Q 娘役は衣裳も独特ですよね。

宮川 最初みたときはびっくりしましたけど、踊りやすいんですよ(笑)。ストッキングにつけまつげ、女性の要素を外側からどんどん足していけるので、その意味では役に入り込みやすい。女性の気持ちにも近づけたんじゃないかな? ただ、ヒールを履いて踊るのはかなり大変でした(苦笑)

女性の衣裳を着ていても、あくまでも男性の役なので、美しいだけではダメ。男らしさやちょっと泥臭い感じも出していかないといけない。


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2017年の公演より、第二の無頼漢ー娘を演じる宮川

 

今の僕にあった表現を追求していきたい

Q 普段は女性をサポートされる側ですが、今回はサポートされる役です。

宮川 もちろん、リフトのタイミンなど技術的な課題は色々あるんですけど、クラシックではないので、この作品では演技や表現の方が重要ですね。例えばソロを踊るにしても中国の役人とシェフ(無頼漢の首領)に対して表情を変えていかなければならないので......。

 

Q 4年ぶりの再演にあたり、今回はどのような点を意識してリハーサルしていますか。

宮川 4年前に出来たところは残しつつ、今の僕にあった表現を十市さんと創っていきたいです。年齢を重ねて、積み上げてきたものがあるので。

前回は「女」を表現することに注力していましたが、今回はもう少し男性的な面を押し出し、「男性が演じる女性」という役の側面をクリアにしていけたら。前回の自分が踊った映像も見直していますが、「もう少し崩してもいいかな...」と考えています。

それから、僕が踊る11/7(日)の回は若い男を演じる伝田陽美さん以外は初役のダンサーばかりなので、きっと雰囲気も変わってくるだろうし、僕もしっかりみんなを引っ張っていかないといけない。

 

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「中国の不思議な役人」リハーサルより


Q 今回は「ドリーム・タイム」にも出演します。

宮川 実は今回「ドリーム・タイム」を国内で初めて踊るんですよ。初めて踊ったのはなんとミラノ・スカラ座、いきなり斜舞台(笑)。2019年の海外ツアーの時だったので、あまりリハーサルの時間もなく、大変だった思い出があります。

初めて客席から観たときにその美しさに感動した作品だし、ずっと日本でも踊れたらと願っていたので、今回実現して嬉しいです。

 

キリアン作品は自分で突き詰めていける

Q 同じくキリアンの「小さな死」も経験していますが、キリアンの作品の特徴はどんなところにあると感じますか。

宮川 ダンサーにとってキリアンは「ハマる」振付家なんじゃないかな。クラシックだと見せ場を意識せざるを得ないけれど、キリアンは自分で突き詰めていける要素が強いので、より踊りに集中できる気がします。それからキリアンの振付は全てが流れるように見えることも重要ですね。友佳理さん(斎藤友佳理/東京バレエ団芸術監督)に「力を入れるところと抜くところ、そのコントラストをしっかりお客様にみせてほしい」とリハーサル中に言われたことが強く印象に残っています。

質問から少しそれますけど、キリアン作品から得た、これまで自分が知らなかった身体表現を、今後は別の作品を踊る際にも活かしていけたらと思っています。

 

K65A7934_Photo Marco Brescia and Rudy Amisano - Teatro alla Scala.JPG

2019年のミラノ・スカラ座公演より。この時の相手役は岸本夏未。今回は三雲友里加が同役をつとめる。


Q 改めて、「ドリーム・タイム」の魅力はどんなところにありますか。

宮川 幕があいて、セットが次第に上にあがっていく、それだけで異空間にいるような錯覚にとらわれます。名前のとおり"ドリーム"ですね。「小さな死」がセクシャルな人間的な要素をテーマにしていることに対して、幻想的な美しさに溢れた作品と言えるんじゃないでしょうか。踊る側にとっては1つ失敗するとあとが続かなくなる怖い作品でもありますけど(笑)

短い作品の中で、あえて注目ポイントをあげるとすれば、僕と三雲友里加さんのパ・ド・ドゥです。彼女が踊るパートは3名の女性の中で1番強い女性で、僕たちがフラフープと呼んでいる男性が低い位置で女性をぐるぐる回すような難易度の高い大技がたくさんでてきます。

音楽的にも武満さんの旋律にはどことなく和を感じますし、日本人の感性にはあっているように感じています。

本番までもう少し時間があるので、もっと良い表現ができるように2作品ともしっかり踊りこんでいきたいと思います。


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