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ロングインタビュー2021/12/06

「くるみ割り人形」上演に寄せて(その2) ~ 加藤くるみ、故郷で「くるみ」 
本日のブログには幅広い役柄で活躍している加藤くるみ(東京バレエ団セカンドソリスト)が登場! 「縁がある」という作品への想い、そして今回の「くるみ割り人形」全国公演の劇場の中でも、特に思い入れが強いというよこすか芸術劇場について語りました。ぜひご一読ください!

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加藤くるみ(東京バレエ団セカンドソリスト)

──加藤さんは横須賀とご縁があると聞きました。

加藤くるみ 出身は横浜なんです。家の近くのスタジオでバレエを始めましたが、その後スタジオが横須賀に移転、私はその後もずっと横須賀まで通いました。当初の私は小学校低学年。夜遅いときは親に迎えに来てもらっていましたが、行きは家の近くから乗り換えずに行けるバスが出ていたので、それに乗って1時間半、姉と通っていました。1人の時はいつも運転手さんの後ろの高めの席に座りなさいと言われていて、その席で揺られているうちに寝ちゃうんです(笑)。降りる停留所に着くと運転手さんが起こしてくれて、「ハッ!」となって起きる。こんなふうにして、高校を卒業するまで10年間ほど、横須賀のスタジオに通っていました。


──よこすか芸術劇場にはどんな思い出がありますか。

加藤 たくさんあります。スタジオの先生の方針で、発表会では必ずあの大舞台で踊らせてもらっていたので。初舞台もよこすか芸術劇場。『夢見るお人形』という作品で、コッペリアに出てくる人形の一人でした。舞台に向かう時、母に手をひかれて階段を登っていったことをよく覚えています。プロになってから何度かこの劇場で踊ったことがありますが、緊張します。最寄りの汐入駅に着いた段階でもうお腹が痛くなる(笑)。たぶん、発表会での緊張が呼び覚まされるのだと思います。


──プロを目指そうと思うようになったきっかけが、よこすか芸術劇場での体験だったとか。

加藤 11歳の時だったと思いますが、『くるみ割り人形』でクララ(東京バレエ団の舞台ではマーシャ)を踊らせてもらいました。この時、当時東京バレエ団で活躍されていた小出領子さんと後藤晴雄さんが、金平糖の精と王子役で客演してくださいました。舞台での私はもう夢うつつの状態だったのですが、そこで主役二人のグラン・パ・ド・ドゥを見ている時に、「本当のお姫さまと王子さまだ......」と、すっかりクララの気持ちに。この舞台上で、「私、バレリーナになりたい」と思うようになったんです。実は、東京バレエ団に入団後、バレエスタジオの『くるみ割り人形』の公演にゲストとして呼んでもらって、金平糖の精を踊ったことも。よこすか芸術劇場のあの舞台に、憧れの金平糖の精で戻ってくることができて、とても嬉しかったですね。

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11歳のとき。クララを演じる加藤くるみ。王子役が後藤晴雄(元東京バレエ団プリンシパル)

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同じく「くるみ割り人形」の舞台より、後藤晴雄、加藤くるみ、小出領子(元東京バレエ団プリンシパル)


──今回のツアー、横須賀公演ではどんな役柄を演じる予定ですか。

加藤 第2幕のディヴェルティスマン──マーシャを歓迎する各国の踊りの中の、ロシアを踊ります。ロシア独特の大きな頭飾りにAラインの衣裳、男性二人を引き連れた勢いある踊りで、登場の場面からもう元気いっぱいです。2年前の、このヴァージョンが初演された時から踊っていますが、ジャンプの多い踊りやキャラクター的な役柄を得意とするダンサーだということを、お客さまに見ていただけた最初の役だと思います。初演の時には、友佳理さん(東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理)が振付をつくる現場にいることができたので、その分、思い入れは強くあります。第1幕の弟のフリッツを踊る日もあるのですが、この役は、姉のマーシャのダンサーの雰囲気に合わせて、可愛い弟を演じたり、もっとやんちゃに演じたりしています。ちなみに今回の公演では、マーシャ役の沖香菜子さんと「しっかり者の姉(沖)、こじらせた弟(加藤)」という姉弟設定で演技してみようと話しています(笑)。ダンサーの組み合わせによって演技が全然違うので、お客様にはその点も注目していただけたら。


──では、バレエ『くるみ割り人形』の魅力は?

加藤 いい思い出があるからなのかもしれませんが、バレエの中で一番好きな作品なんです。音楽も素晴らしい。第1幕のマーシャと王子のパ・ド・ドゥの音楽がとくに好き。クリスマスの楽しい夢の雰囲気であふれています。これに続く雪の場面も、東京バレエ団の舞台は装置が本当に素敵で、映像を見てびっくりしたほど! 第2幕の花のワルツも夢の世界のようで好きです。
全幕を通して、夢の中に「おいでおいで」と誘われている感覚になるのが『くるみ割り人形』の魅力ではないかと思います。横須賀の皆さまにもぜひ楽しんでいただきたいですね。


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前回公演のカーテンコールより。加藤は左から2番目、花のワルツのソリストを演じた




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