レポート2022/06/01
東京バレエ団 団長 故飯田宗孝 お別れの会
季節外れの暑さに見舞われた5月29日(日)、東京バレエ団スタジオにて、今月7日に天国へと旅立った東京バレエ団団長、故飯田宗孝のお別れの会を執り行いました。会場となったAスタジオは、飯田が日々、レッスンやリハーサルで多くの時間を過ごした思い出の場所。舞台スタッフの協力により、中央にベジャール振付『くるみ割り人形』マジックキューピー役を演じた時の飯田の写真を据えた大きな祭壇を設え、バレエ界関係者、バレエ団OBOG、スタッフの皆さんをお迎えし、現役の団員たちを含むと200人以上が、生前の飯田を偲ぶ会となりました。
参列者全員での黙祷ののち、お別れの会実行委員長を務める公益財団法人日本舞台芸術振興会専務理事の髙橋典夫が、「飯田は3月の末までずっとここでクラスを教えていました。ダンサーたちにとっても、飯田の死は大きなショックだったでしょう。スタジオでこうしてたくさんの方にお集まりいただいて、飯田は本当に喜んでいるのではないかと思います」と挨拶。
公益財団法人日本舞台芸術振興会専務理事 髙橋典夫
その後、前方のスクリーンに写し出されたのは、飯田の舞台の映像やオフステージ、スタジオでの写真などをおさめた追悼映像。一昨年秋の東京バレエ団「M」に出演されたピアニスト、菊池洋子さんの生演奏が、皆を、それぞれの胸の中にある飯田の思い出にひたるひとときへといざないました。
その後、お別れの言葉を述べたのは東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理。「人として一番大切な優しさ、愛情を学びました」と、芸術監督、団長として力を尽くした飯田にリスペクトを捧げました。
東京バレエ団芸術監督 斎藤友佳理
OBOG代表として登場したのは、1983年から2004年まで芸術監督を務めた溝下司朗さん。「寂しがりやのキューピーに一言、言ってあげてください」と、彼の音頭で、全員で「キューピーさん!」と天国の飯田に呼びかける場面も。
OB・OG代表 溝下司朗さん
また団員代表の柄本弾が声を震わせて語った飯田との思い出話も、多くの人の涙を誘いました。
団員代表 柄本弾
国内外の関係者たちからも数多くのメッセージが寄せられ、東京バレエ団バレエ・スタッフの木村和夫が、その一部を紹介。シルヴィ・ギエムさん、ウラジーミル・マラーホフさん、シュツットガルト・バレエ団のタマシュ・デートリッヒ芸術監督、ミラノ・スカラ座バレエ団マニュエル・ルグリ芸術監督、指揮者のベンジャミン・ポープさんなどから届いたメッセージを読み上げました。
バレエ・スタッフ 木村和夫
締めくくりにご挨拶されたのは、喪主を務められた兄の飯田晴久さん。子供の頃の話や、闘病中にダンサーたちに会いたがっていたことを明かし、感謝の言葉とともに「皆さんが活躍することが本人にとって嬉しいこと。皆さんで東京バレエ団を盛り上げていってもらいたい」と述べられました。
時折声を震わせながら司会進行役を務めた東京バレエ団ファーストアーティスト後藤健太朗をはじめ、多くの団員たちに見送られた飯田。閉式後は一般の方々のための献花の時間も設け、東京バレエ団ファンの皆さまにも、飯田の数々の功績を振り返り、偲ぶひとときを過ごしていただくことができました。
飯田にゆかりのある舞台衣裳を展示
左からベジャールの「くるみ割り人形」マジック・キューピー、「ザ・カブキ」定九郎、「かぐや姫」翁
在りし日の飯田の舞台人、指導者としての姿をパネルで紹介
Photos:Mizuho Hasegawa