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HOPE JAPAN 20212021/06/28

初演ダンサーに聞く ― ベジャール版「ロミオとジュリエット」の魅力 その1

来る73日に幕をあける、東京バレエ団HOPE JAPAN 2021全国ツアー。今回は全国11都市をめぐる大がかりな公演となりますが、7/3(土)、7/4(日)の東京公演のみで上演するベジャール振付「ロミオとジュリエット」(パ・ド・ドゥ)に注目されている方も多いのではないでしょうか?

現在東京バレエ団では佐野志織(東京バレエ団バレエミストレス)が本作の指導にあたっていますが、この度、初演キャストの一人である栗橋圭子さん、長瀬信夫さんにお越しいただき、作品について様々なアドバイスをいただきました。

本ブログではお二人のショートインタビューをご紹介。ベジャールから直々に本作を託された2人ならではの興味深いインタビューです。ぜひご一読ください。

まずは長瀬さんの登場です。

 

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 写真左より秋山瑛(ジュリエット)、大塚卓(ロミオ)。7/3(土)出演


Q 30数年ぶりに「ロミオとジュリエット」に接してみて、いかがでしたか?

―この作品を踊ったのは40年近く前のことですから、細かいところまで鮮明に覚えている、というわけにはいきません(笑)。ですが、今日リハーサルをみている中で「当時はこういうふうにバランスをとっていたなぁ」と感覚的に甦ってくるものがあり、とても懐かしい気持ちでした。

残念ながらどうして僕がロミオ役に選ばれたのかはわからないのですが、当時の僕は181cmあったので、日本で一番高身長なダンサーだったと思います(笑)

 

Q 今日のリハーサルではリフトやオフバランスのことを重点的に注意されていました

―この作品には大きなリフトがたくさん出てきます。技術的にも難しいですし、万が一女性を落としてしまったら大変なことになりますから、当時プレッシャーはかなりありましたね。

オフバランスというのは、何もベジャール作品に限った話ではないんですよ。例えばですが、男性が片手で女性を支えるとき、女性はバランスがない状態になります。二人で1つのポーズをつくるわけですから、2人の間が軸になるようなイメージです。

バランスがあるところでもつか、少しオフにしてもつか、微妙なさじ加減ですが、女性がバランスをとれるところで持ってしまうと、かえって動きを制限してしまうこともあるのです。

 

Q 初演時はその前後に違う作品にも出演していたようです。1つの公演の中で、複数の作品に出演する場合、どのように役の気持ちを切り替えていったのでしょうか?

―これはもう練習あるのみ、です(笑)できないなんて言っていられません。ただ、この「ロミオとジュリエット」に関してはとても自然に演じられる作品で、稽古のときから役にも入りやすく、舞台上でも稽古場でも、自然と役を生きることができました。

 

Q 他のベジャール作品と比べると、共通点やこの作品ならではの特徴はあるのでしょうか?

―振付そのものをみると、他の作品との共通点を要所に見つけることができるんですよ。リフトもそうですけど、手の動きなど「あ、これは『ボレロ』だ!」と思うところも。

ベジャール作品には物語がないものもありますが、この作品に関していえば非常にドラマティック。演じる側にとっても自然と役に入り込めますし、感情の起伏というのがしっかり描かれています。照明もとてもキレイですよ。

 

Q この作品をとおしてなにか得たことや気付きはありましたか?

―この作品で学んだ芝居としての「間」の使い方は、他の作品を演じる上でもとても役に立ちました。クラシックバレエはどうしても技術が優先されてしまうものですが、物語がある作品は技術だけでは成り立ちません

 

Q お客様に「ここを観てほしい!」というところはありますか?

―現代の作品は身体の表現や使い方、という観点ではもっと進んでいるというか、新しいことに挑戦しているバレエもあると思います。ですが、この作品ではロミオとジュリエット、2人の気持ち、感情の描かれ方に注目していただきたいですね。例えば2人が抱き合い、そして離れるという部分だけをみても、お互いの家の問題があり、2人の気持ちがあるわけです。2人が抱き合うまでの「間」。そして離れてからの気持ちなど、ただパをやるだけでは伝えることができない、2人の感情と葛藤の表現についてぜひ観ていただきたいと思います。


取材協力:長瀬信夫(元東京バレエ団)

>>>初演時のジュリエット、栗橋桂子さんのインタビューはコチラ

>>>公演の詳細・チケットのお申し込みはコチラ

 

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