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レポート2017/05/03

<上野の森バレエホリデイ2017>レポート~前半


 去る4月29日(土祝)、4月30日(日)、東京文化会館、および近隣の施設にて<上野の森バレエホリデイ2017>が初開催され、東京バレエ団が「ドン・キホーテの夢」公演をはじめ様々なイベントに出演し、会場を盛り上げました。 

 今回はなんと2日間で31,200名(フラッシュ・モブをのぞく)もの方がご来場されるというビッグ・イベントに!


889.JPG東京文化会館大ホールロビーも<上野の森バレエホリデイ>特別仕様に変身しました


 まずは両日ともフラッシュ・モブで開幕。29日はサプライズ企画ということで具体的な内容は発表せず、時間と場所だけをお知らせしていましたが、ふたをあけてみると開始前から続々と人が集まり、終わるころには500名強もの人だかりが! 

 東京バレエ団からは渡辺理恵、柄本弾、2名のプリンシパルをはじめ17名のダンサーが参加。東京バレエ学校の生徒たちとともに爽やかなパフォーマンスで道行く人々を魅了しました。30日には噂を聞きつけた方々が開始前からカメラをもってスタンバイ。ダンサーたちも衣裳を一部変更し、さらにパワーアップした内容で公園内は大いに盛り上がりました。


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 そして子どものための「ドン・キホーテの夢」を東京文化会館ではじめて上演。公演に関連し、前日のリハーサルと30日のクラスレッスンを特別に公開!
 公開リハーサルには定員を大幅に上回る方からご応募いただきました。また、クラスレッスンには想定をはるかに上回る1,400名もの方がお見えになり。予定を変更して文化会館の4階席までフル稼働するほどの大盛況!スタッフ一同、お客様の関心の高さを改めて感じました。

 今回は「ドン・キホーテの夢」の上演にあたってロシア・バレエ界のレジェンド、ウラジーミル・ワシーリエフ氏が来日し、特別に指導にあたりました。


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 氏のアイデアにより、第1幕では主役を囲む群舞のダンサーたちが掛け声を出す演出が取り入れられ、そのほかにも第2幕のキトリのヴァリエーションにあわせて周囲のダンサーが同じ身振りで盛りあげるなど、さらにスケールアップした舞台で客席は大いに沸きました。また、"子どものためのバレエ"ならではの演出としてサンチョ・パンサ役のダンサーが語り部をつとめ、馬のロシナンテが登場します。今回はなんとワシーリエフ氏は自ら馬(ロシナンテ)の声も担当! あまりにも本物の馬の鳴き声にそっくりだったため、気が付かなったお客様も多数いらっしゃったようです。


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 ドン・キホーテが新たな旅から戻ってくるまで、この作品はしばらくお休みをいただきます。次回のドン・キホーテの物語にどうぞご期待ください!

レポート後半につづく>>


海外ツアーレポート2017/04/08

東京バレエ団第32次海外公演〈シュツットガルト〉  初日開幕レポート!

 4月7日(金)、東京バレエ団にとって第32次海外公演となるシュツットガルト州立劇場で初日の幕があがりました。今回の演目はナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』。「シュツットガルトは、クランコに育まれた"バレエの町。"そこでアカデミックな基礎が問われる古典作品を上演するのは、バレエ団にとっても私にとっても、大きな挑戦でした」と斎藤友佳理芸術監督。久々の海外での古典全幕上演であり、『ラ・バヤデール』の初めての国外上演でもあります。    座席数1,404席のシュツットガルト州立劇場は3日間とも早々にソールド・アウトとなり、観客の関心の高さを物語っています。開演前から活気づくフォワイエの観客の中には、「わざわざスイスから東京バレエ団を見るために夫婦で来ました! 私は東京バレエ団を見るのは2回目なのですが、妻に見せたいと思って一緒に来ました。チケットを取るのもなかなか大変で。毎年来てほしい!」「東京バレエ団は前回の『ザ・カブキ』も見ましたよ。素晴らしかった」といった方から、「ふだんは現代的な作品の方が好きなのですが、『ラ・バヤデール』を見たことがないのでぜひ見たいと思って来ました」という方までさまざま。    この作品はシュツットガルト・バレエ団のレパートリーにないということもあり、幕が上がるや異国情緒の漂う舞台、主演を務める上野水香と柄本弾の演技に見入っていく観客の様子が印象的でした。また、当初出演予定だった奈良春夏が足を痛めたため、2日目にガムザッティ役デビューの予定だった伝田陽美が急きょ出演。上野、柄本と合わせる時間もほとんどと取れなかったのですが、歌劇場関係者から「後で聞いてびっくりしました。とてもそのようなアクシデントがあったとは思えないくらい素晴らしかった」と言わしめたほど、立派にガムザッティ役を務めあげました。    第2幕、ナタリア・マカロワが「他のバレエ団を指導する際は、東京バレエ団の群舞の写真を「完璧」のお手本として見せている」という十八番の《影の王国》では、一糸乱れぬコール・ド・バレエに喝采が贈られ、拍手がなかなか鳴りやみません。第3幕の冒頭には、地元ジョン・クランコ・バレエ学校の卒業生でもある宮川新大が初役ながら素晴らしいブロンズ・アイドルを披露。彼にも大きな拍手が贈られました。最後の幕が降りるや、馬蹄形の客席を天井桟敷まで埋め尽くした超満員の観客から怒涛のような拍手と歓声が上がり、カーテンコールが繰り返され、劇場全体が大喝采に包まれて初日の幕が下りました。また、幕間に2階フォワイエで行われた出演者によるサイン会にも、興奮した様子の観客が多く詰め寄せていました。  small_Applaus_02(photo_Roman Novitzky).jpg  公演終了の舞台上ではシュツットガルト・バレエ団芸術監督のリード・アンダーソン氏より「素晴らしい舞台でした。また皆さんをお迎え出来て大変嬉しいです」という労いの言葉があり、バレエマスターで次期監督のタマシュ・デートリッヒ氏もあたたかく歓迎してくださいました。シュツットガルトまで駆けつけ、前日から舞台の最終仕上げを手伝ってくださった振付指導のオルガ・エヴレイノフ氏もダンサーたちを労いつつ、さっそく翌日に向けてアドバイス。    主演の大役を終えた上野水香は、「今回は急なキャスト変更があり、演技の絡みに少しドキドキしましたが、シュツットガルトの劇場はお客様の距離も近くて、緊張感というよりもとてもあたたかい雰囲気があって踊りに入りやすいんです」と、笑顔を見せていました。斎藤芸術監督も「本番が始まるまでは生きた心地がしませんでしたが、ダンサーたちを信じて送りだしました。本番では気持ちを一つにして、しっかり応えてくれたと思います。また、故佐々木忠次代表がクランコ氏と築き上げた信頼関係があってこそ、今日の公演までつながっていると思うと、身が引き締まる思いでした。私自身も『オネーギン』を踊った時からリードさんはよく存じ上げていますし、これからもこの親密な関係を大事にしていきたいと願っています。」とほっとした様子を見せていました。    シュツットガルト州立劇場はオペラ、演劇、バレエを包括する総合劇場ですが、日本でもおなじみのシュツットガルト・バレエ団の本拠地です。故ジョン・クランコが1961年にバレエ団の芸術監督となる以前はオペラの観客が中心だったそうですが、彼の着任以後は、熱心にレクチャーやデモンストレーションを行い、観客を育てる努力を惜しまず重ねてきました。現在も、すべての公演でプレトークを行い、毎シーズン必ず、小さな劇場で観客に近い距離でリハーサルを見せる〈ビハインド・ザ・シーン〉を企画するなどその遺志が引き継がれています。こうしてシュツットガルトには熱心な観客が育ち、彼らは古典作品、クランコ作品、コンテンポラリー、新作などの演目の種類に関わらずつねに劇場に足を運び、サポートを惜しまないのだそうです。この4~5年は全シーズンのチケットセールスは97~8%とほぼソールド・アウトが続くほどの人気を誇っており、いまや定期会員になるのも難しく、会員権はほとんど家族に遺贈されていくのだとか。    東京バレエ団にとって、1973年に初めて招聘されて以来、今回が10回目の訪問となります。シュツットガルトの観客にとって東京バレエ団の認知度は高く、昨年2016/17年シーズン・ラインナップが発表されるや、公演についてかなりの問い合わせが来たそうです。州立劇場では公演日の2か月前にチケット販売が開始されますが、その直後に50~60%の予約が入り、一般発売後1週間~10日でチケットが売り切れたのだとか。「東京バレエ団がいかにクオリティーの高いバレエ団ということは、観客もよく知っています。その素晴らしいバレエ団が、今までシュツットガルトで観る機会のなかった古典バレエの名作を上演する。この相乗効果によって、また大きな期待を呼んだのだと思います。チケットが売れるのはとても早かったですよ!」と、劇場広報のヴィヴィアン・アーノルド氏は語ってくれました。    シュツットガルトはバーデン=ヴュルテンベルク州の州都であり、ドイツを代表する工業都市のひとつですが、中央駅からすぐに位置する州立劇場近辺くには公園も散在し、街中はのどかな雰囲気に包まれています。劇場前のオーベラーシュロスガルテン(宮殿北側庭園)と名付けられた公園を横切る小道は「ジョン・クランコの小道」(John-Cranko-Weg)と名付けられ、シュツットガルト・バレエ団が市民と密接な関係にあるのがうかがわれます。    東京バレエ団は2017年、新年早々にベルギー・フォレストナショナルにてモーリス・ベジャール・バレエ団との合同公演『第九交響曲』で第31次海外公演を終え、今回の第32次海外公演3公演終了後には海外公演30か国153都市761回の記録を達成いたします。 photo:Ulrich Beuttenmueller

公演情報2017/02/06

<ウィンター・ガラ>「イン・ザ・ナイト」キャスト決定

2月22日(水)、23日(木)に上演する、東京バレエ団<ウィンター・ガラ>「イン・ザ・ナイト」のキャストが決定いたしましたので、お知らせいたします。 【2月22日(水)】  沖香菜子-秋元康臣  川島麻実子-ブラウリオ・アルバレス  上野水香-柄本弾 【2月23日(木)】  沖香菜子-秋元康臣  川島麻実子-ブラウリオ・アルバレス  上野水香-柄本弾 

レポート2017/02/06

『イン・ザ・ナイト』振付指導ベン・ヒューズ インタビュー

 東京バレエ団が、満を持して、新たなレパートリーに挑戦する。芸術監督の斎藤友佳理が、一昨年に芸術監督に就任して以来、上演を切望していた『イン・ザ・ナイト』。東京バレエ団が初めて取り組むジェローム・ロビンズ作品にして、日本のバレエ団による同作初演である。

 ロビンズ財団から派遣された振付指導者ベン・ヒューズの下でリハーサルを始めて2週間が過ぎた2月初頭、その手応えを彼に語ってもらった。


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完璧主義者で鳴らしたロビンズのように、リハーサルではディテールにまで目を光らせます。

─ 先ほど、見学したリハーサルでは、デュエットの技術的な事項よりも、動きの細部について指示を出されていたことが印象的でした。
「このバレエは三組の男女が踊る小品とはいえ、けっして簡単な作品ではありません。複雑なステップとパートナリングが随所に組み込まれているので、振付を指導する際には、ごく小さなディテールにまで目を光らせなくてはなりません。完璧主義者で鳴らしたロビンズが、そうしていたように。腕の差し出し方、頭の角度、リフトのタイミング、ポーズをした時の腕を静止させるのか、動かすのか...。
 振付には幾つかのオプションがあって、生前のロビンズがニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)で新しいダンサーを起用した時や、パリ・オペラ座やマリインスキー劇場に彼自身が赴いて『イン・ザ・ナイト』を上演した時にも、振付を微調整したうえで、公演に臨みました。いまの私も、東京バレエ団のダンサーにもっとも相応しいやり方を選別しているところです」


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ロビンズを踊るには、知性と音楽的なセンス、しっかりとしたパーソナリティが必要

─ 雰囲気の異なる3つのデュエットが連なる作品です。出演者には、何が求められるのでしょうか。
「自分自身になることです。しっかりとしたパーソナリティを持ち、様々な陰影や自分らしさを表現し、三組三様の愛の形を描いていきます。知性と音楽的なセンスも必要です。作品のディテールを体にしみこませ、女性は女性らしく、男性は男性らしく、流れるように踊る。どれも、けっして簡単なことではありません」

─ 音楽的なセンスとは、具体的にどのようなことでしょうか。
「古典バレエでは、カウント通りに踊ることが鉄則です。一方、ロビンズ作品では、NYCBのもう一人の立役者、ジョージ・バランシンの作品でもそうするように、ほんの一瞬だけ、ステップを音楽より遅らせます。この僅かな時間差を使って、ダンサーがサーフィンのように音楽を乗りこなせば、ダンスはより美しく見えるのです。まず音楽ありき、と言われるゆえんです。音楽に耳を澄ませば、いま、何をすべきか、どう踊るべきか、おのずと明らかになるはずです」

─ ヒューズさんは、ロビンズ作品に加えて、バランシン作品の指導もされています。両氏の作品には、どのような違いがありますか。
「バランシンが振り付けたバレエは、ステップを忠実に踊れば、ダンサーがさほど優秀でなくても、見栄えがします。振付自体が強固で、綿密に構成されているのです。ロビンズ作品の場合は、優秀なダンサーが不可欠です。さもないと、作品は空中分解してしまう。『イン・ザ・ナイト』も例外ではありません。ある意味、ロビンズ作品は繊細で、儚いものだと言えるでしょう」

─ 『イン・ザ・ナイト』のように、Mr.ロビンズは、随意に選曲し、構成した音楽を使って作品を振り付けることが、多々、ありました。
「ロビンズは、自由自在に音楽を使いこなしました。ショパンのピアノ曲を使った一連のバレエの場合、彼が思い描く通りにダンサーを踊らせるために、本来のテンポを変えた場面があるので、ピアニストを困惑させた、といった逸話も語り継がれています。バランシンが、作曲家が作曲した通りに音楽を用いたのとは、対照的です」

─ Mr.ロビンズがMr.バランシンを師と仰いでいたことは、つとに知られています。振付家として、彼はバランシンから何を学んだのでしょうか。
「バレエという芸術表現の根幹をなすテクニックを学んだのだと思います。ロビンズは、アメリカン・バレエ・シアターで発表したデビュー作『ファンシー・フリー』(1944年初演)で成功をおさめた後、バレエを踊り、振り付けるだけでなく、ブロードウェイのミュージカルを幾つも手がけていました。その後、NYCBに移籍したのは、バランシンの身近で仕事を続け、振付家としての技術を吸収したかったからなのでしょう」

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ロビンズのリハーサルに参加することは特別な経験でした。
─ ヒューズさんは、Mr.ロビンズの許で10年にわたり、踊った経験をお持ちです。印象的なエピソードはありますか。
『「In G Major」というバレエのリハーサルをしていた時のことです。その日、彼は私の腕の上げ方が気に入らなかった。何度、やり直してもロビンズは納得せず、私は途方にくれました。翌日、配役表から私の名前は消えてしまった。公演は来週にせまっていたので、彼は他のダンサーをリハーサルに招集したけれど、結局、私が呼び戻されました」

─ 腕の動きは解決したのですか?
「もう何年も踊っていた作品だったので、もともと問題はなかったんです。ただ、ロビンズはふとしたはずみで、誰かのちょっとした動きが気にかかり、先に進めなくなることがあった。ダンサーを思い通りに踊らせることができず、試行錯誤せざるを得なかったのでしょう。ダンサーにとって、彼の振付リハーサルに参加することは、苦労のしがいのある、特別な経験でした。産みの苦しみを経て、素晴らしい作品の誕生に立ち会えるのですから」

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─ 粛々と振付を進めたMr.バランシンとは対照的ですね。
「確かにロビンズには気難しい部分もあったけれど、パフォーマンスの出来映えが良ければ、言葉に出して褒め、敬意をはらってくれました。私自身、彼と食事に行ったり、オペラを見に行き、芸術について、人生について、あるいは日常のちょっとしたことについて語り合ったことは、懐かしい思い出です」

─ 稽古場の空気を一変させる、"裏技"があったのだとか。
「彼は大の犬好きでした。ダンサーが稽古場に犬を連れてきたら、大喜び! ダンサーには厳しく接することがあったけれど、犬にはいつも大甘で、犬がいる時には、彼の気持ちが和むのが分かりました。私達は、ダンサーの誰かが犬を飼っていると聞きつけたら、その犬をリハーサルに連れてきて、と頼み込んだものです」

─『イン・ザ・ナイト』は、東京バレエ団が初めて踊るロビンズ作品です。出演者の取り組みは、いかがですか。
「とても熱心で、協力的で、ほんとうに踊りたい、という気持ちが伝わってきます。十数年ほど、振付指導の仕事をしていますが、日本のダンサーとはいつもスムーズにリハーサルをすることができ、嬉しい限りです」

取材・文/上野房子(ダンス評論家)

リハーサル撮影:長谷川清徳


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記者懇親会にて:(左から)ブラウリオ・アルバレス、柄本弾、ベン・ヒューズ、斎藤友佳理、上野水香、川島麻実子、秋元康臣


レポート2017/01/30

「孤独な祝祭 佐々木忠次」 西日本新聞書評

西日本新聞(2017年1月22日)読書館に掲載された、評論家梁木靖弘氏よる書評をご紹介します。  孤独な祝祭 カバー表1画像250.jpgこれは稀有なインプレサリオの伝記である。このイタリア語を興行主、団長などと訳してみたところで、胡散臭くなるばかりだ。芸術家ではないが、舞台製作のすべてに権力と責任を持つ大物を西欧ではインプレサリオと呼ぶ。日本でそれに値する人物がいるとすれば、佐々木忠次だけだろう。  ベジャールの振付や、クライバーの指揮に飛びつく愛好家でも、来日公演を実現させたのが誰かを知る人は少ない。筆者も例外ではない。40年前、興奮して見た二十世紀バレエ団の東京公演。それも佐々木だったと本書で知った。  彼は海外から一流のオペラ・バレエを招聘しただけではない。主宰者として東京バレエ団を世界で絶賛されるカンパニーに育て上げた。また「ザ・カブキ」など傑出した創作バレエを作った。求めていた舞台は「人々が熱狂し、陶酔し、心躍らせる歓喜の場、祝祭空間としての劇場だった」。そのためには妥協しなかった。情熱はどこから来るのか。本書の最終章は「怒りの人」と題されているが、佐々木の情熱は、日本という国家に対する怒りに比例するようだ。彼の驚嘆すべき業績をいまだに理解も評価もしないのが日本である。彼はそれがわかっていたから、挑戦するように美の世界を構築しようとしたのではないか。  それを象徴するのが、東京バレエ団の社屋。ギリシャ風の柱や装飾的な欄干のバルコニーを持つ「ヨーロッパ風建築」だが、「舞台のセットが組まれたかのような違和感」があると著者は言う。ただちに連想されるのはロココ趣味の三島由紀夫邸である。「佐々木にとっては、舞台世界こそが究極の美の世界であり、それを現実の部屋に取りこむことはまさに夢でさえあった」。彼の美意識は、三島に似ている。ベジャールが佐々木のために作ったバレエ「M」が、三島その人をテーマにしていたのもうなずける。  白鳥の例を思い出す。佐々木忠次の生涯は、水中で必死にもがき続ける脚だった。そのおかげで水上に美しい白鳥を見ることができたのだと、思わずにはいられない。 (評論家 梁木靖弘)

レポート2017/01/03

(1/3[火])更新 東京バレエ団ダンサーからの年賀状2017

新年明けましておめでとうございます!!

2016年は東京バレエ団にとって大きな節目の年になりました。創立者、佐々木忠次が去る4月30日に他界。東京バレエ団のスタジオで<お別れの会>を行い、ご来場くださった大勢の方々が佐々木の功績に想いを寄せました。10月には東京バレエ団の代表作「ザ・カブキ」の初日を<メモリアル・ガラ>として上演し、ダンサーたちは舞台から天国の佐々木へ追悼の想いを捧げました。

また、昨年はブルメイステル版「白鳥の湖」の初演を皮切りに、「ラ・シルフィード」、第30次海外公演(カリアリ【伊】)、「エチュード」、子どものためのバレエ「ドン・キホーテの夢」全国公演、第4回めぐろバレエ祭り<夏祭りガラ>(「パキータ」、「スプリング・アンド・フォール」、「ボレロ」)、「ザ・カブキ」、「くるみ割り人形」、合計50回もの公演を無事に終えることができましたのも、劇場へ足を運んでくださった全ての方々のお力添えのおかげと感謝いたしております。ダンサー、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。

2017年の年明けに、恒例となりましたダンサーからの新年のご挨拶を申し上げます。「クラブ・アッサンブレ」の会員様には、直筆サイン入りの年賀状をお送りしております。下記にて全ダンサーのサインを一挙公開いたしますので、どのダンサーからの年賀状か、楽しみにご覧ください。

2017年元日、東京バレエ団のダンサーたちは第31次海外公演(ブリュッセル)、「第九交響曲」に出演するため、朝早く日本を旅立ちました。公演の様子は追って本ブログでご紹介いたしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

今年も「イン・ザ・ナイト」、「アルルの女」の新作初演を含め、多彩なラインアップで皆様のご来場をお待ちいたしております。2017年も東京バレエ団に変わらぬご声援を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

1/3(火)更新

1/1(日)にアップしました本ブログに誤りがございました。ソリストのサインのうち二瓶加奈子、岸本夏未の名前が逆に掲載されておりました。下記のとおり訂正し、お詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。



【プリンシパル】

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【ファーストソリスト】

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【ソリスト】

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レポート2016/12/30

イベントレポート~クリスマス・パーティー~

去る12月17日(土)、「くるみ割り人形」終演後の会場において第45回クラブ・アッサンブレ特別イベント<クリスマス・パーティー>を開催いたしました。

当日は公演の熱気も冷めやらぬ中、160名をこえる会員様にご来場いただきました。

ご参加いただきましたみなさまにダンサー、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。

遅ればせながらパーティーの様子を本ブログにて少しだけご紹介いたします。ぜひご一読ください。


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まずはダンサーの入場です。お客様のあたたかい拍手に迎えられ、東京バレエ団ダンサーが入場。

スタイルの良いダンサーたちがずらりとならんだ姿は壮観です。

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続きまして、入団1年目の団員が登場。緊張した面持ちで、一人ずつ自己紹介をさせていただきました。

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new.jpg【写真左から:酒井伽純、波多野渚砂、柿崎佑奈、菊池彩美、岡﨑司】

今後は新団員の活躍にもぜひご注目ください!


次は参加ダンサーの名前が一人ずつ読み上げられ、ダンサーたちはお客様の輪の中へ。

最後に飯田宗孝(東京バレエ団団長)の発声で乾杯!和やかな歓談タイムのはじまりです。

talk.jpg【お客様と歓談するダンサーたち、左から:三雲友里加、上野水香、秋元康臣】


歓談のあとにはみなさまお楽しみのプレゼント抽選会!!

永田雄大、小川ふみの二人の司会のもと、女性ダンサーからは直筆サイン入りのトウシューズ、

男性ダンサーからは直筆サイン入りの<めぐろバレエ祭り>スタッフTシャツをプレゼントさせていただきました。

kimura.JPG【左から:小川ふみ、木村和夫、永田雄大】

dan.JPG【当選番号をよみあげる柄本弾】

今年はサプライズとして、佐野志織(バレエ・ミストレス)、斎藤友佳理(芸術監督)、飯田宗孝(団長)の3名からも直筆サイン入りTシャツをプレゼントさせていただきました。

iida.JPG【当選者をみて思わず笑顔がこぼれるダンサーたち、写真中央は飯田宗孝】

yukari.JPG【当選者にプレゼントを手渡す斎藤友佳理】

当選された皆様、おめでとうございました!!


抽選会に続き、上野水香、渡辺理恵、川島麻実子、3名の女性プリンシパルが、

ポワント基金への御礼の言葉をお伝えいたしました。


最後に、斎藤友佳理、髙橋典夫(日本舞台芸術振興会 専務理事)から東京バレエ団の新プロジェクトについて会員のみなさまに先行発表させていただきました。

プロジェクトの詳細については追ってホームページ等でご紹介いたします。

どうぞお楽しみに!!

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こうして今年の<クリスマス・パーティー>も盛況のうちに幕をおろしました。

東京バレエ団では今後も会員のみなさまにお楽しみいただけるイベントを企画してまいります。

ぜひ公演とあわせてご参加いただき、東京バレエ団の魅力をこれまで以上に感じていただければ幸いです。

それではまた、次回の公演&イベントでお会いしましょう!!

みなさま良いお年をお迎えください!


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新着情報2016/12/29

「孤独な祝祭 佐々木忠次」週刊オン★ステージ新聞書評

週刊オン★ステージ新聞 (2017年1月6日付号)に掲載された、舞踊評論家の新藤弘子さんによる書評をご紹介します。


バレエとオペラで世界と闘った日本人「孤独な祝祭 佐々木忠次」  孤独な祝祭 カバー表1画像250.jpg

 ページをめくるごとに驚きがあり、笑いも涙もある。ここまで書くのかという静かな衝撃もある。
 2016年四月、目黒通り沿いにある東京バレエ団社屋の一室で、八十三年の生涯を閉じた佐々木忠次。世界の一流の舞台芸術を日本に紹介し、東京バレエ団を率いて自らも世界を駆け巡った佐々木の生涯を、雑誌「AERA」の人物ルポ「現代の肖像」などで知られる追分日出子が、一冊の評伝にまとめた。
 書き出しは、1986年、東京バレエ団が初めてパリ・オペラ座ガルニエ宮で『ザ・カブキ』を上演した際の舞台裏の描写だ。日本では思いもよらぬようなトラブルにより、スケジュールが狂ったことで苛立つ佐々木は爪を噛み、オペラ座の中を小走りに動き回る。
 続いて東京バレエ団新社屋建築当時に、外観や内装への熱烈な思い入れや並外れた買い物好きのエピソードがユーモアをこめて語られ、常に前のめりで走っていたという佐々木の姿を読者の胸の中にじゅうぶんに立ち上がらせてから、記述は過去へ、彼の生い立ちへとさかのぼってゆく。
 1933年東京の本郷で生まれ、幼い頃を戦争の中で過ごした佐々木が、戦後はじめて行った日劇で、星の輝く群青色の舞台に「わ~、きれい...」と陶然とし、その場に座り込んでしまったというエピソードは、その後の佐々木の歩む道を示唆するようで印象的だ。
 大学で演劇を学んだあとオペラの舞台監督の仕事に打ち込み、美術の妹尾河童や演出の栗山昌良、指揮の岩城宏之ら、当時の気鋭の舞台人たちとスタッフ・クラブを結成するくだりは、仕事人としての佐々木の根幹がどのように作られていったのかが伺えて興味深い。そして佐々木が三十一歳のとき、東京バレエ団が発足する。
 代表に就任した佐々木が、当初は拠点も定まらなかったバレエ団の足場を徐々に固め、海外公演を重ねて世界でも喝采をもって迎えられるカンパニーへと育てていく過程は、戦後日本がたどった成長の歩みとも重なって読み応えがある。西欧のバレエ団とはダンサーの体格ひとつとってもまだまだ大きな差があった頃、日本人ならではの強みとして、いちはやく佐々木が着目し、磨き上げたアンサンブルの美しさは、現在の東京バレエ団の中にも脈々と受け継がれている。インプレサリオ(興行師)として、カルロス・クライバーやミラノ・スカラ座など音楽界の大物を日本に招こうと果敢な直接交渉を繰り広げる様子にも目を見張るが、バレエ愛好者の興味をそそるのは、やはり世界バレエフェスティバル誕生の経緯や、世界的な振付家やダンサーとの出会いと別れかもしれない。
 プリセツカヤ、クランコ、ギエムら多くの人が登場するが、とりわけモーリス・ベジャールとジョルジュ・ドンについては、「ミラノ・スカラ座への道 ベジャールの時代」という一章で詳述されている。
 『ボレロ』のメロディについての佐々木の問いにドンが答えた「そうなんだ、誰でも踊れるんだ」という言葉には、読む人それぞれに湧き上がる思いがあるだろう。
 第三回世界バレエフェスティバルでドンと東京バレエ団が初共演した『ボレロ』の熱狂。『ザ・カブキ』のリハーサルを観たベジャールが流した涙。2007年、ローザンヌで亡くなったベジャールとの別れの描写には胸が痛む。
 著者の取材は、東京バレエ団のダンサーやスタッフはもとより、海外で通訳を担当した人物や、長く絶縁状態にあった人々にも及ぶ。
 芸術への無理解に怒りを噴出させる一方で稚気にあふれ、人をもてなし喜ばせることが大好きだった佐々木の、相克に満ちた人生が行間から煌めき出すようだ。
 あとがきに書かれた「どれほど多くの人の人生を豊かなものに変えたか、一番わかっていないのは本人だと思った」という著者の言葉に、彼の手がけた舞台を観たひとりとして、深く賛同せずにはいられない。(文藝春秋 刊) 

新藤 弘子




レポート2016/11/29

海外公演<第九交響曲>のリハーサルが行われました

 2017年1月6日から、東京バレエ団はモーリス・ベジャール・バレエ団との共演で上演される「第九交響曲」に出演します。モーリス・ベジャール・バレエ団創設の地であり、本作の初演地でもあるブリュッセルで開催されるこの公演が、東京バレエ団第31次海外公演、そして2017年のスタートを飾る最初の舞台となります。  ベートーベンの第九交響曲にモーリス・ベジャールが振付けた本作は、1964年、20世紀バレエ団によってブリュッセルで初演された、伝説のバレエ作品。 IMG_5029 NEWS.jpg  東京バレエ団は「第九交響曲」を踊るにあたり、ピョートル・ナルデリ氏を振付指導者に迎えリハーサルを続けてきました。ナルデリ氏は20世紀バレエ団のダンサーとして活躍。ベジャール亡き後はそのスピリットを伝えながら世界を飛び回りパリ・オペラ座バレエ団、モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団で「第九交響曲」の振付指導にあたっています。  特別リハーサル最終日を迎えた11月25日、ナルデリ氏は「この作品は単なるバレエではない。ダンサーの参加なくしては実現しないコンサートの延長なのだ・・」というベジャールの言葉を引用し作品に込められたメッセージを伝え「今も君たちはよくやっているが最終日の今日は、さらにエネルギーが生まれる力強さや躍動感をこの目で見たい」と東京バレエ団への期待を語りました。 IMG_5007.jpg IMG_4973 NEWS.jpg IMG_5048 NEWS2.jpg

レポート2016/10/11

イベントレポート~「ザ・カブキ」 泉岳寺 墓参

「ザ・カブキ」のリハーサルがつづく忙しい日々。そんななか、東京バレエ団一行が訪れたのは、高輪の泉岳寺です。浅野家とゆかりが深い泉岳寺は、討ち入りを果たした赤穂四十七義士の墓所として知られ、「ザ・カブキ」の物語のベースとなる歴史の舞台でもある場所です。 「ザ・カブキ」公演の前には、必ずこの場所を訪れ墓参りと公演成功祈願を行うのが、初演から30年間続く、東京バレエ団恒例の行事。 IMG_4409 小.jpg

柄本弾をはじめ、プリンシパルも東京バレエ学校の生徒たちも、赤穂義士の墓前で静かに手を合わせました。 IMG_4419 小.jpg

今回、初めて「ザ・カブキ」の由良之助を踊ることになった秋元康臣も、大石蔵之助の墓の前で静かに手を合わせます。 「実際にこの場に立ってみると、いろいろな思いが心にうかびました。いい時間でした。自分が踊る前日に今度は一人で来ようと思います」。 IMG_4420  小.jpg

16日の公演で顔世御前を踊る、奈良春夏。いつもは、力強く凛としたイメージの奈良も静かに墓前で手を合わせ「気持ちが静かになり、心も身体も引締まります」といいます。 IMG_4417  小.jpg 墓所のかたわらには、義士たちの氏名とそれぞれの墓の位置が刻まれた石版があり団員たちはひとり一人の名前を確認しながら、志を遂げた48名(1名は周囲の反対に遭い、討ち入り前に切腹した萱野三平)と主君・浅野内匠頭の生き方に思いをはせていました。 IMG_4428 小.jpg IMG_4411.JPG

墓参の後は、泉岳寺山門前で芸術監督・斎藤友佳理が挨拶。「ザ・カブキ」出演ダンサー一同で、公演の無事成功を誓いました。 IMG_4414.JPG

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