11/6(土)、11/7(日)に上演する「中国の不思議な役人」には、東京バレエ団初演から小林十市さん(元モーリス・ベジャール・バレエ団)が来団し、指導にあたっています。本作の初演キャストの1人でもある小林さんに改めて作品の魅力を伺いました。今回の上演にまつわる貴重なエピソードが満載のロングインタビューです。ぜひご一読ください。
──『中国の不思議な役人』はベジャール1992年の作品ですが、小林さんもモーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)のダンサーの一人として創作の場に立ち合われていますね。
小林十市 ベジャールさんが「より密度の高い創作活動をしたい」とカンパニーを縮小し、最初に創ったバレエがこの『中国の不思議な役人』です。当初僕は、アンサンブルの一人として参加していました。60人以上いたダンサーが25人になり、カンパニー内の風通しが良くなった分、誰も群舞の中にまぎれることなく、「一人ひとりがソリストと思ってやってほしい」とベジャールさんに言われた記憶があります。
東京バレエ団では2004年の初演からこの作品を指導させてもらっていますが、実はその際、アンサンブルの人数を増やしました。とはいっても限度がある。増やしすぎると音の長さが足りなくなり、うまくはまらなくなる。4人増が最大限でした。
──今回、併演する作品のリハーサルとの兼ね合いで、役の割り振りに工夫をされたと聞きました。終盤で役人に対して送り込まれるランジェリー姿の女性たちは、通常、前半では男性の衣裳を着てアンサンブルに参加し、その後衣裳を変えて登場していましたが、今回は独立した役としてキャスティングされたそうですね。
小林 リハーサルの進行の関係で、彼女たちには終盤のランジェリーの場面だけに出てもらいます。実は彼女たちには「幽閉された女たち」という役名があるんです。ベジャールさんは、「青ひげ」*に出てくる女性たちだと言っていました。無頼漢の首領(シェフ)が、青ひげに幽閉された女性を連れてきて仕事をさせているんだと。
*ペローの童話に収録された、「青ひげ」は、先妻たちをあやめた残忍な男の物語。これに想を得てベラ・バラージュが台本を書いた『青髭公の城』は、1918年に発表されたバルトーク唯一のオペラ。
キャラクターとして生き、その場に存在してくれないと作品として成り立たない
──数あるベジャール作品の中で、これはどのような位置づけにある作品といえるでしょうか。
小林 芝居の要素が強い作品です。僕が皆に求めるのも、バレエのマイムではなく、"道端のリアクション"──普段、何かを見たり観察したりした時に身体がどう反応するのか、どう思考するのか、が重要で、作品の中の出来事を今、そこで起こっていることとして捉えてくださいと、ダンサーたちに言っています。
まだまだ皆には戸惑いがあるようです。この作品に関しては動きができていればいいというわけではなく、キャラクターとして生き、その場に存在してくれないと作品として成り立たない。あの無頼漢の一味は、ストリートギャングで、飢えていて貪欲で、人を出し抜いても利益を得たいという連中の集まり。そうした感覚に基づく一体感があれば、この作品独特のダークな世界観が見えてくるのではないかと思います。
──タイトルロールとともに重要な役割を担うのが、「娘」です。どのような役作りを求められますか。
小林 どこか人間臭く、グロテスクなものが混じり合ったようなところが出るといい。綺麗に演じようとしてはいけないと思います
「若い男」を簡単に騙し、お金を奪って得意気になっていたら、今度は全然違うタイプの「役人」が来て、これにどう対処していいかわからない。不安に襲われ、緊張し、身体をこわばらせる。そんな娘を言いくるめようとするシェフの狡猾さも見えると、面白い。どんなふうに言って娘を安心させ、仕事をさせることができるのか。それをセリフなしでどう表現するか。それは、自身の中に言葉を持っていないと動きには現れません。リハーサルでは、ダンサーが身体で表現するそのセリフは合っているのか、辻褄は合っているのか、ということに注意して見ています。ベジャールさんの動きは音にぴったりとはまっているのですから、あとは、音楽通りに動けば客席に伝わると思います。
BBLでは相当の時間をかけてこれを初演し、その後何シーズンにもわたって、ツアーで上演してはローザンヌに戻ってまた一からリハーサル、ということを繰り返していました。それを東京バレエ団では3週間で上演する──。僕の責任はとても重いです(笑)! 初めて観た人に、「なんだ、これがベジャール?」ではなく、「なんかよくわかんないけどよかった」って言われたいし、お客さまにあの世界観を受け取っていただけるようにしたい。
リハーサルより。中央は 第二の無頼漢ー娘 を演じる宮川新大
バルトークの音楽の凄みがベジャールさんの振付で立体化される
──あらためて、この作品の魅力はどんなところにあると思いますか。
小林 九十何年のことだったか、フランス・ツアー中になぜか客席で『中国の不思議な役人』を観たことがあります。役人を演じていたのはジル・ロマン(現モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)。言葉がないのに、まるで、音がセリフのように感じられ、会話が見えるように思えて、鳥肌が立ちました。バルトークの音楽の凄みが、ベジャールさんの振付で立体化されたように思えて、凄いなと感じたのを覚えています。
──創作現場に立ち合われたことはとても大きな体験だったのではないでしょうか。
小林 ベジャールさんの言葉や動きで強く印象に残っているものがあります。たとえば、「ワシのように」とか、「虎の爪のように」とか──部分的に鮮明に覚えているものがあります。東京バレエ団で指導するたびに見ているのが、1994年のBBL日本公演を収録した、NHKで放映された映像なのですが、今見ると皆、教えられた振付をちゃんとやっていないんですよ(笑)。それでも作品として成立しているというのは、皆が役として舞台上にいるからです。
僕は当初、役人と娘の両役のセカンドキャストでした。スタジオに張り出された配役表には、役人が上からジル・ロマン、ジュウイチ・コバヤシ、ドメニコ・ルヴレと書いてあり、娘のほうにはクーン・オンズィア、ジュウイチ・コバヤシ、ファブリス・セラフィノと書いてあったんです。でも両方はできませんと、迷わず役人のほうに専念(笑)。実際、その後僕は役人を踊り、娘役はファブリスが踊っていましたが、実は僕も、1995年に1回だけ、娘役を踊りました。これもフランス・ツアー中。役人はドメニコで、僕は和のルックスを活かした狐のお化けみたいなメイク(笑)。その舞台、すごく楽しかったです!
モーリス・ベジャール・バレエ団の公演より。中国の役人を演じる小林十市
無頼漢の首領役、鳥海創を指導する小林十市
メンバーの関係性が創作に活かされた初演
──リハーサルでは、シェフと娘の関係性、その表現をとても重視されているそうですね。
小林 そうなんです。ダンサーたちにも言いましたが、1日の仕事が終わって、今日どれくらい稼いだかとお金を数えるのは、絶対あのシェフと娘の二人でしょう。他の下っ端たちはそこには入っていけない。とくに役人の登場シーンは、二人の親密さを垣間見ることができる面白い場面です。
ベジャールさんは、初演メンバーたちの関係性を創作に利用しています。初演の娘役のクーンはベルギー人ですが、イングリッシュ・ナショナル・バレエで活躍していた。シェフのマーティン・フレミングは、オーストラリア・バレエ団出身で、つまり、二人とも英国の文化圏で活躍したベースがあり、近しいものがあった。たまらなく絶妙なコンビなんですよ。笑ってしまうほどに!
1994年の映像も本当にすごくて、クーンがいて、さらにジルがいる。ジルは本気で怒っているのではないかと思えるほど、リアル。本当にそこで起きている生の感情が、この舞台の上にある。まさに"神回"(笑)! これは僕にとってのバイブルで、今回も改めて見直し、そこに近づけていくためのサポートをしたいと思って取り組んでいます。
毎回、新たに気がつくことがある
──東京バレエ団で指導することで、新たな発見はありましたか。
小林 毎回ベストを尽くしてきたはずなのだけれど、なぜかまた新たに気付くことがある! たとえば今日リハーサルした場面──。役人に手こずった娘は、シェフのもとに戻る。でもシェフはアコーディオンを弾いて自分の世界に入っているので、娘は苛つき、彼を小突くという場面です。あれはただ単に間を取っているのではなく、役人から一時的に逃げて、シェフに助けを求めに行くんだなということが、今回初めてわかった(笑)。音楽も実はとてもゆるやかで、シェフは娘を穏やかに説得する。今まではわりと激しくやっていたのだけれど、そこは少し変えています。あとは、ダンサーたちがしっかり彼らの親密さを出してくれたらと思うのですが、こんなふうに毎回、新たに気になってくることがあるのです。
──今回の公演は、ベジャール作品、キリアン作品、金森穣さんによる世界初演作品のトリプル・ビルとなりますが、このプログラムについてはいかがですか。
小林 これはもう、穣くんヒストリーです。1992年にバレエ団が縮小された時、同時に設立されたのが学校=ルードラです。穣くんはこの年、ルードラの第一期生として入ってきて、『中国』の創作時には同じ場所にいたわけです。そしてその後彼が活躍したのはキリアンのカンパニーでした。深い縁を感じます。
金森穣振付「かぐや姫」第1幕 世界初演に向け、リハーサルと並行して装置や衣裳の準備が進められています。10月21日には、1幕に出演するダンサー全員の本番の衣裳をチェックする通称"衣裳パレード"が東京バレエ団のスタジオで行われました。
スタジオにはラックにかけられた衣裳が次々と運び込まれていきます。
この日は金森穣氏をはじめ、アシスタントをつとめる井関佐和子氏、衣裳デザインを手がけた廣川玉枝氏、衣裳製作の武田園子氏に加え、東京バレエ団の舞台を長年手掛ける立川好治氏(舞台監督)ら、本作にかかわるスタッフが見守る中、ダンサーたちが本番で着用する衣裳を身にまとい、その感触を確かめていました。
作品冒頭に登場する緑の精の衣裳。金森氏自ら素材やフィット感、見え方を細かくチェックしていきます。
主役のかぐや姫の衣裳を身にまとった足立真里亜。1幕のかぐや姫はまだ若くて幼い少女という設定です。
道児(かぐや姫の幼なじみ)の衣裳を着た柄本弾。まわりのダンサーやスタッフから「似合っている!」という感嘆の声がこぼれていました。
道児のヘアバンドは別のいくつかの素材も試されていました。さて、本番で登場するのは......?
衣裳を着用したあとは、試しに実際の振付をいくつか踊り、動きやすさを確認していきます。また、舞台では衣裳が並んだ際の色味も重要になるので、同じ場面に登場するダンサー同士、衣裳を着て並んでチェックをすることも衣裳パレードの際の重要なポイントです。
こちらは第1幕最後の衣裳を着用したかぐや姫役の秋山瑛。今回上演する第1幕では、かぐや姫が都に行くまでが描かれています。彼女が粗末な着物から宮廷風の衣裳に着替え、変身する場面もぜひご注目ください。
第1幕にはこの他にも大勢の人物が登場します。彼らはどのような衣裳をまとっているのか......続きはぜひ劇場でお楽しみください。
11月6日、7日に世界初演をむかえる金森穣振付「かぐや姫」第1幕では、ベジャール振付「中国の不思議な役人」、キリアン振付「ドリーム・タイム」の2作品を併演するという非常に充実したプログラムが組まれています。
上演作品のうち、「ドリーム・タイム」に出演する沖香菜子のインタビューをお贈りします。ぜひご一読ください!
ポイントは呼吸と流れるような動き
Q 「ドリーム・タイム」は2015年に初めて挑戦しています。
沖 私にとって初めてのキリアン作品でした。そのとき私は第3キャストだったので振付指導の方にみていただける機会が少なく、実際に舞台で踊れるのか確証がないままリハーサルに参加していました。ただ、その数少ない機会にちゃんとできていたら、舞台で踊らせてもらえるかもしれない! と思い、当時のメンバー5名(岸本夏未、金子仁美、岡崎隼也、吉田蓮)、一致団結してリハーサルをしていました。結果は無事に舞台を踏むことができましたし、2019年のスカラ座の公演でも、5名中4名は同じメンバーで踊ることができました。
Q この作品の特徴はどのようなところにあるのでしょうか。
沖 踊る側としては、呼吸と流れるような動き、と言えるでしょうか。特に出だしは本当に大切です。作品の冒頭、女性3人で呼吸をあわせ、無音の中で踊る場面からはじまります。この無音の時間は結構長いし、広い劇場で、3名の呼吸だけを聞き分けて踊るというのはなかなか他の作品ではないですね(笑)。動きの強弱がはっきりしている作品なので、身体のコアの部分は強く、上半身はやわらかく、という点を意識しながら、流れるように動いていかなければなりません。男性と組む場面も多いので、息をあわせてお互いの力を頼りながら、流れに身を任せることも重要です。
2019年 ミラノ・スカラ座公演より
誰か1人でも欠けたら成立しない作品
Q キリアン作品では「小さな死」も踊っていますが、同じ振付家の作品で違いはありますか。
沖 大きな違いは「小さな死」は裸足で、「ドリーム・タイム」はバレエシューズを履いて踊ることです。床の感じ方も違いますし、「小さな死」の方が踏み込める動きが多い気がします。また、「小さな死」では剣やトルソーといった小道具が出てきます。私の踊ったパートは、男性と剣と3人で踊っているような感覚でした。
「ドリーム・タイム」は友佳理さん(斎藤友佳理/東京バレエ団芸術監督)やエルケ・シェパーズさんに指導していただいていますが(シェパーズ氏は映像で指導)、以前友佳理さんに言われた言葉で「5人のうち、誰か1人でも怪我や体調不良で欠けてしまったら作品が成立しなくなる」と言われたことが強く印象に残っています。代役をたてることが難しく、その意味でも特別な作品です。
キリアン振付「小さな死」 2018年の公演より
Q 音楽は武満徹さんですね。2019年に勅使川原三郎さんの「雲のなごり」でも同じく武満さんの音楽で踊っていますが、音楽についてはどのように感じていますか。
沖 武満さん独特の和音、アクセント、強弱、はどちらの曲にも共通していると思います。「ドリーム・タイム」については、「雲のなごり」よりもメロディのラインがくっきりしている曲なのですが、もしかしたらそれは何度もこのバレエを踊り込み、曲を繰り返し聴いてきたからこそ、メロディを感じ取れるようになったという私自身の経験値にもよるものかもしれません。特に男性2人と踊るパ・ド・トロワの場面では3名で呼吸をあわせることが非常に重要で、リハーサルを重ねる中で振付と音楽が共有できたとき、やっと形になったような手応えを感じました。
Q 初挑戦から6年たちましたが、今回のリハーサルを通して新たに気がついたことはありますか。
沖 言葉で語るのはとても難しいのですが......この作品はどのような解釈もできるんです。例えば女性の想像の世界とも、見方によっては男女の関係とも、人生の流れの移り変わりとも、お客様の数だけ解釈が成立する作品。踊っている私たちにとっても毎回感じるものが違います。明確な言葉にできない、感覚を共有しているとでも言えばよいのでしょうか。みんなで動きを揃えて踊る場面でも、他の作品のように「今日は揃っていた」というものではなく、その時々に感じるリズム、空気感をお互いに感じているように思いますし、毎回新鮮な発見をもたらしてくれる作品です。
「ドリーム・タイム」から学んだことは
Q そんな"新鮮"な作品ですが、沖さんのキャリアにとってはどのような作品だと感じていますか。
沖 2015年に初めて踊ったとき、私はまだ入団5年めで、クラシックとベジャール作品以外はあまり踊ったことがありませんでした。キリアンの作品を2つしか経験していない私が言うのもなんですが、「ドリーム・タイム」をとおしてこれまで知らなかった身体の動きを学べたことはとても大きな財産です。例えば「この動きのときは力を抜こう!」と意識していると、力を抜くという行為に力が入ってしまって、結果かたい動きから脱することができなくなってしまいます。「ドリーム・タイム」を踊ることで素直に力を抜く感覚がつかめたことは他の作品を踊るときにも大いに役立っています。
Q そんな思い入れのある「ドリーム・タイム」。改めて来場を予定されているお客様に作品の魅力を伝えると?
沖 どのバレエでもそうなのですが、劇場でセット、照明、衣裳がそろったとき、初めて作品が完成します。ですが、「ドリーム・タイム」の放つ雰囲気は決っして他にはないもので、独特の美しさを秘め、まるで劇場全体が異空間にかわってしまうような感覚すら受けます。作品の空気感というのは映像ではけして味わえないものですから、皆さまにはぜひ劇場で「かぐや姫」、「中国の不思議な役人」、そして「ドリーム・タイム」、それぞれの世界観を体験していただけたらと思っています。
──前回同様、アリとランケデムの2役を演じます。
池本祥真 そうですね。性格の異なる2つの役をうまく演じ分けたいと考えて取り組んでいました。
アリは、どちらかというとストイックなイメージ。奴隷として主人に仕え、あまり感情を表に出さない、キリっと端正な。それに対して奴隷商人のランケデムは、がらりとイメージを変えて、より軽薄な感じに捉えていました。人によって演じ方は異なると思いますが、軽薄で、ちょっとだらしなくて、ちゃらんぽらんで、お金に対する執着が強くて──。演劇的ではあるけれど、特別に深みのある人物というわけではないけれど、そこに僕なりに深みを持たせられたらという気持ちがありました。主役のコンラッドに対するヒール役というのも楽しく演じることができました。
「海賊」2019年の舞台より。中央の赤いパンツが池本演じるランケデム
──アリ役は東京バレエ団入団以前にも経験しています。
池本 自分なりの表現を追求したいですね。アリといえば、第2幕のパ・ド・トロワが最大の、というか唯一の見せ場です。歴史を遡ると、このアリの踊りはチャブキアーニが男性ダンサーとしての見せ場を作るために加えた、と聞ききます。それだけに、演技というよりもとにかく踊りが大事。なので、これまでやってきた踊りの精度を上げていったり、できなかったことへのチャレンジを盛り込んでいったりしたいと思っています。その点では、前回とはまた違うアリをお見せできたら。
他の場面でのアリは決して出しゃばる存在ではないけれど、でも登場するたびに、コンラッドの奴隷としての存在、その関係性を明確に表すことができたらと思うんです。パ・ド・トロワのアダージオにも絡んでいきますが、そこでもコンラッドとの関係性がわかるように作っていけたらと思います。
2019年、初演時のリハーサルより。
──コンラッド役は前回同様、秋元康臣さんです。
池本 そうなんです、おみさん(秋元康臣)にはよく仕えています(笑)。実は、僕の東京バレエ団デビューは2018年4月の『真夏の夜の夢』のパックでしたが、この時のご主人=オベロンがおみさんでした。
──万全の主従関係が展開されますね(笑)。
池本 そうかと思えば、ランケデム役で出演する日は、メドーラが秋山瑛ちゃん、コンラッドが宮川新大くん、アリが生方隆之介くん、一緒にパ・ド・ドゥを踊るギュルナーラが中川美雪さんと、僕以外全員初役なんです。ビルバントの井福俊太郎くんは2回目ですが、再演ながらかなりフレッシュな組になります。各組とも、演技についてはかなり自由にやらせてもらっているので、それぞれ個性ある舞台になるはずです。もちろん、リハーサルの中で「そこは違う」と修正されるところもあるけれど、基本的には、音を聞いて、気持ちのいいところを出して、他の人と絡んで、というように組み立てています。
──そんな東京バレエ団の『海賊』の魅力は?
池本 東京バレエ団というよりも、キャストごとの個性が光る舞台になることかなって思います。しかもレベルの高いダンサーが揃っている! あ、自分は置いといてですけど(笑)。いま、すごくいいと思うんです。
あとはこのヴァージョンの面白さですね。皆、口を揃えて言っているのではないかと思いますが、小さい頃からABTの舞台映像を見て憧れてきた作品です。それを日本の僕らが上演できるというのは、バレエの歴史の中の一部になれているような気がしますよね。もちろん、オリジナルを踊ることも素晴らしいことだけれど、マラーホフさんが踊った役を僕もできるんだとか、世界中で上演されている名ヴァージョンをここで上演することができるんだと考えると、ダンサー冥利に尽きます。必ず、楽しい舞台になると思います。
2019年、初演時のリハーサルより
──ついにホームズ版『海賊』の再演です。初演の時の手応えはいかがでしたか。
柄本 弾 終始盛り上がる作品ですよね。派手なテクニックが注目されがちですが、他の作品でも常にパ・ド・ドゥを自分の見せ場にもっていくことが多い僕としては、第2幕の「寝室のパ・ド・ドゥ」が自身のいちばんの見せ場ではないかなと思っています。リフトの多い、しっとりとした場面です。
「海賊」第2幕、寝室のパ・ド・ドゥより。メドーラ役は上野水香
──前回は主役のコンラッド役、今回はそれに加えてランケデムも演じます。
柄本 ランケデムは、初演の時からぜひ挑戦したいと思っていた役柄。どの作品においてもより個性の強い役を演じたいという思いが強く、例えば、『くるみ割り人形』のドロッセルマイヤー、『白鳥の湖』のロットバルト、『ジゼル』のヒラリオンなどは、主役ではないけれど、本当に演じがいのある役だと思います。『海賊』の中では、僕はとくにランケデムに憧れていたので、今回はすごく楽しみですね。
──奴隷商人ランケデムはどんなキャラクターと捉えていますか。
柄本 わかりやすい悪者、です。コンラッドの手下として登場するビルバントのほうは、ストーリーが展開する中で「実は悪者だった!?」と判明するわけですが、ランケデムはもっとわかりやすく、最初からコンラッドの敵として登場します。でも、海賊たちが襲ってきたらすぐに負けちゃうという、どこか憎めない要素もある。第2幕以降はほとんど出番がないにもかかわらず、重要なポイントで出てくるキャラクターだけに、ストーリー性を深める重要な役割を担っています。やりがいがありますね。
僕の演技は基本的に「素」です。あまり作り込まず、その場の雰囲気で出していくほうだし、もともと僕は三枚目的なポジションなので、悪者だったり、おちゃらけに片足を突っ込んでいたりするほうが、より「素」で演じることができる。その点でも、ランケデムはナチュラルに入っていけそうです。
──ランケデムの一番の見せ場をあげるとすると?
柄本 奴隷商人として、オダリスクたち、ギュルナーラ、それからメドーラをパシャに売りつける場面です。ここでのランケデムのマイムは、いかにコンラッドをむかつかせるかがポイントになる(笑)。マイムなのでやることは決まっているけれど、より自然に、より説得力のある場面にすることで、全体のドラマがより生き生きとしてくるはずなんです。
「海賊」第1幕より。メドーラを初めてみたパシャはそのあまりの美しさに驚き、腰をぬかしてしまいます。写真はコンラッド(柄本弾)、アリ(宮川新大)、ランケデム(池本祥真)、メドーラ(上野水香)、そしてパシャ(木村和夫)
──コンラッド役では、東京バレエ団のリーダー的存在の柄本さんの姿が重なります。
柄本 海賊たちのリーダーですから、現実の僕のポジションと近いところはあるとは思うけれど、少し、違います。コンラッドは男気がありすぎて(笑)、皆にその背中を見せて突っ走っていくタイプ。僕がそれをやっても、皆との距離はどんどん離れてしまうだけですし、むしろ僕は一緒に進んだり、後ろから押したり、たまには一緒にくだらない話ができる関係でいたいと思っているんです。
──それでは、今回の『海賊』公演の見どころを教えてください。
柄本 僕が出演する2組の日程は、どちらも初演を経験したダンサーが中心ですが、秋山瑛と宮川新大の日だけは主要メンバーがすべて初役というフレッシュなキャストです。きっとフレッシュならではの舞台が期待できると思いますが、僕ら2度目のキャストの日も、前回の舞台で経験したことを活かした、充実の舞台をお届けできるはず。『海賊』はとくに、ダンサーたちが個性を爆発させる作品だと思うので、キャストごとに全く違った舞台が繰り広げられると思います。僕の個性もきっと爆発しますので(笑)、ぜひ、何度も足を運んでいただけたらと思っています。
──2回目のメドーラ役となりますね。
上野水香 実はとてもハードな役柄なんです。舞台に出ているか着替えているかのどちらかで、おまけにバレエダンサーにとって一番難しいテクニックが集結しているような役。いろんな意味できついのですが、なのにすごく楽しかったという記憶が強くあります。こうした作品はどうしても力が入ってしまいがち。ジャンプが多くて大変な踊りだから頑張ろう!と気合いばかりが先走ってしまうものなのですが、今回は、気合いは残しつつもナチュラルに、ちょっとどこか、いい意味で抜けた感じが加わると、もっと伝わりやすくなって、説得力も増すのではないかな、と思っています。
──メドーラという役柄についてはどのような印象を抱いていましたか。
上野 彼女の運命ってすごく厳しいものだけれど、奴隷として生きていく中でも輝いていられる、有り余るほどの魅力と強さがある。時には仲間を守ろうとする姉御肌の面がありますが、でも、それでいっぱいいっぱいになって自分勝手になって、恋人とその友人との関係にヒビを入れてしまっていることには気付いていない(笑)。そういう真っ直ぐなところに共鳴する部分はありますね。ABTの舞台映像に残されているジュリー・ケントさんの表現がとても素敵で、何があってもひたすら笑顔で乗り切る、芯の強い女性を表現したいですね。
──前回のアンナ=マリー・ホームズさんのリハーサルで印象に残ったことは?
上野 この作品は隅から隅まで楽しさにあふれているので、皆が楽しんでくれたらそれが成功につながるんだと言ってくださったことですね。実際、あれだけきつい踊りでも演じていて本当に楽しかったし、だからこそお客さまが喜んでくださったのかなと思いました。テクニック的な点では、私の回転の弱点を指摘してくださって、改善することができた。その時のことは今も身体に残っているので、とてもいい経験になりました。
──ご自身の出番の中で一番の見どころは?
上野 そうですね......。そう、全部です(笑)。作品としての見せ場はやはり、あのパ・ド・トロワから寝室のパ・ド・ドゥへと続いていく第2幕だと思います。そこに山場をもっていくための第1幕、というのもしっかり演じたいし、個人的には第3幕の花園が大好き。女の子なら誰もが憧れる世界ですよね。こういった場面が似合うとよく言われるので、そこはとくに、皆さんに喜んでいただけたらと思っています。
「海賊」第3幕、"花園"の場面。中央は上野水香
──『カルメン』の再演で大きな手応えを感じられたり、〈HOPE JAPAN〉ツアーでは各地で『ボレロ』を踊ったりと、今年も様々な経験を重ねています。
上野 いろいろと経験を重ねたからこそ、いい意味で力が抜けて、無駄が削がれていくように思います。舞台の上で気張りすぎてしまったら、ご覧になっているお客さまも一緒に力が入ってしまったり緊張してしまったりで、心地よく観ることができませんよね。そうではなく、素直にその世界を楽しんでいただけるような舞台をお届けしたい。もちろん、テクニックもしっかり追求したうえで。それはクラシックの作品を踊っていくうえでの今後の課題と思いますし、そう感じることこそキャリアを重ねたということなのかなって思います。そういう意味では、きっと前回よりいい舞台になると思いますし、とにかく楽しくて素敵!という空気感が出すことができればいいですね。
東京バレエ団のダンサーは粒揃いですし、皆、舞台が大好きでバレエが大好きで、すごくひたむきに取り組んでいます。そのひたむきさが作品の魅力をより浮き立たせると思いますし、皆それぞれ技術的にも充実しているので、『海賊』という作品は今の東京バレエ団にぴったりだと思います。
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※9/26[日]の上野主演日には、長野由紀氏(舞踊評論家)によるプレトーク、さらに終演後には舞台監督の解説のもと、舞台の機構や装置のヒミツをご覧いただける特別企画も!詳しくは>>>
──初演に引き続きメドーラ役を踊られます。前回のアンナ=マリー・ホームズさんのリハーサルで印象的だったことは?
沖香菜子 ジャンプの時やアクセントが欲しい時のアメイ(ホームズ女史のニックネーム)先生の掛け声がとても強く印象に残っていて、今でも踊っている時に頭の中に声が聞こえてきます。
──初演の舞台はいかがでしたか。
沖 スカラ座の衣裳を着て踊りましたが、本当にきれいで華やかで、フィット感も素晴らしく、でも実は、いつもの東京バレエ団のチュチュより大振りで、自分がそこに埋もれてしまわないように動かなければと実感もしました。
メドーラは場面によっていろんな衣裳を着るので、印象がその都度変わります。
最初に登場する場面では奴隷として売られる立場ではありますが、どこか芯のある、強さを感じさせる女性です。パ・ド・トロワでも同じくチュチュを纏って登場。それが2幕後半のパ・ド・ドゥではジョーゼットに。夜のシーンで、瞬く星のような照明のもとで踊るのは、またちょっと違う雰囲気。ですが、海賊たちが登場すれば、恐怖を感じながらも強い女性の雰囲気に。さらに花園の場面では、メドーラはパシャの夢に登場する麗しい女性。各場面で彼女のいろんな面、性格をお見せできたらと思っています。
第2幕、パ・ド・トロワの場面より。コンラッド役は秋元康臣
同じ第2幕でも、コンラッドとのパ・ド・ドゥでは衣裳を着替えて踊る。華やかな衣裳の数々も本作の見どころの1つ
──メドーラはどちらかというと強い女性なんですね。
沖 すごく自分に自信があるんだと思います。たぶん最初に登場した瞬間から「私は高貴な女性」と思っている。コンラッドに出会って、彼に好意を寄せるけれど、彼も自分のことをよく思っているという自信がある。その自信を出すために、私自身もちゃんと自信を持たなければ(笑)。
──コンラッド役は前回と同様、秋元康臣さんです。
沖 そしてアリ役は池本祥真くんと、前回と同じ顔ぶれです。ダンサーとして尊敬し、信頼して任せられる二人ですから、チームワークは確実です。ランケデム役については前回は宮川新大くんでしたが、今回は柄本弾さん。直接からむところはあまりないけれど、「ランケデムはお金のないコンラッドには冷たく、興味もなく、メドーラのことは売り物としてみてるヤなやつ!」という印象ですよね。前回の新大くんのランケデムも、実に"嫌みな奴"でした(笑)。
──ほかに演じてみたい役柄はありますか。
沖 ビルバントの恋人のアメイを演じてみたいなと思っているんです。キャラクター・ダンスの場面があっていいですよね。『海賊』に出てくるキャラクター・ダンスはどれも印象的ですが、メドーラにはキャラクター・ダンスの要素がないので。ビルバントもやはり重要な役どころだし、その見せ方次第で全体の印象が変わってくるだろうなと感じます。
第3幕、女性ダンサーの群舞が美しい通称「花園」の場面より(中央は上野水香)
──ではあらためて、バレエ『海賊』の魅力を教えてください。
沖 前回、正面から舞台を観ることができたのですが、複雑に入り組んでいないシンプルなストーリーに、テクニック満載の踊りの多いバレエなので、皆のいいところがすごくよく見えてくるんです。もちろん、コール・ド・バレエの美しさが際立つ花園の場面もお楽しみいただけます。音楽も耳に心地よく、スケールの大きいエンターテインメントとして存分に楽しめる舞台ですから、ご覧になって、明るい気分になって劇場をあとにしていただけたらと思っています。
-「海賊』初演時はオダリスクを踊られましたが、今回は初めてメドーラ役に挑戦です
秋山: 初演時はオダリスク、海賊たち、花園のバラをやらせていただきました。
前回はアンナ先生が来団して指導してくださったのですが、今回はZoomのリハーサルで細かく指導していただいています。
メドーラは思っていた以上にハードな役でテクニック的にも難しいところがたくさんありますが、観ていると盛り上がってワクワクさせてくれる作品なので観に来てくださった方が興奮できるような舞台にできたらと思います。
-メドーラ役は、全幕作品の中でもとくに出番の多いヒロインかもしれません。
秋山: そうですね。全ての場面に出演していますし、着替えることもたくさんあります。踊って着替えて、踊って着替えて、という感じです(笑)5着ともすごく素敵な衣裳なので、着て踊れるのが楽しみです。
-前回参加して『海賊』の魅力はどんなところにあると実感しましたか
秋山: パワフルな踊りが多いところです。あとは男性ダンサーたちが活躍しますよね。
私たち女性陣も負けないように、彼らのエネルギーにかき消されないように頑張らないと!
-もし自分が男性だったらどの役を踊りたいですか?
秋山: ビルバントをやりたいです!! キャラクター性が強くて、悪役のくくりになるのかもしれませんが、踊りもかっこよくて大好きです。
女性でキャラクターの強い役柄というと、たとえば「ジゼル」のミルタとか「ドン・キホーテ」のメルセデス、「白鳥の湖」のスペイン、「眠れる森の美女」のリラの精──。悪役に限らなくても、背の高いダンサーが演じることが多いので、憧れます。
-コンラッド役の宮川新大とのパートナーシップが注目されています。
秋山: お互いに初めての挑戦なので、たくさん話し合いながらリハーサルしています。
新大くんはパ・ド・ドゥも演技もどんなふうにしたら私がやりやすいか、といつもすごく気遣ってくれるんです。もし本番で何かあっても絶対になんとかしてくれると勝手に思っていて(笑)、安心感があります。
一方のアリ役は生方隆之介くん。入団以来様々な役で活躍していて、6月には子どものためのバレエ「ドン・キホーテの夢」で一緒に踊りました。
洞窟のパ・ド・トロワは「海賊」の中でも大きな見せ場になる場面だと思うので、本番までに3人で作り上げていきたいです。
-どんなメドーラになるか楽しみですね。
秋山: 今はメドーラという役柄を自分なりに作り上げながらリハーサルしています。奴隷として取引されてはいますが、悲観的ではないし、明るくて強い女性ですよね。品もあるし、可愛らしいところもあるし、パシャをからかうようなおてんばな面もある。でもコンラッドを守ろうと剣を振り上げる強さもあります。すごく魅力的な女性だと思うので、シーンごとに違った表情をお見せできるようにリハーサルしていきたいです。
Q 今回アリ役に抜擢されましたが、これまでに「海賊」という作品に触れたことはありますか?
生方:東京バレエ学校に通っていたとき、スクールパフォーマンスでアリを踊りました。その時はニコライ・フョードロフ先生に指導していただいたんですけど、本番では練習どおりにできなかった悔しい思い出があります。
バレエを習ってる男の子にとって、「海賊」のアリは「ドン・キホーテ」のバジルや「パキータ」のプリンシパルと並んで踊りたい役のひとつだと思うんです。もちろん僕にとっても憧れはありましたけど、いざ配役されてみると緊張の方が大きいですね。
Q 東京公演よりも先に〈横浜ベイサイドバレエ〉でパ・ド・トロワだけ踊りましたね。手応えはありましたか?
生方:初めての野外舞台だったので、客席の空気感や本番前の緊張感がいつもと違いました。野外なので爽快感というか...踊っていてすごく気持ち良かったです。作品の世界観に近い場所で踊れた経験はきっと今後につながってくると思います。ただ、床のコンディションが厳しく、シューズがすぐにボロボロになってしまいました......
〈横浜ベイサイドバレエ〉カーテンコールより。この舞台では9月の公演とは違う組み合わせでパ・ド・トロワのみを披露。写真左より秋元康臣(コンラッド役)、沖香菜子(メドーラ役)、生方隆之介(アリ役)
Q リハーサルの感触はどうでしょうか? リハーサル中指導者に言われたことで、なにか印象に残っている言葉などあれば教えてください。
生方:僕個人の課題としては、動きと動き、踊りと演技の間のつなぎの部分をもっと磨いていかなければ! と思っています。今回は先輩の池本(祥真)さん、(宮川)新大さんと同じ役なので、色々と参考にさせていただいています。
アンナ先生(振付家のアンナ=マリー・ホームズ氏)にはZoomでリハーサルをみていただいているのですが、テンションをあげていくことを求められています。初めてのリハーサルの時に「Good! 回転がすごく良い!」と褒めてもらえたのは本当に嬉しかったですね。あと、友佳理さん(芸術監督 斎藤友佳理)からは「もっと頭をさげて、コンラッドに忠実な奴隷であってほしい」と注意されたので、そこはしっかり意識していきたいと思っています。
Q アリ役について思うことと、そしてこれからのリハーサルの課題についてはどのように考えていらっしゃいますか?
生方:例えば、「ドン・キホーテ」のバジルだと最初からずっと舞台に出ているので、客席の空間に徐々に慣れていくことができるんですけど、アリって実は踊る場面が少ないんです。特に2幕でいきなり大きな踊りがくるので、かなり緊張しますし、ちょっとコンクールを思い出します(笑)踊りも難しいですけど、それよりも演技の方が難しいなと感じています。ちなみにコンラッドはもっと大変だと思います。パ・ド・トロワの場面でも、メドーラと組む場面はありますが、テクニック的に難しいところはコンラッドなので......
それからアリを演じるうえでは特に"姿勢"が重要だと感じています。露出が多い衣裳なので身体のラインがモロに出てしまって隠しようがないんです。お客様にどうみえるか、いつも以上に意識して取り組んでいきたいですね。目標としてはもう少し男らしい力強さというか、そういう雰囲気を出していけたらと思っています。
バジルのような明るいキャラクターに比べると、アリは控えめな感じが自分にあっているかな?と思ってます。あと、僕は青が好きなので、今回の衣裳の色味が自分のイメージするカラーにあっているような気がして嬉しいです(笑)
Q 「かなり緊張するタイプ」だとお話されてましたが、緊張をほぐすためにやっていることはありますか?
生方:最近池本さんから聞いて、ガムを噛み始めました。緊張すると喉が乾くじゃないですか? 唾液がでなくなるからだと思うんですけど、ガムを噛むと強制的に唾液が出ますし、それで少しでも乾きがへって緊張しなくなったらいいなって。効果はこれから現れると期待してます(笑)
Q 「海賊」には色々なキャラクターが登場しますが、もし他の役を演じられるのならばどの役に挑戦してみたいですか?
生方:うーーーん......ランケデム! 悪役好きなので(笑)。先日「白鳥の湖」のスペインを踊ったばかりなんですけど、悪役は入り込みやすいのもあって好きです。ランケデムはアリと対になるような役だと思いますし、衣裳の感じも近いなと思います。
あ、でも「白鳥」のスペインは小道具があるので緊張します。小道具って扱いがすごく難しいんですよ。
Q 「海賊」、ご来場予定のお客様へ一言メッセージをお願いします。
生方:「白鳥の湖」のような典型的な古典作品とは違って、「海賊」には男性群舞など、男性ダンサーの見せ場がたくさんあるのが一番の特徴だと思います。迫力や力強さ、男性ならではの味をしっかりと出して舞台を盛り上げていけるように精一杯踊りますので、皆さまにもぜひ楽しんでいただけたらと思います。
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