──2回目のメドーラ役となりますね。
上野水香 実はとてもハードな役柄なんです。舞台に出ているか着替えているかのどちらかで、おまけにバレエダンサーにとって一番難しいテクニックが集結しているような役。いろんな意味できついのですが、なのにすごく楽しかったという記憶が強くあります。こうした作品はどうしても力が入ってしまいがち。ジャンプが多くて大変な踊りだから頑張ろう!と気合いばかりが先走ってしまうものなのですが、今回は、気合いは残しつつもナチュラルに、ちょっとどこか、いい意味で抜けた感じが加わると、もっと伝わりやすくなって、説得力も増すのではないかな、と思っています。
──メドーラという役柄についてはどのような印象を抱いていましたか。
上野 彼女の運命ってすごく厳しいものだけれど、奴隷として生きていく中でも輝いていられる、有り余るほどの魅力と強さがある。時には仲間を守ろうとする姉御肌の面がありますが、でも、それでいっぱいいっぱいになって自分勝手になって、恋人とその友人との関係にヒビを入れてしまっていることには気付いていない(笑)。そういう真っ直ぐなところに共鳴する部分はありますね。ABTの舞台映像に残されているジュリー・ケントさんの表現がとても素敵で、何があってもひたすら笑顔で乗り切る、芯の強い女性を表現したいですね。
──前回のアンナ=マリー・ホームズさんのリハーサルで印象に残ったことは?
上野 この作品は隅から隅まで楽しさにあふれているので、皆が楽しんでくれたらそれが成功につながるんだと言ってくださったことですね。実際、あれだけきつい踊りでも演じていて本当に楽しかったし、だからこそお客さまが喜んでくださったのかなと思いました。テクニック的な点では、私の回転の弱点を指摘してくださって、改善することができた。その時のことは今も身体に残っているので、とてもいい経験になりました。
──ご自身の出番の中で一番の見どころは?
上野 そうですね......。そう、全部です(笑)。作品としての見せ場はやはり、あのパ・ド・トロワから寝室のパ・ド・ドゥへと続いていく第2幕だと思います。そこに山場をもっていくための第1幕、というのもしっかり演じたいし、個人的には第3幕の花園が大好き。女の子なら誰もが憧れる世界ですよね。こういった場面が似合うとよく言われるので、そこはとくに、皆さんに喜んでいただけたらと思っています。
「海賊」第3幕、"花園"の場面。中央は上野水香
──『カルメン』の再演で大きな手応えを感じられたり、〈HOPE JAPAN〉ツアーでは各地で『ボレロ』を踊ったりと、今年も様々な経験を重ねています。
上野 いろいろと経験を重ねたからこそ、いい意味で力が抜けて、無駄が削がれていくように思います。舞台の上で気張りすぎてしまったら、ご覧になっているお客さまも一緒に力が入ってしまったり緊張してしまったりで、心地よく観ることができませんよね。そうではなく、素直にその世界を楽しんでいただけるような舞台をお届けしたい。もちろん、テクニックもしっかり追求したうえで。それはクラシックの作品を踊っていくうえでの今後の課題と思いますし、そう感じることこそキャリアを重ねたということなのかなって思います。そういう意味では、きっと前回よりいい舞台になると思いますし、とにかく楽しくて素敵!という空気感が出すことができればいいですね。
東京バレエ団のダンサーは粒揃いですし、皆、舞台が大好きでバレエが大好きで、すごくひたむきに取り組んでいます。そのひたむきさが作品の魅力をより浮き立たせると思いますし、皆それぞれ技術的にも充実しているので、『海賊』という作品は今の東京バレエ団にぴったりだと思います。
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※9/26[日]の上野主演日には、長野由紀氏(舞踊評論家)によるプレトーク、さらに終演後には舞台監督の解説のもと、舞台の機構や装置のヒミツをご覧いただける特別企画も!詳しくは>>>
──初演に引き続きメドーラ役を踊られます。前回のアンナ=マリー・ホームズさんのリハーサルで印象的だったことは?
沖香菜子 ジャンプの時やアクセントが欲しい時のアメイ(ホームズ女史のニックネーム)先生の掛け声がとても強く印象に残っていて、今でも踊っている時に頭の中に声が聞こえてきます。
──初演の舞台はいかがでしたか。
沖 スカラ座の衣裳を着て踊りましたが、本当にきれいで華やかで、フィット感も素晴らしく、でも実は、いつもの東京バレエ団のチュチュより大振りで、自分がそこに埋もれてしまわないように動かなければと実感もしました。
メドーラは場面によっていろんな衣裳を着るので、印象がその都度変わります。
最初に登場する場面では奴隷として売られる立場ではありますが、どこか芯のある、強さを感じさせる女性です。パ・ド・トロワでも同じくチュチュを纏って登場。それが2幕後半のパ・ド・ドゥではジョーゼットに。夜のシーンで、瞬く星のような照明のもとで踊るのは、またちょっと違う雰囲気。ですが、海賊たちが登場すれば、恐怖を感じながらも強い女性の雰囲気に。さらに花園の場面では、メドーラはパシャの夢に登場する麗しい女性。各場面で彼女のいろんな面、性格をお見せできたらと思っています。
第2幕、パ・ド・トロワの場面より。コンラッド役は秋元康臣
同じ第2幕でも、コンラッドとのパ・ド・ドゥでは衣裳を着替えて踊る。華やかな衣裳の数々も本作の見どころの1つ
──メドーラはどちらかというと強い女性なんですね。
沖 すごく自分に自信があるんだと思います。たぶん最初に登場した瞬間から「私は高貴な女性」と思っている。コンラッドに出会って、彼に好意を寄せるけれど、彼も自分のことをよく思っているという自信がある。その自信を出すために、私自身もちゃんと自信を持たなければ(笑)。
──コンラッド役は前回と同様、秋元康臣さんです。
沖 そしてアリ役は池本祥真くんと、前回と同じ顔ぶれです。ダンサーとして尊敬し、信頼して任せられる二人ですから、チームワークは確実です。ランケデム役については前回は宮川新大くんでしたが、今回は柄本弾さん。直接からむところはあまりないけれど、「ランケデムはお金のないコンラッドには冷たく、興味もなく、メドーラのことは売り物としてみてるヤなやつ!」という印象ですよね。前回の新大くんのランケデムも、実に"嫌みな奴"でした(笑)。
──ほかに演じてみたい役柄はありますか。
沖 ビルバントの恋人のアメイを演じてみたいなと思っているんです。キャラクター・ダンスの場面があっていいですよね。『海賊』に出てくるキャラクター・ダンスはどれも印象的ですが、メドーラにはキャラクター・ダンスの要素がないので。ビルバントもやはり重要な役どころだし、その見せ方次第で全体の印象が変わってくるだろうなと感じます。
第3幕、女性ダンサーの群舞が美しい通称「花園」の場面より(中央は上野水香)
──ではあらためて、バレエ『海賊』の魅力を教えてください。
沖 前回、正面から舞台を観ることができたのですが、複雑に入り組んでいないシンプルなストーリーに、テクニック満載の踊りの多いバレエなので、皆のいいところがすごくよく見えてくるんです。もちろん、コール・ド・バレエの美しさが際立つ花園の場面もお楽しみいただけます。音楽も耳に心地よく、スケールの大きいエンターテインメントとして存分に楽しめる舞台ですから、ご覧になって、明るい気分になって劇場をあとにしていただけたらと思っています。
-「海賊』初演時はオダリスクを踊られましたが、今回は初めてメドーラ役に挑戦です
秋山: 初演時はオダリスク、海賊たち、花園のバラをやらせていただきました。
前回はアンナ先生が来団して指導してくださったのですが、今回はZoomのリハーサルで細かく指導していただいています。
メドーラは思っていた以上にハードな役でテクニック的にも難しいところがたくさんありますが、観ていると盛り上がってワクワクさせてくれる作品なので観に来てくださった方が興奮できるような舞台にできたらと思います。
-メドーラ役は、全幕作品の中でもとくに出番の多いヒロインかもしれません。
秋山: そうですね。全ての場面に出演していますし、着替えることもたくさんあります。踊って着替えて、踊って着替えて、という感じです(笑)5着ともすごく素敵な衣裳なので、着て踊れるのが楽しみです。
-前回参加して『海賊』の魅力はどんなところにあると実感しましたか
秋山: パワフルな踊りが多いところです。あとは男性ダンサーたちが活躍しますよね。
私たち女性陣も負けないように、彼らのエネルギーにかき消されないように頑張らないと!
-もし自分が男性だったらどの役を踊りたいですか?
秋山: ビルバントをやりたいです!! キャラクター性が強くて、悪役のくくりになるのかもしれませんが、踊りもかっこよくて大好きです。
女性でキャラクターの強い役柄というと、たとえば「ジゼル」のミルタとか「ドン・キホーテ」のメルセデス、「白鳥の湖」のスペイン、「眠れる森の美女」のリラの精──。悪役に限らなくても、背の高いダンサーが演じることが多いので、憧れます。
-コンラッド役の宮川新大とのパートナーシップが注目されています。
秋山: お互いに初めての挑戦なので、たくさん話し合いながらリハーサルしています。
新大くんはパ・ド・ドゥも演技もどんなふうにしたら私がやりやすいか、といつもすごく気遣ってくれるんです。もし本番で何かあっても絶対になんとかしてくれると勝手に思っていて(笑)、安心感があります。
一方のアリ役は生方隆之介くん。入団以来様々な役で活躍していて、6月には子どものためのバレエ「ドン・キホーテの夢」で一緒に踊りました。
洞窟のパ・ド・トロワは「海賊」の中でも大きな見せ場になる場面だと思うので、本番までに3人で作り上げていきたいです。
-どんなメドーラになるか楽しみですね。
秋山: 今はメドーラという役柄を自分なりに作り上げながらリハーサルしています。奴隷として取引されてはいますが、悲観的ではないし、明るくて強い女性ですよね。品もあるし、可愛らしいところもあるし、パシャをからかうようなおてんばな面もある。でもコンラッドを守ろうと剣を振り上げる強さもあります。すごく魅力的な女性だと思うので、シーンごとに違った表情をお見せできるようにリハーサルしていきたいです。
Q 今回アリ役に抜擢されましたが、これまでに「海賊」という作品に触れたことはありますか?
生方:東京バレエ学校に通っていたとき、スクールパフォーマンスでアリを踊りました。その時はニコライ・フョードロフ先生に指導していただいたんですけど、本番では練習どおりにできなかった悔しい思い出があります。
バレエを習ってる男の子にとって、「海賊」のアリは「ドン・キホーテ」のバジルや「パキータ」のプリンシパルと並んで踊りたい役のひとつだと思うんです。もちろん僕にとっても憧れはありましたけど、いざ配役されてみると緊張の方が大きいですね。
Q 東京公演よりも先に〈横浜ベイサイドバレエ〉でパ・ド・トロワだけ踊りましたね。手応えはありましたか?
生方:初めての野外舞台だったので、客席の空気感や本番前の緊張感がいつもと違いました。野外なので爽快感というか...踊っていてすごく気持ち良かったです。作品の世界観に近い場所で踊れた経験はきっと今後につながってくると思います。ただ、床のコンディションが厳しく、シューズがすぐにボロボロになってしまいました......
〈横浜ベイサイドバレエ〉カーテンコールより。この舞台では9月の公演とは違う組み合わせでパ・ド・トロワのみを披露。写真左より秋元康臣(コンラッド役)、沖香菜子(メドーラ役)、生方隆之介(アリ役)
Q リハーサルの感触はどうでしょうか? リハーサル中指導者に言われたことで、なにか印象に残っている言葉などあれば教えてください。
生方:僕個人の課題としては、動きと動き、踊りと演技の間のつなぎの部分をもっと磨いていかなければ! と思っています。今回は先輩の池本(祥真)さん、(宮川)新大さんと同じ役なので、色々と参考にさせていただいています。
アンナ先生(振付家のアンナ=マリー・ホームズ氏)にはZoomでリハーサルをみていただいているのですが、テンションをあげていくことを求められています。初めてのリハーサルの時に「Good! 回転がすごく良い!」と褒めてもらえたのは本当に嬉しかったですね。あと、友佳理さん(芸術監督 斎藤友佳理)からは「もっと頭をさげて、コンラッドに忠実な奴隷であってほしい」と注意されたので、そこはしっかり意識していきたいと思っています。
Q アリ役について思うことと、そしてこれからのリハーサルの課題についてはどのように考えていらっしゃいますか?
生方:例えば、「ドン・キホーテ」のバジルだと最初からずっと舞台に出ているので、客席の空間に徐々に慣れていくことができるんですけど、アリって実は踊る場面が少ないんです。特に2幕でいきなり大きな踊りがくるので、かなり緊張しますし、ちょっとコンクールを思い出します(笑)踊りも難しいですけど、それよりも演技の方が難しいなと感じています。ちなみにコンラッドはもっと大変だと思います。パ・ド・トロワの場面でも、メドーラと組む場面はありますが、テクニック的に難しいところはコンラッドなので......
それからアリを演じるうえでは特に"姿勢"が重要だと感じています。露出が多い衣裳なので身体のラインがモロに出てしまって隠しようがないんです。お客様にどうみえるか、いつも以上に意識して取り組んでいきたいですね。目標としてはもう少し男らしい力強さというか、そういう雰囲気を出していけたらと思っています。
バジルのような明るいキャラクターに比べると、アリは控えめな感じが自分にあっているかな?と思ってます。あと、僕は青が好きなので、今回の衣裳の色味が自分のイメージするカラーにあっているような気がして嬉しいです(笑)
Q 「かなり緊張するタイプ」だとお話されてましたが、緊張をほぐすためにやっていることはありますか?
生方:最近池本さんから聞いて、ガムを噛み始めました。緊張すると喉が乾くじゃないですか? 唾液がでなくなるからだと思うんですけど、ガムを噛むと強制的に唾液が出ますし、それで少しでも乾きがへって緊張しなくなったらいいなって。効果はこれから現れると期待してます(笑)
Q 「海賊」には色々なキャラクターが登場しますが、もし他の役を演じられるのならばどの役に挑戦してみたいですか?
生方:うーーーん......ランケデム! 悪役好きなので(笑)。先日「白鳥の湖」のスペインを踊ったばかりなんですけど、悪役は入り込みやすいのもあって好きです。ランケデムはアリと対になるような役だと思いますし、衣裳の感じも近いなと思います。
あ、でも「白鳥」のスペインは小道具があるので緊張します。小道具って扱いがすごく難しいんですよ。
Q 「海賊」、ご来場予定のお客様へ一言メッセージをお願いします。
生方:「白鳥の湖」のような典型的な古典作品とは違って、「海賊」には男性群舞など、男性ダンサーの見せ場がたくさんあるのが一番の特徴だと思います。迫力や力強さ、男性ならではの味をしっかりと出して舞台を盛り上げていけるように精一杯踊りますので、皆さまにもぜひ楽しんでいただけたらと思います。
京都府亀岡市
Q2 バレエをはじめた年齢、スタジオ、きっかけ
5歳から「神谷道子バレエ研究所」ではじめました。母と妹が通っていたのがきっかけです。
Q3 東京バレエ団を選んだ理由
東京バレエ学校のSクラスに中学3年生の頃から通っていました。在学していた時からバレエ団の公演にエキストラとして参加させていただいたり、公演を観たりしているうちに「このバレエ団で踊りたい」と思うようになりました。
Q4 東京バレエ団に入ってから特に強く印象に残っている舞台、役
劇場としては2年前(2019年)のヨーロッパツアーで踊ったミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場です。舞台(劇場)が美しく、夢をみているような空間でした。
そして東京文化会館の客席を舞台から見ると、いつも「また舞台に立てる」という充実感を感じ嬉しく思えてきます。
印象に残っている役は「くるみ割り人形」のフランスです。全幕公演で初のソリスト役でした。
Q5 私が今思う、地元の良いところ
空が広く、田畑の広がる先には山々があり、とても自然が豊かなところです。
Q6 私が好きな地元の名産、スポット
好きな名産― 京野菜、馬路大納言(うまじだいなごん)
好きなスポット- 保津川下り、保津峡のトロッコ列車、そして出雲大神宮(霧が深いことで有名です)
(スタッフ注:馬路大納言はその起源を延暦十三年までさかのぼると言われているほどの歴史と伝統を誇る最高級の小豆だそうです)
Q7 お客様へのメッセージ
新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続いている中、今回のツアーで多くの舞台に立てることはとても有難く、また沢山のお客様にご覧いただけることを嬉しく思います。
なにかと不安な日々ではありますが、バレエを通して少しでも希望や前向きな気持ちをお届けできれば幸いです。芸術により、人が人らしく、心豊かに過ごせることを願っています。
皆さまのご来場、心よりお待ちしております!
今回のツアーでは「ギリシャの踊り」、「パキータ」、「ボレロ」と、ほぼ全ての作品に出演する生方、ぜひご注目ください!
群馬県高崎市
Q2 バレエをはじめた年齢、スタジオ、きっかけ
4歳から。「アン・バレエスクール」と「室賀バレエスクール」で習いました(母がバレエを習っていました)。
Q3 東京バレエ団を選んだ理由
東京バレエ学校のSクラスに通っていたときから、バレエ団の公演やダンサーを拝見する事が多く、興味をもちました。
Q4 東京バレエ団に入ってから特に強く印象に残っている舞台、役
「春の祭典」。入団後初舞台だったので印象に残っています(きつかった...)
「ドン・キホーテの夢」のバジル。練習時間がとても短かったことと、主役を踊るプレッシャー。
Q5 私が今思う、地元の良いところ
東京に比べてのどかで、住みやすい所が好きです。自然も多く景色も綺麗です。
Q6 私が好きな地元の名産、スポット
・フリアンパン洋菓子店のパン
・ガトーフェスタ ハラダのラスク
それからスパゲッティー専科 はらっぱのスパゲティーが好きでよく食べに行きます。
Q7 お客様へのメッセージ
いつもバレエ団へのご支援、応援、ありがとうございます。
コロナ禍で舞台に立てるということをとてもありがたく感じています。このような状況がいつまで続くのかわかりませんが、皆様により良い舞台をこれからもおみせできるよう、日々精進していきたいと思います。
子どものためのバレエ「ドン・キホーテの夢」より。キトリ役の涌田美紀と
★次回予告★
次回はいよいよ最終回、京都出身、南江祐生が登場します。どうぞお楽しみに!
〈HOPE JAPAN 2021〉全国ツアー、公演地にゆかりのあるダンサーでつないでいくインタビューのバトン。9番目は近年主役への抜擢が続いているソリスト、金子仁美(群馬)の登場です。
今回のツアーでは「ギリシャの踊り」、「パキータ」に出演する金子のインタビュー、ぜひご一読ください!
群馬県邑楽郡
Q2 バレエをはじめた年齢、スタジオ、きっかけ
6歳、「小林はつみクラシックバレエアカデミー」でレッスンをはじめました。小林初美先生から「バレエやってみない?」とスカウトされたことがきっかけです。
Q3 東京バレエ団を選んだ理由
中学生の頃、東京バレエ団の公演を観てすごく感動し、憧れを持つようになりました。
高校1年生からは東京バレエ団附属の東京バレエ学校「Sクラス」に通うようになり、これまで以上にバレエ団のことを知り、公演を観る機会も増え、「ここに入りたい!!」とより強く思うようになりました。
Q4 東京バレエ団に入ってから特に強く印象に残っている舞台、役
全ての舞台が特別なので選ぶのが難しい!!......けれど、東京文化会館で初めて大きな役をやらせてもらったアシュトンの「真夏の夜の夢」はとても印象に残っています。あと2020年12月に初の全幕主演だった「くるみ割り人形」のマーシャは、リハーサルからすごく濃い時間を過ごしたので、忘れられない舞台になりました。
Q5 私が今思う、地元の良いところ
本当に、笑っちゃうくらい田舎でのどかな所なんです。町の人がみんな友だちって感じ!! でも、私はのどかで豊かな空気が大好きです!
Q6 私が好きな地元の名産、スポット
・焼きまんじゅう
・玉こんにゃく(大スキ♡)。シンプルですが、おでんみたいに串に3つくらい刺して、醤油ベースの味付けで煮るととっても美味しく食べられます。
・ネギ味噌。白米のおにぎりにネギ味噌をぬって食べるのはおススメです!
Q7 お客様へのメッセージ
私が東京バレエ団に入団した2011年は、東日本大震災により日本がとても大変な状況でした。あれから10年、今はコロナの影響で世界中が不安の渦の中にいます。私たちダンサーも苦しい日々を過ごしてきましたが、いつも応援してくださる皆様のおかげで前を向いて頑張ることができています。感謝の想いでいっぱいです。
このHOPE JAPANの舞台では、今かかえる不安もふきとぶようなエネルギーを皆様にお届けできるように踊ります。一緒に楽しんでください!
「くるみ割り人形」より。金子仁美(マーシャ役)、池本祥真(くるみ割り王子)
★次回予告★
次回は同じく群馬県出身、生方隆之介が登場します。どうぞお楽しみに!
〈HOPE JAPAN 2021〉全国ツアー、公演地にゆかりのあるダンサーでつないでいくインタビューのバトン。8番目は上田実歩(山口)の登場です。
今回のツアーでは「ギリシャの踊り」、「パキータ」の両演目に出演する上田のインタビュー、ぜひご一読ください!
山口県下関市
Q2 バレエをはじめた年齢、スタジオ、きっかけ
3歳のとき、近所にあった「めぐみバレエアート」に母が連れて行ってくれたことがきっかけです。
Q3 東京バレエ団を選んだ理由
小学生のとき、たまたま東京バレエ団が下関で公演をしていた「くるみ割り人形」を観に行って衝撃を受け、東京バレエ団への入団という夢を持ちました。
Q4 東京バレエ団に入ってから特に強く印象に残っている舞台、役
とても1つには絞れませんが......数年前、子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」のツアーで山口を訪れた際、地元のスタジオの小さな後輩たちと共演できた時は、とても感慨深いものがありました。
Q5 私が今思う、地元の良いところ
海や山など自然が身近で、のんびりした空気感が好きです。
Q6 私が好きな地元の名産、スポット
関門橋(九州と本州を結ぶ橋)を見ると「帰ってきたなぁ」と感じてほっとします。また、あまりメジャーではありませんが、山陰側の海は本当にキレイです!
Q7 お客様へのメッセージ
このような状況の中、私達が踊り続けられるのは、色々な制限やリスクがあっても、こうして劇場に足を運んで応援してくださるお客様のおかげです。
心からの感謝の気持ちを、公演を通してお返しできるよう精一杯頑張ります!
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」より
★次回予告★
次回は7月5日(月)、金子仁美(群馬)が登場します。どうぞお楽しみに!
〈HOPE JAPAN 2021〉全国ツアー、公演地にゆかりのあるダンサーでつないでいくインタビューのバトン。7番目は「ジゼル」ヒラリオン、「カルメン」ツニガなど、大役への抜擢が続く鳥海創(富山)です。
今回のツアーでは「ギリシャの踊り」で2人の若者を演じる鳥海のインタビュー、ぜひご一読ください!
富山県富山市
Q2 バレエをはじめた年齢、スタジオ、きっかけ
5歳だったと思います。和田朝子舞踊研究所でバレエを習い始めました。先に姉が習っていたため、続いて僕も習うようになりました。
Q3 東京バレエ団を選んだ理由
東京バレエ団が富山で公演をすることが多く、その舞台を観ているうちに僕も「東京バレエ団に入りたい!」と思うようになっていました。
Q4 東京バレエ団に入ってから特に強く印象に残っている舞台、役
「海賊」のビルバント
Q5 私が今思う、地元の良いところ
海、山どちらも綺麗な景色が見えるところ。そして海鮮がとても美味しいところ
Q6 私が好きな地元の名産、スポット
ますの寿司、とやまん(富也萬)
(スタッフ注:「ますの寿司」は桜鱒(サクラマス)を発酵させず、お酢で味つけした押し寿司の一種。「とやまん」はさらし餡をパイ生地で包んだお饅頭の一種です)
Q7 お客様へのメッセージ
地元で踊れることがとても嬉しく誇りに思います。皆さんに楽しんでいただけるよう、僕自身も楽しんで踊ります。
2019年初演「海賊」終演後の舞台で。鳥海創(写真左・ビルバント役)、樋口祐輝(写真右・ランケデム役)
★次回予告★
次回は上田実歩(山口)が登場します。どうぞお楽しみに!
──〈HOPE JAPAN 2021〉の東京公演では、4つの作品で構成されるオール・ベジャール・プログラムとなりますが、どのような思いでこのような公演を企画されたか、お聞かせください。
斎藤友佳理 芸術監督に就任してもうすぐ6年になりますが、この間、たとえば、ジェローム・ロビンズ、ローラン・プティの作品、また、イリ・キリアンの『小さな死』など、これまで東京バレエ団のレパートリーになかった新しい作品に意識的に取り組んできました。同時に、東京バレエ団の既存の素晴らしいレパートリーを継続して上演していくことも重要な務めだと、強く感じていました。その一つが、東京バレエ団の宝ともいうべき、数々のベジャール作品です。そうした強い思いがあって、オリジナル作品の『サ・カブキ』、『M』、また『中国の不思議な役人』、『春の祭典』に取り組んできたのです。いずれ必ず、ベジャール作品を中心としたプログラムを組みたいと考えていたので、このタイミングで実現できて嬉しく思います。
──どのようにして作品を選ばれたのですか。
斎藤 いまの東京バレエ団のダンサーたちの美点、その持ち味をもっともよく出せるものは何か、ということをいつも重視しています。コロナ禍の中、全国の皆さんを励ましたいと、『ボレロ』を上演することにしていましたが、その他の作品で最初に思い浮かんだのは『ギリシャの踊り』です。ギリシャの青い海と空、白い砂浜のイメージが鮮烈な、美しさと清々しさにあふれた傑作です。海外公演でもよく取り上げていたのですが、しばらく上演の機会がなく、また数あるベジャール作品の中でもとりわけ明るくて朗らかなバレエですから、いまこの時期に上演するのにもっとも相応しい作品といえるのではないでしょうか。
──『舞楽』についてはいかがですか。
斎藤 私が最初にベジャールさんの作品を踊ったのは『ザ・カブキ』の顔世御前でしたが、この『舞楽』では、ベジャールさんから創作のゼロの段階から教えていただく機会を得ました。1988年に、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)との合同公演〈パリー東京〉での初演に向けて、私と高岸直樹さんがローザンヌに出向き、BBLのダンサーたちとリハーサルをしました。真ん中の男性(火の精)はセルジュ・コンパルドン、もう一組のカップルにカタリジナ・グタニエク、ルーベン・バック、そして私と高岸さんの5人による、十数分の短い作品です。ベジャールさんの振付の過程を実際に体験できたことは、私にとってとても大切な宝になりました。更衣室でBBLのダンサーたちから、「あなたはなんて幸せなの!」「私たち、どんなに羨ましいか」と声をかけられたことを覚えています。ローザンヌでも注目されていたんだなと感じたものです。
「舞楽」ー2007年の公演よりー
──近年、海外公演などでよく上演している『舞楽』は、〈パリー東京〉で上演された作品とはヴァージョンが異なるのですか?
斎藤 初演版のままでもとても完成度の高い作品だったのですが、ミックス・プログラムの一作品として成立させるためにはもう少し長さが必要とされ、翌年にベジャールさんが踊りを付け加えてくださいました。この時にアメフトの防具を付けた男性たちと巫女の姿の女性たちによる踊りが足され、振付も少し変えられた部分があります。この新しいヴァージョンの『舞楽』を携えて、1989年には海外ツアー、また1990年にはジョルジュ・ドンさんが主演する『ボレロ』を中心としたプログラムで全国ツアーを実施しています。私もその新しい『舞楽』を踊っていましたが、踊りながら、私は〈パリー東京〉で上演した、よりシンプルな、コアの部分のみの『舞楽』のほうが、ベジャールさんの振付の魅力、その本質がダイレクトに伝わるのではないかと感じてもいたのです。
──今回、その1988年の初演版が復活するというわけですね。
斎藤 難しいだろうなと思いつつ、ローザンヌのジル・ロマンさん(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督、モーリス・ベジャール財団理事長)に初演版の復活上演を申し出たところ、ご快諾くださったのです! 「やるなら今!」という思いもありました。主役(火の精)の指導については、この役をずっと踊ってこられた(東京バレエ団団長)飯田宗孝先生にお願いし、また初演からずっとペアを組んでいた高岸さんにも協力してもらいました。短い作品ではありますが、初演当時の趣を、できるだけ保ったままお伝えできたらと思っています。
──『ロミオとジュリエット』については、どんな思いで上演を決められたのですか。
斎藤 もう一つ、何かそこにロマンティックなものが必要だと考えました。実は私、ロシアでカーチャ(エカテリーナ・マクシーモワ=故人。ボリショイ・バレエの大スターであり、ロシアでの斎藤の教師の一人)とワロージャ(同じくボリショイ・バレエの大スター。マクシーモアの夫で、東京バレエ団では『ドン・キホーテ』を振付けている)が、この『ロミオとジュリエット』を踊っているのを何度も観ているんです! その頃からずっとこの作品に惹かれていたので、この機会にぜひ挑戦したいと思いました。
ベジャール振付「ロミオとジュリエット」リハーサルより。足立真里亜と秋元康臣
──リハーサルを指導されているのは──。
斎藤 バレエ・ミストレスの佐野志織先生にお願いしていますが、1983年のバレエ団初演を踊った栗橋桂子さん、長瀬信夫さんにアドバイスをいただきながらリハーサルを進めています。戦争や分断といった難しい状況の中で愛し合う若いカップルのパ・ド・ドゥですから、これもいまこそ上演すべき作品の一つではないかと思います。
──東京以外の都市では、『ギリシャの踊り』『ボレロ』に『パキータ』を加えたトリプル・ビルを予定されています。
斎藤 2つのベジャール作品の間にクラシックの作品を入れることで、全国の皆さんに東京バレエ団ならではの持ち味を楽しんでいただけるのではないかと考えました。華やかかつ、親しみやすい古典の傑作ですので、ぜひ多くのお客さまに喜んでいただきたいと思い、稽古を重ねています。
不安の多いこの時期での全国ツアーとなりますが、さまざまな感染防止対策を講じての実施となります。劇場でのひと時を、存分にお楽しみいただけたら嬉しく思います。
取材・文:加藤智子(フリーライター)
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