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海外ツアーレポート2023/07/19

速報!「ジゼル」開幕。各メディアで絶賛! 東京バレエ団〈第35次海外公演 ─ オーストラリア メルボルン〉


東京バレエ団はオーストラリア・バレエ団の招聘、文化庁文化芸術振興費補助金(国際芸術交流支援事業)の助成を受けて、ただいま〈第35次海外公演─オーストラリア〉のためメルボルンに滞在中です。この7月14日(金)にメルボルン・アーツ・センター州立劇場で今回の演目「ジゼル」が開幕し、観客およびメディアから絶賛を博する成功を収めました。公演初日までのツアーの様子をご報告します。

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7/15夜公演のカーテンコールより photo: Ayano Tomozawa

7月9日(日)、団員70名に芸術スタッフ、舞台スタッフを加えた総勢100名が日本を出発し、翌日にメルボルン入り。南半球のオーストラリアはこれから冬に差し掛かる季節ですが、晴天が続いて過ごしやすく、ダンサーたちは体調を崩すこともなく調整にかかることができました。

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到着直後のメルボルンでの練習は、オーストラリア・バレエ・センターのスタジオを使用。翌日には二つのカンパニーによる合同クラスと交流会が行われ、オーストラリア・バレエ団芸術監督のデヴィッド・ホールバーグから「私がよく知る東京バレエ団が、オーストラリアの観客から温かく受け入れられることを確信している。言葉を介さないバレエという芸術をもって美しい瞬間を共有できることを嬉しく思う」というスピーチがありました。
 
今回の東京バレエ団による「ジゼル」11公演は、オーストラリア・バレエ団創立60周年記念シーズンの一翼を担うプログラムです。公演会場である州立劇場は1878席を擁し、バレエ公演の平均販売率は75パーセントほどで、その半数以上を劇場の年間定期会員が占めるとのこと。オーストラリア・バレエ団の世界的な実力は過去6回の来日公演(最後は2010年)でも知られるところですが、彼らの舞台を見続けている観客にとって州立劇場はバレエ鑑賞の「ホーム」にして、世界的なバレエ団がたびたび招聘されていることから「世界クラスの舞台芸術を体験できる場」であり、また古典の名作「ジゼル」も彼らにとって馴染み深い演目だということです。

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7/14公演 第1幕より photo: Kate Longley


東京バレエ団が上演する「ジゼル」は、創立まもない1966年にボリショイ・バレエ団から指導者を招聘して伝えてもらったレオニード・ラヴロフスキー版で、現在の美術はニコラ・ブノワによるもの。現芸術監督斎藤友佳理の現役時代の十八番でもあり、主役からコール・ド・バレエに至るまでこだわり抜いたその指導の成果は、本ツアーに先立つ5月の東京公演でも高い評価を得ています。

その「ジゼル」全2幕が、前日の公開舞台稽古を経た7月14日(金)、客席をほぼ埋め尽くした観客の前で幕を開けました。初日の主演は秋山瑛(ジゼル)、秋元康臣(アルブレヒト)、伝田陽美(ミルタ)。演奏はベンジャミン・ポープ指揮によるヴィクトリア管弦楽団。この公演のため、首都キャンベラより鈴木量博日本国大使、在メルボルン日本国総領事の島田順二氏ご夫妻が来臨され、また芸術監督のホールバーグ氏、エグゼクティブ・ディレクターのリサ・トゥーミー氏を始めとするオーストラリア・バレエ団の人々、そして多くのメディア関係者、評論家が注目するなかで舞台が始まりました。

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7/14公演 第2幕より photo: Kate Longley


第1幕のジゼルとアルブレヒトの"花占い"の場面で笑いが起こるなど、観客の反応は日本に比べて素直で大らかながら、進行するにつれ強い集中力をもって物語への共感が深まっていくのを感じさせました。ことに第2幕に入ると、ウィリたちの群舞に、そして主役やソリストが踊り終えるたびに拍手が起こるほど会場の空気は熱を帯び、最後は大歓声のカーテンコールで終了。終演後のロビーでは、舞台装置や照明の美しさに加えて、ダンサーたちの訓練の行き届いた質の高さを絶賛する声に溢れました。

初日が明けると早速メディアの公演評が掲載され、「東京バレエ団はオーストラリア・デビュー公演で、その卓越した技術力と芸術性、細部へのこだわりを見せつけて観客を大いに魅了した」(Australian Arts Review)、「東京バレエ団の細部へのこだわりは息をのむほどで、感情を揺さぶられる」(The Blurb )、「26人のダンサーによる群舞は、見事なユニゾンと軽やかな揺らぎを実現して、東京バレエ団の徹底した稽古
の成果を発揮する」(Jaun Baba News) 、「東京バレエ団の初のオーストラリア・シーズンは、地元のダンス愛好家にとって画期的な出来事。東京バレエ団がそう遠くない将来に再びオーストラリアを訪れることを願う」(Man in Chair)、「このようなレベルの高い国際的なカンパニーを自国の劇場で鑑賞できる時代に感謝したい 。国際的な芸術の交流は実に感動的だ」(Classic Melbourne) といった絶賛の評が次々と並びました。

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7/14公演カーテンコールより photo: Ayano Tomozawa


初日を終えて、東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理は「オーストラリア・バレエ団、メルボルン州立劇場の皆さまに、とても温かくお迎えいただいています。バレエを通じてお互いがわかりあえ、何一つ不安がない状態で初日を迎えられるというのは、なかなかないことです。素晴らしいおもてなしを受けていると肌で感じていますし、これにお返しできるのは良い舞台をお見せすることだけ。そういう気持ちで臨んでほしいとダンサーたちにも伝えました。初日を終え、観客の皆様の反応が本当にストレートで、主役、ソリスト、コール・ド・バレエの分け隔てなく、すべてのダンサーに惜しみない拍手をいただきました。舞台を通じ、心と心の触れ合いがあったと確かに感じています。コロナ禍以降はじめての海外公演で、お客様からの大きな声援、マスクなしの晴れやかな表情を見ることができ、本当に晴れやかな気持ちです。まるで今までの長い苦しみが終わった象徴のような公演となり、私も感動しました」と話しています。またデヴィッド・ホールバーグは「東京バレエ団『ジゼル』のオーストラリア・デビュー公演は、メルボルンで大成功を収めました。東京バレエ団の非の打ちどころのない正確さと完璧なストーリーテリングに観客が魅了されたのは明らかです。東京バレエ団をオーストラリアにお迎えできたことを光栄に思いますし、彼らの芸術性で観客を感動させてくれたことに感謝しています」と語りました。

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初日公演後のレセプションより スピーチをするホールバーグ氏
 
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(左)デヴィッド・ホールバーグと斎藤友佳理 (右)鈴木量博大使と斎藤友佳理
photos: Ayano Tomozawa


東京バレエ団の「ジゼル」メルボルン公演は、秋山瑛-秋元康臣に加えて、二つの別キャスト(足立真里亜-宮川新大、中島映理子-柄本弾)を含めた全3キャストで7月22 日(土)まで続きます。

このツアーが終わった時点で、東京バレエ団の海外公演は33か国156都市、通算786回の記録を達成することになります。



〇関連情報

2023/04/11

追悼ピエール・ラコット

 ロマンティック・バレエの名作「ラ・シルフィード」の蘇演などで著名なフランスの振付家、ピエール・ラコット氏が4月10日に逝去しました。享年91歳。

 東京バレエ団は「ラ・シルフィード」や「ドナウの娘」の上演を通してラコット氏と長年親交があり、とくに前者はバレエ団の欠くべからぬレパートリーとなっています。一同、ラコット氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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photo: Arnold Groeschel

 ピエール・ラコット氏は1932年生まれ。パリ・オペラ座バレエ学校を経て同バレエ団に在籍し、のちにモンテカルロ・バレエ団、ナンシー・バレエ団他の芸術監督を務めました。彼の名前をことに高めたのは、舞踊史に名高い19世紀のフィリッポ・タリオーニ振付「ラ・シルフィード」の蘇演でした。ラコット氏はこれを膨大な資料を掘り起こして研究し、1972年テレビ映画として発表したのちパリ・オペラ座バレエ団で上演。同作はパリ・オペラ座にレパートリー入りしました。フランスの古典バレエに通暁していたラコット氏は、その後も「ドナウの娘」「マルコ・スパーダ」、プティパの「ファラオの娘」「パキータ」など19世紀の多くのバレエの蘇演を手掛けました。2021年、パリ・オペラ座バレエ団で初演した文豪スタンダール原作の「赤と黒」が最後の作品となりました。

 東京バレエ団がラコット氏を招いて「ラ・シルフィード」をバレエ団初演したのは1984年のことで、蘇演に主演したギレーヌ・テスマーとミカエル・ドナールが客演しました。その後、1989年の第11次海外公演(ベルリン・ドイツ・オペラ、ウィーン国立歌劇場他)、1992年の第13次海外公演(ロシアのボリショイ劇場、マリインスキー劇場、現ウクライナのシェフチェンコ劇場)など海外ツアーでも披露し、現芸術監督の斎藤友佳理が「日本のマリー・タリオーニ」と絶賛を浴びる成功を収めて、本作は東京バレエ団にとって重要なレパートリーとなっていきました。東京バレエ団は2006年には、同じくタリオーニが娘マリーのために創作しラコット氏が蘇らせた「ドナウの娘」も上演しています。

 また2011年、ラコット氏がモスクワ音楽劇場バレエで「ラ・シルフィード」を上演する際には、斎藤友佳理がアシスタントを務めてバレエ指導者としてのキャリアをスタートさせました。ラコット氏のそばでその指導に触れた斎藤は、そのときの経験をもとに自作の舞踊譜を作成して今も東京バレエ団での上演に活かしています。氏の遺してくれた伝統は東京バレエ団に受け継がれているのです。

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「ラ・シルフィード」リハーサル 1984

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「ドナウの娘」リハーサル 2005 photo: Kiyonori Hasegawa

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「ドナウの娘」衣裳合わせ 2006

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ピエール・ラコット氏と斎藤友佳理

レポート2023/03/29

〈Choreographic Project 2023〉上演レポート

東京バレエ団が、コロナ禍で中断していた〈Choreographic Project〉のスタジオ・パフォーマンスを復活させた。「ダンサーたちが自ら創作に取り組むことで、振付者・出演者双方の創造力・表現力を刺激し、アーティストとしてのモチベーションを高めてもらいたい」と斎藤友佳理芸術監督が発案、2017年にスタートした本プロジェクトは、東京バレエ団スタジオでのパフォーマンスから始まり、手作り感あふれる公演が名物に。3年ぶりに実現するスタジオ・パフォーマンスに立ち会いたいと、東京バレエ団友の会クラブ・アッサンブレの会員を中心とした多くの観客が集った。

スタジオに入っていくと、観客を席へと案内するダンサーたちの姿。お馴染みの光景だけれど、さらに今年は開演前のアナウンスの場面でもダンサーたちが登場、携帯電話の電源オフや飲食禁止などの注意事項をユーモアにあふれた動きで伝え、客席は一気に和やかなムードに。これは司会を務めた岡崎隼也の提案だそう。初年度から本プロジェクトに積極的に取り組んできた彼ならではのアイデアだ。

その後最初に上演されたのは、岡崎による『運命より』。岡崎は2020年のスタジオ・パフォーマンスでメリメの「カルメン」を原作とした『運命』抜粋版を発表、いずれ1時間ほどの大きな作品に仕上げたいと考えているが、今回は限られた上演時間でできることを、と前回取り上げなかった場面をコラージュし、ダンサーたちの身体表現、その生き生きとした姿を前面に打ち出すことに注力した。カルメン役の伝田陽美と、ホセ役の柄本弾(3月19日のみ)、また秋山瑛、政本絵美、平木菜子、中沢恵理子、安西くるみ、樋口祐輝、井福俊太郎、岡﨑司、また学者役の鳥海創らダンサーたちが、岡崎の複雑な振付に全力で取り組み、迫力あるパフォーマンスに。全編上演をどのように構想しているのか、興味をそそる。

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「運命より」振付: 岡崎 隼也(photo: Koujiro Yoshikawa)


2番目の作品は、やはり常連として本プロジェクトをリードするブラウリオ・アルバレスの『アツモリ』。平家物語の、若くして戦で命を落とした平敦盛の物語に着想したデュエットだ。アツモリ役の南江祐生、彼が愛用していたという笛・小枝を演じる長谷川琴音が、石井眞木による和の旋律に真摯に向き合い、死後の世界を表現。上演後のトークでアルバレスは、「彼は戦争に関わり、地獄に落ちなければならなかった。それがすごく悲しかった。死についての、これは僕なりの一つの答え」と思い入れたっぷりに語っていた。

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「アツモリ」振付: ブラウリオ・アルバレス (photo: Koujiro Yoshikawa)


3番目の作品は、振付初挑戦の加藤くるみによる『What a Wonderful World』。ルイ・アームストロングの名曲のカヴァー曲に出会い、「この音楽で振付けたい」と出品を決意。振付の過程で、この曲のハッピーな歌詞に込められた意味をしっかりと肌で感じ、「この歌詞のように、毎日幸せと感じられない時もあり、日々悩んだり、考えたりして生きているということをテーマにした」という。加藤のテーマと、生方隆之介、岡﨑 司、加古貴也、前川琴音、鈴木香厘ら若手を中心とした5人のメンバーたちの、ダンサーとして過ごす日々が重なり合って見えたことも魅力に。アフタートークでは「今後も作品を作ってみたい」と、意欲的だ。

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「What a Wonderful World」振付: 加藤 くるみ(photo: Koujiro Yoshikawa)


バレエ・スタッフの木村和夫も毎回作品を出品しているが、今回は男性二人のデュエット作品で挑戦。タイトルは『fruits of wisdom』。「人同士の好きと嫌いの感情は、実は近いものがあったり、憧れの裏返しだったりするけれど、それがパン!と反転したとき、磁石のように結びつく。そんな瞬間を稽古場の中に表現したかった」という言葉通り、品行方正なバレエ・ダンサー役の大塚卓と、やんちゃな雰囲気の樋口祐輝が警戒しながらも、徐々に近づき、ついには響き合う様子を、リアルな演技で表現。通常の公演では見ることのできない、二人の隠れた個性が活きたパフォーマンスに。

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「fruits of wisdom」振付: 木村 和夫(photo: Koujiro Yoshikawa)


続いては、岡崎隼也のもう1つの作品、『cube』。岡崎が好きだというアーティストの新譜と、その楽曲が挿入曲として使われた映画「ノマドランド」にインスパイアされて創作した女性3人の作品。筋書きのない小品ではあるけれど、加藤くるみ、富田翔子、相澤圭の各々のダンスが、力強く、かつ繊細に立ち上がり、演者3人が岡崎の振付を介して自分を表現しようする姿勢が、清々しい印象を残す。

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「cube」振付: 岡崎 隼也(photo: Koujiro Yoshikawa)


最後の作品は、今回も2作品を出品したブラウリオ・アルバレスによる『OMIAI』。日本の文学に興味を持ち、さまざまな作家の小説を読んできたというアルバレスが、谷崎潤一郎「細雪」のお見合いのエピソードをコメディ・タッチにバレエ化した。その根底には、古めかしいお見合いのシステムに対する驚きや、そこに生きる家族のドラマを生き生きと描き出そうとする意欲が透けて見える。秋山瑛演じる次女、彼女のお見合いを取り仕切る"知己の美容師"役の伝田陽美、お見合い相手の裕福な家の息子・大塚卓らのやりとりに、奔放な三女・瓜生遥花が絡む様子が何とも可笑しい。これも全幕としてしっかり作り込んだ舞台で観てみたい作品の一つに。出演はほかに政本絵美、平木菜子、生方隆之介、安村圭太、玉川貴博、鳥海創、山下湧吾。

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「OMIAI」振付: ブラウリオ・アルバレス(photo: Koujiro Yoshikawa)


全6作品の上演のあとは4人の振付者によるアフタートークも実施。それぞれが作品にこめた思いを語るだけなく、観客からの質問にも応じ、ファンにとってはダンサーとの貴重な交流の場に。創作期間中にはハンブルク・バレエ団日本公演で来日していたジョン・ノイマイヤーのアドバイスを受けたというが、2月に上演したキリアン振付『小さな死』で指導を務めた中村恩恵からも貴重な意見をもらい、参加者それぞれにとって意義深い時間となったはず。来年度はダンサー主体のクラウドファンディングも予定されているというが、ますますの発展が期待される本プロジェクトに、これからも注目してきたい。


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3/18(土)終演後 アフタートークの様子(photo: Koujiro Yoshikawa)

(取材・文)加藤智子

レポート2023/01/01

東京バレエ団ダンサーからの年賀状2023
新年あけましておめでとうございます。

昨年も大勢のお客様に支えられ、2022年は約70回の公演を実施することができました。劇場にお越しくださり、熱い拍手を贈ってくださった全ての皆様、ご支援くださった皆様にダンサー、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。

2023年の年明けに、ダンサーたちから新年のご挨拶を申し上げます。毎年「クラブ・アッサンブレ」の会員様には、ダンサーの直筆サイン入りの年賀状をお送りしております。下記にて今回のサインを一挙公開いたします。どのダンサーからの年賀状か、楽しみにご覧ください。

本年4月と10月には、振付家、金森穣が手掛ける、日本発のグランド・バレエ「かぐや姫」第2幕と全幕の世界初演、11月には昨年公演延期となっていた、新制作「眠れる森の美女」など見応えのある充実したラインナップをご用意しております。また夏には4年ぶりとなる海外公演の実施も予定しております。本年も、東京バレエ団に引き続きあたたかいご声援賜りますようお願い申し上げます。

末筆ではございますが、皆様にとって2023年が良い年となりますよう、一同心よりお祈り申し上げます。

東京バレエ団一同

■芸術監督、バレエミストレス、バレエスタッフ
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■プリンシパル
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■ファーストソリスト
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■ソリスト
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■セカンドソリスト
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■ファーストアーティスト
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■アーティスト
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2022/10/05

「ラ・バヤデール」ブロンズ像キャスト鼎談(池本祥真、井福俊太郎、生方隆之介)

開幕が迫る東京バレエ団マカロワ版「ラ・バヤデール」。その中で2分強という短い時間ながら大きなインパクトを与えるブロンズ像。注目されている方も多いのではないでしょうか? 今回はブロンズ像を演じる3キャストの鼎談をお届けいたします!

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左から:井福 俊太郎、池本 祥真、生方 隆之介

──池本さん、井福さんのお二人はすでにブロンズ像を踊ったことがあるそうですね。

池本祥真 入団前に別のカンパニーで経験していましたが、東京バレエ団のマカロワ版は2018年のオマーン公演で踊ったのが初めてでした。

井福俊太郎 僕もオマーンで初めて踊りました。会場がすごく盛り上がっていたのをよく覚えています。現地のお客さまは『ラ・バヤデール』を初めてご覧になったそうで、全身金色で登場しただけで客席から大きな反応が! あの衣裳に助けられました(笑)。今回は実力でお客さまから拍手をもらいたいです。

生方隆之介 僕は今回が初めての挑戦、初めての役なので不安を抱えつつです──。とても長いヴァリエーションですし、手の形をはじめ、絶対に崩せない決まりごとが多い。『ドン・キホーテ』のバジルとか『コッペリア』のフランツのような人間らしさがない点も独特だし、長いだけに、ペース配分を考えなければ途中で崩壊してしまう。リハーサルに取り組む中で、いろいろとわかってきました。
今年4月にクランコ版『ロミオとジュリエット』のマキューシオを踊らせてもらったのですが、たとえば最初にいきなりジャンプがあるとか、一旦はけることはあっても相当長い間踊り続けながら、見せ場となるテクニックも盛り込まれている。本当に難しいなと感じながら取り組みました。でも、その経験があったからこそ、今回の役柄も乗り切ることができるのではと思っているところです。

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──今回はアメリカン・バレエ・シアターのスターとして活躍したフリオ・ボッカさんが指導にいらっしゃいましたが、リハーサルの雰囲気はいかがでしたか。

池本 海外から振付指導の方に来ていただく機会はたびたびありますが、皆さん、その「作品」のことを指導するためにいらしているので、僕ら個々のダンサーたちのテクニックについて踏み込んで指導していただくチャンスはなかなかありません。でもボッカさんはテクニックについてより具体的なアドバイスをくださることが多かったですよね。

生方 それがしっくりこなければ自分たちのやり方を探せばいい、とも。ダンサーの気持ちに寄り添ってくれるので、とても嬉しく思いました。僕の場合ブロンズは全く初めてですから、とにかく、フリオさんのアドバイスに向き合いつつ、先輩方の踊りを見て、自分なりに見つけていこうと、練習を重ねています。

井福 フリオさんはソロルを踊る前にブロンズ像も経験されていたそうで、上体の表現についてはとても細かくアドバイスをいただきました。肩、肘、手首、それから胸。もうちょっとこうすると美しく見えるよ、と。

池本 ロシアで上演されているヴァージョンでは、ブロンズ像はソロルとガムザッティの婚約式の余興の一つとして出てくることが多いと思いますが、マカロワ版では第3幕の冒頭に、神として登場する。そこが難しいところです。

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──人間を演じるように自由ではないということでしょうか。

池本 『ドン・キホーテ』のバジルを快活でかっこいい青年として演じたいのなら、そのためのテクニックを入れて見せることを考えます。王子の場合は、気品を醸し出すためにどんなところを強調すべきか考えることもできます。でも、ブロンズ像は形が完全に決まっていて、僕だったらここでもっと脚を上げたほうが見栄えがいいなと思っていたとしても、それはできないんです。

井福 僕たち踊る側にとっては縛りの多い踊りではあるけれど、舞台では、それぞれに違ったものが見えてくるかもしれません。

生方 機械的に踊ってしまうのは違うのかなと思いますが、ロボットではないですから。

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──また、全身金色の塗料というユニークな装いには独特の苦労があるのではないかと想像されます。

井福 オマーン公演では女性も男性も肌を見せてはいけなかったので、僕も金色の衣裳を着て踊りました。だから僕は塗料を塗る通常版のブロンズは未経験です。

池本 塗料は手にも塗るので、何も触ることができないし、座ることもできない。気を遣います。水分を取るときは飲み物を固定して手放しでストロー(笑)。バレエ団によって微妙に色味や質感が違っているのも面白く、東京バレエ団は、インテリアの装飾にあるようなブロンズに近いけれど、ロシアはもっと黄色い塗料をベッタリと塗るのが主流かと思います。

ちなみに東京バレエ団の『ラ・バヤデール』の衣裳は、ヨランダ・ソナベントさんのデザインでスカラ座の製作。本当にきれいですよね。

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井福 重厚感のある音楽もいいなと思います。音楽が古代インドのあの世界へと皆をいざなってくれる。

生方 2015年にコジョカルとシクリャローフが客演した時に客席で観ていたのですが、第2幕「影の王国」のコール・ド・バレエへの拍手が鳴り止まなくて、僕も感動してずっと拍手していたのを覚えています。コール・ドだけでなくヴァリエーションもそれぞれに素晴らしい。

池本 ロシアで多いのは、「影の王国」で終わるヴァージョン。最後は主役の踊りで大いに盛り上がりますが、マカロワ版は3幕があって、ドラマをしっかり描き出すことで、より感動的な舞台になる。世界中で人気を得ているこのヴァージョンを踊ることができるのはダンサー冥利に尽きるし、僕や俊太郎のように小柄なダンサーにとってこの役は避けては通れない道かなとも。

井福 長い間、踊り注がれてきた役柄を踊ることができるのは本当に光栄なこと。多くのお客さまが歴代の名ダンサーたちの踊りを動画で見てご存じなのは少し恐ろしいけれど(笑)、喜びを噛み締めながら踊りたいです。

池本 これがなくてもストーリーは成立する踊りだからこそ、自分が踊ることで何か意味を持たせることができればと思っています。

(取材・文)加藤智子




東京バレエ団「ラ・バヤデール」
★10月12日(水) 
◆10月13日(木)
◇10月14日(金)
◆10月15日(土)
★10月16日(日)

ブロンズキャスト出演日
★・・・池本 祥真 ◇・・・井福 俊太郎 ◆・・・生方 隆之介


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最後にブロンズ像の特徴的なポーズで1枚。皆様のご来場をおまちしております!


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ロングインタビュー2022/09/27

フリオ・ボッカ(「ラ・バヤデール」振付指導)特別インタビュー

現在、10月の「ラ・バヤデール」公演に向けてリハーサル中の東京バレエ団。その指導を手がけているのは、フリオ・ボッカ──1987 年から2006年までアメリカン・バレエ・シアター(ABT)のプリンシパルとして華々しく活躍したスターダンサーだ。現在、フリーランスで世界各地のカンパニーで指導を手掛ける彼に話を聞いた。

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── 日本に来られるのは久しぶりですか。
フリオ・ボッカ 2005年、ABTの日本公演で主演した、私の"最後の『ドン・キホーテ』"以来です。あの公演はとても感動的でした。

── 今回指導されているマカロワ版『ラ・バヤデール』のソロルは、ボッカさんの代表的レパートリーの一つです。初めて踊られたのはいつのことでしたか。
ボッカ 私がABTに入った1987/88年のシーズンでした。最初に踊ったのはブロンズ・アイドル(ブロンズ像)だったのですが、その舞台を観たマカロワが翌日、私の役をソロルに変更するようにと言ったのです。その後、英国ロイヤル・バレエ団、ミラノ・スカラ座などでもソロルを踊っています。マリインスキー劇場のヴァージョンも踊ったことがありますが、マカロワ版はストーリーがより明快ですし、第3幕で描かれる神殿の場面、そこにブロンズ・アイドルが登場するなど独特です。ヒロインのニキヤはとても自由な役柄であるいっぽうで、技術的にはとてもピュア、これぞまさにクラシックというべきものです。最高傑作の一つといえます。

──世界各地で様々なパートナーと踊ってこられました。
ボッカ パートナーはたくさんいます! アレッサンドラ・フェリ、シンシア・ハーヴェイ、ジュリー・ケント、ニーナ・アナニアシヴィリ、ヴィヴィアナ・デュランテ、ダーシー・バッセル......。アルティナイ(・アスィルムラートワ)とも踊っています。
この役を踊ることが好きでした。私はとにかく、謙虚に踊ろうとしました。ソロルは貴族だけれど、悪人ではない。強いし、教養もある。第1幕のパ・ド・ドゥは心のこもった感動的な踊りですし、2幕では自分の行いを悔いるとともに、雲の中を歩くような夢心地でもある。その落差を表現することはなかなか難しいものです。

──マカロワさんはどんなリハーサルをされていたのですか。
ボッカ そんな昔のことはもう忘れてしまいました(笑)! でも、こんなことがあったのを覚えています──ある日のリハーサルで、私は場当たりができればと、ごく軽く、適当に流して踊っていたんです。そこへやって来たマカロワが、「あなた、何をしているの?」と聞くので、「もう何度も踊っていてわかっている役なので、場当たりを......」ともじもじしていると、彼女は「それはいけません」と静かに言い、私の頭の上からコップの水をかけたのです! 私は濡れたまま、静かにその場を出て行きました──。でも本当は、マカロワは優しい人なんですよね。いい思い出です。それ以来、私はどんなリハーサルでも、力を尽くして踊るようにしてきました。

──今回の指導について、マカロワさんからは何か指示がありましたか。
ボッカ ナターシャ(ナタリアの愛称)とはよく一緒に仕事をしていたので、何を望んでいるのかはよくわかっていますが、今回の東京バレエ団の指導にあたっては、2019年収録の英国ロイヤル・バレエ団による舞台映像を見ておくようにと言われました。映像を確認すると、細かい点ですが、第1幕の幕切れ、ニキヤの死の場面に少し変更があります。こうした変更はダンサーにとっても新鮮ですし、私はいいなと思っているんです。

──東京バレエ団のダンサーたちのスタジオでの反応はいかがですか。
ボッカ 皆若くて、才能あるダンサーたちです。私のことを誰だか知らない人もたくさんいるけれど(笑)、彼らが知らない誰かの話を聞いてくれるのはとても嬉しいこと。大事なのは、それぞれの役で、どうすれば「自然」になれるかということです。私たちは、スタジオやバレエ団にいるとつい、「ダンサーになろう」としてしまう。「人間である」ことを忘れて。でも私たちは、「ダンサーとして、役を演じる人間」なのです。
とにかく、ダンサーたちには「自然に踊るように」と言います。「自分らしくありなさい(be yourself)」と。つまり、ダンサーごとに違うニキヤやソロルを見たいのです。そのためには、ダンサーたちがそれぞれの内面を外に向かって表現しなくてはならないと思っています。

私がすべきことはもう一つ、それぞれのダンサーが自分の個性を見つけるための手助けです。ですが、ダンサー自身が望まない限り、個性を見つけ出すことは絶対にできません。それは、ダンサー自身の独自の仕事でもあるのです。今回、東京バレエ団のダンサーたちにもそのような手助けができると思っています。

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Photos:Shoko Matsuhashi

取材・文:加藤智子(フリーライター)



東京バレエ団「ラ・バヤデール」
10月12日(水)~16日(日)
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レポート2022/09/16

第10回 めぐろバレエ祭り 現地レポート
今年もバレエの夏は熱かった! 2022年8月15日(月)〜21日(日)、第10回目となる〈めぐろバレエ祭り〉が開催されました。コロナ禍のため、各種イベントに定員や座席指定を設けるなど徹底した感染対策を行いつつも、会場のめぐろパーシモンホールは連日大にぎわい。うきうきした足取りの家族連れやバレエファンなど、子どもから大人まで延べ8500人以上が来場しました。

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オープニングを飾ったのは、東京バレエ団附属東京バレエ学校のスクールパフォーマンスです。生徒たちにとっては、日頃のがんばりの成果を披露する晴れ舞台。15日から17日にかけての3日間、未来のダンサーたちが連日の猛暑も吹き飛ばすエネルギッシュなステージを繰り広げました。

18日からの4日間は、東京バレエ団のダンサーたちがフル回転の大活躍! レッスン指導に、トークに、そしてもちろん舞台にと、様々なイベントに登場して来場者を楽しませました。

まずはバレエを「習っている人」向けのイベントから。今回の〈めぐろバレエ祭り〉では、東京バレエ団の現役ダンサーをはじめ豪華講師陣が指導にあたる、4つのスペシャル・レッスンが行われました。

ひとつ目は18日に開催された「秋元康臣のスーパー・バレエ・レッスン」。日本を代表するダンスール・ノーブルである秋元康臣が10歳〜18歳の男子にバー&センター・レッスンを指導するというドリーム企画に、年齢もレベルもさまざまなボーイズが集まりました。秋元は自らお手本を見せながら、シンプルなエクササイズを通してバレエの基礎を細やかに指導。とくにバー・レッスンでは参加者一人ひとりを見て歩き、脚からつま先の伸ばし方や腕の意識の仕方など、身体の正しい使い方を丁寧にアドバイスしていきました。トップダンサーの動きを真剣な眼差しで見つめ、そのニュアンスを少しでも取り入れていこうとする上級レベルの生徒たち。いっぽうバレエ歴の浅い男の子たちも、少々難しいステップにもひるまず食らいついていく素晴らしいガッツを見せました。レッスン後にはボーイズからの質問に秋元が答えるQ&Aタイムも。「食事で気をつけていることは?」「筋肉をきれいにつけるには?」「毎日できるトレーニングを教えてください」など、次々と質問が飛び出しました。

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秋元康臣のスーパー・バレエ・レッスン


18日にはもうひとつ、〈めぐろバレエ祭り〉の名物イベント「群舞を踊ろう!」も行われました。こちらはいわゆる"大人バレエ"のみなさんが、古典作品の群舞に挑むという大人気企画です。このたび挑戦したのは『バヤデルカ』より"影の王国"......そう、クラシック・バレエの群舞の極みとも言える、あの名場面です! ただし、一人ずつ坂を降りてくるところは、今回は割愛。その後から始まる、静謐で幻想的な、まさにコール・ド・バレエの一体感が問われる場面を練習しました。メイン講師は東京バレエ学校教師の矢島まい、アシスタントは同じく教師の片岡千尋と東京バレエ団ダンサーの中沢恵理子が担当。練習時間はウォーミングアップを含めてジャスト2時間......はたしてあの難しい群舞が仕上がるのか? ところが参加者のみなさんは、そんな心配もどこ吹く風。見事な集中力と団結力で振りを覚えて踊りきり、講師陣やギャラリーのみなさんから拍手が沸き起こりました。

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群舞を踊ろう!


20日には、プリンシパルの上野水香が登場。自身が「人生でいちばん多く踊ってきた」と語る『白鳥の湖』のオデット&オディールのエッセンスを、16歳以上の女性のみなさんに伝授するスペシャルなワークショップが行われました。題して「上野水香の『白鳥』レッスン!」。まずはオデットのヴァリエーションの前半と最後のディアゴナルを抜粋して練習。みなさんでひとしきり汗を流した後は、オデットとオディールの演技の違いにフォーカスした表現力のレッスンに移りました。白鳥と黒鳥で、目線やアームスの使い方はどう違うのか。「私はいつもこうしています」と、自身の経験をもとに語られる上野のアドバイスは極めて具体的で、ハッとするほどの説得力。プリマが直伝する表現の極意に、参加者のみなさんは真摯な表情で耳を傾けていました。

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上野水香の『白鳥』レッスン!


また同日には「水谷実喜に教わる『オーロラ』レッスン」も開催。英国バーミンガム・ロイヤル・バレエのプリンシパルに昇格したばかりの水谷実喜さんが、18歳以下のガールズにオーロラ姫のヴァリエーションのポイントを指導しました。

レッスン系のイベントでは、バレエにはじめてチャレンジするキッズ向けのワークショップ「はじめてのバレエ」「親子でバレエ・ストレッチ」や、バレエ経験のある小学1〜3年生のためのクラス「もっと上手に」も例年通り開催。今回もすぐに満席となる人気ぶりで、たくさんの子どもたちがバレエに挑戦しました。また、振付家・ダンサーの田畑真希さんによる「からだであそぼう だれでもダンス★」は、〈めぐろバレエ祭り〉では今回がはじめての実施。3歳〜7歳のちびっこたちが身体と想像力をめいっぱい使って、遊びながら自分だけのダンスが生まれていく体験を楽しみました。

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はじめてのバレエ


そして〈めぐろバレエ祭り〉の華といえば、やっぱり東京バレエ団による生の舞台! 今回は「子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』」を、20日・21日の2日間で全4回上演しました。全幕の見どころをギュギュッと凝縮した、はじめてのバレエ鑑賞にもぴったりのバージョンながら、バレエファンにとっても見ごたえ充分な人気演目です。主役のキトリ&バジルを演じたのは、中川美雪&宮川新大、涌田美紀&池本祥真、秋山瑛&生方隆之介、伝田陽美&柄本弾の4組。ベテランたちの圧倒的な輝きと、新星たちの清々しい煌めきが弾け合うステージとなり、各回とも熱い拍手に包まれました。

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子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』


また21日の朝には、東京バレエ団が舞台上で行うクラス・レッスンを見学できる「公開レッスン」も行われました。こちらも感染対策のため、今年は入場無料ながら全席指定で開催。今回も例年通りの大人気で、近所にお住まいの目黒区民の方や、東京バレエ団のファンクラブ会員のみなさんなど、約600名のお客様が会場を埋めました。

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公開レッスン


楽しかったお祭りも、ついに最終日。連日、「ティアラをつくろう!」「ミニトゥシューズにデコレーションしよう!」「ぬり絵であそぼう!」といった手作り系イベントのスペースとして賑わってきた小ホールロビーが、最終日の21日には夏祭り感あふれる「バレエ縁日」に。「キトリのちょうちん作り♪」「キラキラ☆デコ風鈴作り」コーナーはハンドメイド好きな子どもたちで常に満席。大人でも難しいと評判の(?)「海賊の花輪投げ」にも、たくさんのキッズが果敢にチャレンジしました!

恒例の「ダンサーズ・トークinめぐろ」も最終日に開催され、今年は東京バレエ団プリンシパルの上野水香と宮川新大が登場しました。小ホールの中央に設えられたやぐらの上に現れた上野と宮川は、なんとも艶やかな浴衣姿。そんなふたりの共通点といえば「理想的な脚〜つま先のライン」ということで、話題は「美脚の秘訣」からスタートしました。「脚のラインを美しく保てるように稽古するのはもちろんですが、一番大事なのは、足をただ出すだけの動きにもどれだけ心を込められるかだと思う」(上野)、「ジョン・クランコ・スクール留学時代に、恩師の先生に徹底的に鍛えていただけたおかげです」(宮川)。そのほか、愛用のトウシューズ/バレエシューズのことや、休日のリラックス方法、そして10月の『ラ・バヤデール』公演についてなど、テンポ良くトークを繰り広げました。

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ダンサーズ・トークinめぐろ 上野水香、宮川新大


そして祭りのフィナーレはやっぱりこちら!〈めぐろバレエ祭り〉のトレードマーク、「スーパーバレエMIX BON踊り」です。感染対策のため、1回30分ずつ×2回の実施、各回90名の定員制という条件付きながら、どちらの回もあっという間に満員御礼。しかも今年の振付指導は宮川新大。さらに上野水香をはじめダンサーたちもサプライズで登場して、会場を沸かせました。ピチピチ跳ねる"目黒のさんま"を抱えたり、ご先祖様に「こんにちは!」と挨拶したりする楽しい動き、そしてさりげなく織り込まれた『ボレロ』風(!)のポーズ&ステップ。バレエファンも歓喜するこのBON踊りを振付けたのは、ご存じ小林十市さんです。東京バレエ団のダンサーたちも加わって、誰もがマスク越しにもわかる笑顔で踊りに踊った30分......最高潮の盛り上がりのなか、今年の〈めぐろバレエ祭り〉は幕を閉じました。

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左から 榊 優美枝、上野 水香、宮川 新大、中川 美雪


(阿部さや子)

Photo:NBS/Mizuho Hasegawa/Hidemi Seto

HOPE JAPAN 20222022/07/20

〈HOPE JAPAN 2022〉全国ツアー ダンサーQ&Aブログリレー Vol.8~富士公演~

〈HOPE JAPAN 2022〉全国ツアーの出演ダンサーたちがQ&A方式で質問に答えるブログリレー。最終回をつとめるのは静岡出身のアーティスト、芹澤創(せりざわ そう)。今回のツアーでは「ギリシャの踊り」、「ボレロ」に出演します。

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Photo: Nobuhiko Hikiji

Q1.出身地
静岡県沼津市

Q2.バレエを始めたきっかけ
姉が習っていたからです。(姉のすることは全部自分もするものだと思っていました)

Q3.印象に残っている舞台
東京バレエ団に入団してからの初舞台だった、ブルメイステル版「白鳥の湖」の3幕スペインです。

Q4.静岡での思い出
昔から地元の香貫山(かぬきやま)に早朝に登ったり走ったりしていました。
千本浜にもよく黄昏に行っていました。
高校は三島でした。柿田川が有名で、友達と学校帰りに川原で水遊びしていました。

Q5.今回の静岡公演中にやりたいこと
静岡といえば、炭火焼きハンバーグの"さわやか"が有名ですが、僕は沼津の名産品である"栗せんべい"が食べたいです。
あとは、プロとして地元で踊ることをご先祖のお墓に報告に行きたいです。

Q6.〈HOPE JAPAN2022〉で注目してほしいところ
「ギリシャの踊り」では去年に続いて、男性の踊りのコール・ド・バレエを務めます。
去年は初挑戦だったこともあり、緊張が大きかったのですが、今年は緊張感も持ちながら、笑顔で体の隅々までエネルギーを伝えて伸び伸びと踊ります。
「ボレロ」では第6(注)で、舞台向かって左側前方で踊ります。躍動する肉体でリズムの一端を担えるようにがんばります。
(注)赤い円卓の上で踊るダンサーをメロディ、メロディを取り囲むダンサーをリズムと呼ぶ。リズムは第1から第6と呼ばれるパートに分かれている。

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 昨年の〈HOPE JAPAN 2021〉より Photo:Kiyonori Hasegawa

Q7.静岡県のお客さまへのメッセージ
東京バレエ団の一員であるという誇りを胸に地元で踊ります。
普段地方公演で静岡県、特に東部に行く機会があまりないので、これを機に静岡のファンの方にたくさん観ていただきたいです!
富士公演が千秋楽です。しっかりと〈HOPE JAPAN 2022〉ツアーの締めくくりができるように、たくさんの希望を皆さんにお届けします。

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7/15(金)、静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」に生出演しました!

Q8.数日後に地元・群馬での公演を控える金子仁美へのメッセージ
間もなく〈HOPE JAPAN 2022〉ツアー初日の幕が、金子仁美さん出身の群馬県で開きます。
仁美さんは常に明るく元気な、優しいお姉さんのような存在の方です。
僕も仁美さんに負けないくらい明るく元気にツアーを駆け抜けたいと思います!


芹澤創が出演する富士公演は8/4(木)
富士市文化会館(ロゼシアター)でお待ちしています!



全8名によるリレーブログも無事に最終回を迎えました。
最後までお読みくださった皆様、ありがとうございました。
〈HOPE JAPAN 2022〉まもなく開幕です! ダンサー一同、劇場にて皆様のご来場をお待ちしています!














HOPE JAPAN 20222022/07/19

〈HOPE JAPAN 2022〉全国ツアー ダンサーQ&Aブログリレー Vol.7~佐野公演~


〈HOPE JAPAN 2022〉全国ツアーの出演ダンサーたちがQ&A方式で質問に答えるブログリレー。第7回は佐野公演で「パキータ」に主演するソリスト、中川美雪(なかがわ みゆき)が登場します。


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Photo: Nobuhiko Hikiji


Q1.〈HOPE JAPAN 2021〉の思い出

コロナ禍だったこともあり公演の延期、中止が続いていた中、舞台を楽しみに待っていてくださったお客様の前でやっと踊ることができてとても嬉しかったです。また皆様のあたたかい拍手から沢山のパワーをいただきました。ありがとうございます!


Q2.ツアー中の過ごし方

前回は長距離の移動とさまざまな舞台での公演が続くスケジュールだったので、疲労を溜めないように半身浴やストレッチ、マッサージ、体幹のトレーニングに励んでいました。身体に疲れを感じる時はアミノ酸やミネラルも摂取しています。


Q3.今回のツアーで楽しみにしていること

ツアーの先々で特産物やお土産を買うことです! 実は毎年佐野厄除け大師に参拝に伺っています。私の大切なパワースポットです。今回ツアー中には伺えないかもしれないですが、いつも佐野ラーメンを食べて帰ります。


Q4.盛岡公演では「パキータ」で主役プリンシパルを踊る。作品の魅力と意気込みについて

「パキータ」はとても華やかな演目です。プリンシパルはアカデミックなポジションの中に確かなテクニックが必要とされます。また東京バレエ団ならではの美しい女性の群舞や、それぞれ特徴の違う沢山のバリエーションも魅力の一つです。


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昨年の〈HOPE JAPAN 2021〉「パキータ」リハーサルより Photo:Shoko Matsuhashi


Q5.栃木県のお客さまへのメッセージ

私が入団してからはじめての栃木県での公演です。皆様にお会いできること、今からとても楽しみです!


Q6.次回ブログに登場の芹澤創へのメッセージ

次回は芹澤くんです!

よろしくお願いいたします。



中川美雪が出演する佐野公演は8/3(水)

佐野市文化会館でお待ちしています!


HOPE JAPAN 20222022/07/18

〈HOPE JAPAN 2022〉全国ツアー ダンサーQ&Aブログリレー Vol.6 ~山形公演~

〈HOPE JAPAN 2022〉全国ツアー、出演ダンサーたちがQ&A方式で質問に答えるブログリレー。第6回は2020年山形公演での「くるみ割り人形」に主演したプリンシパル、宮川新大(みやがわ あらた)。山形での思い出からツアー中の楽しみや苦労まで語ります。

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Photo: Nobuhiko Hikiji

Q1. 山形公演での思い出(2020年「くるみ割り人形」)
緊急事態宣言の中、地方で東京バレエ団として公演できたことが本当にありがたかったです。新型コロナウィルス感染症の状況が一番ひどい時期だったので、来られないお客様が多いのではと思っていたのですが、実際はたくさんのお客様が来てくださりとても嬉しかったです。会場の雰囲気もとても温かかったですね。
外食ができない時期でしたが、コンビニでアイスを買って食べたのを覚えています! 雪国出身なので冬にアイスが食べたくなるんですよ(笑)。

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「くるみ割り人形」より Photo: Kiyonori Hasegawa

Q2. ツアー中の楽しみ
外食が大好きなのでツアーではご当地グルメを食べることが一番の楽しみです。去年山形に行ったときは食べられなかった山形牛を今年は食べたいです!

Q3. ツアーの過ごし方
特に決まったルーティンはありませんが、マッサージの治療器具などは必ず持ち歩くようにしています。

Q4. ツアーならではの苦労
移動がやっぱり大変です。去年は移動してすぐにリハーサル、本番という日もありました。新幹線や飛行機などの移動で腰が固まってしまうので、腰に当てるクッションを持ち歩き、合間をみて歩いたり動くことを心がけています。

Q5.〈HOPE JAPAN 2022〉の見どころ
3つとも違ったテイストの演目なので、全幕とは違う楽しみ方ができると思います。ピュアなクラシック作品から、ベジャールの「ギリシャの踊り」のように夏にふさわしい太陽と砂浜が見えてくるような明るい踊りまで、充実したプログラムになっています。「パキータ」はいろいろなパートナーと組みながら踊っているので、自分にとって思い出深い作品の一つです。

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昨年の〈HOPE JAPAN 2021〉より Photo: Kiyonori Hasegawa

Q6. 山形県のお客さまへのメッセージ
約2年ぶりに山形に行けることを嬉しく思っています。前回は雪が多かったですが、今回初めて"雪がない"夏の山形を体験できるので楽しみにしています。
そしてやはり、できれば今回は山形牛を食べて帰りたい......!

Q7.  次回のブログリレーに登場、山形公演の「パキータ」で組む中川美雪へのメッセージ
子どものためのバレエ「ドン・キホーテの夢」でも一緒に踊っていますが、最近いろいろな役に挑戦し、回を重ねるごとに成長しているなと感じています。今回も一緒に踊ることができるので、ぜひその手助けを少しでもできればなと思っています。


宮川新大が出演する山形公演は8/2(火)
やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)でお待ちしております!

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